交通事故の慰謝料を高額な弁護士基準で計算する方法
目次
交通事故の被害者の方は慰謝料を受け取ることができます。
☑では、その金額を決定するのは誰なのでしょうか?
☑慰謝料額は、どのように計算されているのでしょうか?
☑正しい慰謝料額を知ることはできるのでしょうか?
☑金額に納得がいかない場合は、どうすればいいのでしょうか?
☑慰謝料を増額させる方法はあるのでしょうか?
じつは、交通事故の慰謝料については「よくわからない」という方も多いと思います。
「交通事故にあったのは初めて」という方がほとんどでしょうから、それは当然です。
だからこそ、この記事で交通事故の慰謝料の正しい知識を知っていただきたいと思います。
大切なキーワードは「弁護士基準」です。
ぜひ最後まで読んでみてください。
これから、交通事故の慰謝料を弁護士基準で計算する方法について解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
交通事故の慰謝料は全部で4種類
交通事故の慰謝料というのは、被害者の方が被った精神的苦痛・損害に対して支払われるものです。
じつは慰謝料は1つではなく、次の4つがあります。
1.入通院慰謝料(傷害慰謝料)
傷害(ケガ)を負い、その治療のために入院・通院した場合に支払われる慰謝料。
対象となる期間は、ケガの治療を始めてから症状固定までで、1日の入通院から支払われる。
2.後遺障害慰謝料
症状固定の診断後に後遺症が残り、後遺障害等級が認定された場合、その等級に応じて支払われる慰謝料。
3.死亡慰謝料
被害者の方が亡くなった場合に支払われる慰謝料。
被害者の方はすで亡くなっているので、受取人はご遺族(法的な相続人)になる。
4.近親者慰謝料
被害者の方が亡くなった、あるいは重傷事故で重度の後遺障害が残ってしまった場合に、ご家族の精神的苦痛・損害に対して支払われる慰謝料。
交通事故発生から示談解決までの流れをフローチャートで確認
交通事故後、被害者の方が慰謝料などの損害賠償金(状況に応じて示談金とも保険金ともいいます)を受け取るまでには、さまざまな手続きが必要です。
ここでは全体の流れと各手続がわかるフローチャートをご用意しましたので、参考にしてください。
慰謝料額は誰が決めているのか?
慰謝料計算で使われる3つの基準の違いを確認
交通事故の慰謝料を計算する際、次の3つの基準が使われます。
どの基準で計算するかによって金額が大きく違ってくるので、とても重要なものになります。
1.自賠責基準
自賠責保険で定められている基準で、もっとも金額が低くなる。
2.任意保険基準
各任意保険会社が独自に設けている基準(各社非公表)。
自賠責基準より少し高い金額になるように設定されている。
3.弁護士(裁判)基準
- ・金額がもっとも高額になる基準で、被害者の方が本来受け取るべき金額になる。
- ・過去の膨大な裁判例から導き出されている基準で、弁護士や裁判所が用いるため、裁判基準とも呼ばれる。
- ・弁護士が被害者の方の代理人として加害者側の任意保険会社と示談交渉をする場合、また裁判になった場合に主張する計算基準。
慰謝料額を決めているのは保険会社!?
加害者が任意保険に加入している場合、損害賠償金額の示談交渉の相手はこの保険会社になります。
加害者側の任意保険会社は、被害者の方に支払う慰謝料や逸失利益などの損害項目を合計した損害賠償金を「示談金」として被害者の方に提示してきます。
ここで最大限の注意をしなければいけないのは、保険会社の提示額は本来、被害者の方が受け取るべき金額より低いことが多いことです。
なぜかというと、加害者側の任意保険会社は営利法人で、その運営目的は利益の追求だからです。
保険会社は、支出となる被害者の方への損害賠償金をできるだけ低く抑えようとするために、慰謝料を自賠責基準や任意保険基準で計算して提示してきます。
つまり、加害者側の任意保険会社は自分たちの考えに基づいて慰謝料などを金額が低くなる基準で計算して、被害者の方に提示しているだけであって、それが絶対に正しいというわけではないのです。
被害者の方は弁護士基準で計算した金額を主張するべき
前述したように、被害者の方は弁護士基準で計算した慰謝料を受け取る権利があり、その金額が被害者の方が受け取るべき適切な金額です。
のちほど、基本的な計算方法をお話ししますので、この機会にぜひ学んでいきましょう。
保険会社が提示してくる自賠責基準や任意保険基準で計算した低い金額で示談を成立させてはいけません。
被害者の方は必ず、弁護士基準で計算した金額を主張し、これを認めさせる必要があるのです。
ただし、交通事故の損害賠償実務では知っておくべき注意ポイントがあります。
それは、被害者の方が慰謝料などを弁護士基準で正確に計算して、加害者側の任意保険会社に主張しても、彼らは簡単には受け入れないということです。
弁護士が主張して交渉しなければ、保険会社は弁護士基準で計算した金額を支払わなくてもいいと考えている可能性が高いのです。
実際、相手方の保険会社の担当者にそう言われた、という相談者もいらっしゃるのです。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)を弁護士基準で計算
入通院慰謝料の弁護士基準での計算方法
弁護士基準で入通院慰謝料を算定する際は、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『損害賠償額算定基準』に記載されている算定表を用います。
これは弁護士や裁判所も使用するもので、ケガの程度によって「軽傷用」と「重傷用」の2種類があります。
<弁護士基準による入通院慰謝料の算定表(むち打ちなどの軽傷用)>
<弁護士基準による入通院慰謝料の算定表(重傷用)>
たとえば、重傷で入院期間が3か月、その後、通院期間が3か月の場合、上の「重傷用算定表」のそれぞれが交わった部分を見ます。
「188」となっているので、この場合の入通院慰謝料は、188万円になります。
自賠責基準では入通院慰謝料はいくらになる?
比較のためにも、自賠責基準による入通院慰謝料の計算についてもお話しします。
自賠責基準による入通院慰謝料は、1日あたりの金額が4,300円と定められています。
<自賠責基準による入通院慰謝料の算定式>
ただし、注意するべきポイントがあります。
治療の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されるのです。
A)「実際の治療期間」
B)「実際に治療した日数×2」
たとえば、次のような条件で考えてみます。
・全体の治療期間が6か月
・実際に入院した日数3か月
・通院して治療した日数は平均で週に2回×3か月
B)4,300円×90日+4,300円×(13日×2)=387,000円+111,800円=498,800
この場合は、B)のほうがA)より日数が少ないので、498,800円が入通院慰謝料として認められます。
後遺障害慰謝料を弁護士基準で計算
傷害(ケガ)の症状固定と後遺障害等級について
交通事故で負った傷害(ケガ)の治療中については入通院慰謝料(傷害慰謝料)が支払われます。
しかし、ケガの治療を続けていく過程で、これ以上の回復は見込めない、完治は難しいという段階が来る場合があり、医師から「症状固定」の診断を受けます。
症状固定後は後遺症が残ることになりますが、今後、後遺障害慰謝料を受け取るためには必要なことがあります。
それは、ご自身の後遺障害等級の認定を受けることです。
後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級まであり、後遺障害が残った部位などによって各号数が設定されています。
たとえば、高次脳機能障害で1級1号、脊髄損傷で5級2号、むち打ちで12級13号というように認定されます。
参考情報:「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)
後遺障害慰謝料の基準による違いと金額について
後遺障害慰謝料は、被害者の方が認定された後遺障害等級に応じて相場金額が定められています。
「後遺障害慰謝料早見表」をご用意しました。
自賠責基準と弁護士(裁判)基準で、それぞれ相場金額がいくらになるか確認できます。
<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>
なお、のちほど詳しくお話しますが、この金額はあくまでも相場金額であって固定されたものではありません。
実際の損害賠償実務では、慰謝料額が増額することはよくあるので、一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
死亡慰謝料を弁護士基準で計算
弁護士基準による死亡慰謝料の相場金額も、次の表のように大体の相場金額が定められています。
<弁護士基準による死亡慰謝料の相場金額早見表>
被害者の状況 | 死亡慰謝料の目安 (近親者への支払い分を含む) |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親、配偶者 | 2500万円 |
独身の男女、子供、幼児等 | 2000万円~2500万円 |
ただし、これもあくまで相場金額なので、たとえば加害者が悪質な危険運転だった場合や、被害者の方に特別な事情がある場合などでは慰謝料増額も可能なケースがあるので、ご遺族は弁護士に尋ねてみるといいでしょう。
慰謝料を弁護士基準で増額解決するために大切なこと
ここまでお話ししてきたように、交通事故の慰謝料は弁護士基準で計算すると、もっとも高額になります。
では、弁護士基準の慰謝料額で増額解決するにはどうすればいいのかというと、ズバリ「弁護士に相談・依頼してください!」ということになります。
ただし、交通事故の損害賠償実務に精通した弁護士に必ず相談・依頼することをおすすめします。
弁護士にも得意・不得意がありますが、交通事故の損害賠償実務は複雑であり、医学的知識や後遺障害等級の知識など、専門性が高い分野であるためです。
交通事故に強い弁護士に相談・依頼することで、被害者の方はシビアな示談交渉(慰謝料などの金額交渉)から解放されます。
また、各慰謝料が弁護士基準で増額する可能性が、かなり高くなります。
これは紛れもない事実なのです。
もし弁護士に相談・依頼することを迷われているなら、まずは、みらい総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
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