交通事故の加害者が運転代行の業者で、依頼者の自動車を運転中の事故だったのですが、所有者である依頼者にも損害を賠償してもらうことができますか?

最終更新日 2015年 09月30日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

運転代行による交通事故の場合の責任について、弁護士が解説します。

運転代行業者とは、飲酒などの理由で自動車の運転ができなくなった依頼者の自動車を、依頼者を同乗させ、目的地まで運転を代行するサービスを提供する事業者です。

運転代行業者が運転中に交通事故を起こして他人に損害を与えた場合、代行業者が責任を負うのは当然ですが、自動車の所有者である依頼者が責任を負うかどうか、すなわち依頼者が自動車損害賠償保障法3条の運行供用者に当たるかどうかが問題となります。

運行供用者とは、自動車損害賠償保障法第3条に規定されている「自己のために自動車を運行の用に供する者」のことで、自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者を意味します。同条文で、運行供用者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、それによって生じた損害を賠償する責任を負うとされています。

過去の裁判例では、依頼者の自動車での交通事故であり、通常は依頼者も同乗していることから、依頼者に自動車の使用についての支配権及び利益の帰属が認められるため、依頼者に運行供用者責任が発生する、としているものが一般的です。

背景には、運転代行業者には、当時タクシー会社のように法的規制がなく、そのためいい加減な運営をする業者も多く、アルバイトの者などが代行業務を行っていたりと代行業者の質に疑問があり、依頼者が責任を免れるほど信頼できるものではない、との考えがあったものと思われます。

しかし、道路交通法が平成14年に改正され、代行業者は、都道府県の公安委員会の認定を受けなければ営業することができなくなり、さらに、保険の加入や第二種運転免許の取得を義務付けられるなど、現在は法的規制が進んできています。ですので、今後は、タクシー乗車中にタクシー運転手の起こした事故で乗客が責任を負わないのと同じように、運転代行業者の起こした交通事故についても、依頼者には責任は発生しないという判断がされるようになる可能性もあると思います。

以上、運転代行による交通事故の場合に、所有者に責任があるかについて、弁護士が解説しました。

運転代行による交通事故で争いになった時は、弁護士にご相談ください。

「交通事故の被害者が弁護士に相談すべき7つの理由と2つの注意点」は、こちらです。
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