【実例付き】20代の交通事故の慰謝料の計算
20代の方が被害者になった交通事故の慰謝料について、死亡事故と後遺症事故の両方からお話ししていきます。
慰謝料は、被害者の方が受け取ることができる損害項目の中でも金額が大きくなるものの1つのため、加害者側との示談交渉で争点となり、もめることが多いものです。
そこで本記事では、交通事故の慰謝料についての基礎知識から算定方法や増額方法、示談交渉の注意ポイントなどについて、みらい総合法律事務所によせられる疑問・質問などの中からQ&A形式で解説していきたいと思います。
目次
みらい総合法律事務所が解決した慰謝料増額事例を紹介します
まずは、みらい総合法律事務所で実際に解決した、慰謝料などの損害賠償金に関する増額事例を紹介します。
みなさんにお伝えしたいのは次のことです。
- 交通事故の損害賠償実務の現場では、どのようなことが行なわれているのか。
- 加害者側の任意保険会社の示談金提示額が、かなり低い事実とその理由。
- 示談交渉に弁護士が入ると、どのくらい増額するのか。
- 裁判で判決まで行った場合の増額率。
交通事故問題の現実を知、今後の示談交渉などで役立てていただきたいと思います。
解決事例①21歳男性の死亡事故で慰謝料等が約3,330万円増額して約9,500万円で解決
被害者 21歳 男性 事例 死亡事故 ご相談の経緯 ご遺族は、提示額の妥当性の相談をするとともに、示談交渉をみらい総合法律事務所の弁護士に依頼。
保険会社
提示の示談金6171万5418円 解決額 9500万円
(保険会社提示額から約3300万円の増額)引用元:みらい総合法律事務所
21歳の男性(学生)が路上にいたところ、直進自動車に衝突された死亡事故です。
加害者側の任意保険会社は、ご遺族に対し慰謝料などの損害賠償金として、約6,171万円を提示。
ご遺族は、この金額が妥当なものか確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解に納得がいったことで、今後の示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉したところ、被害者の方が路上にいたことで過失割合が争点となり、交渉が紛糾したため、提訴して裁判に進みました。
裁判では、弁護士が加害者の速度超過運転を主張・立証し、これらが認められたことで、最終的には9,500万円で解決となった事例です。
保険会社の当初提示額から約3,330万円も増額したことになります。
加害者側に悪質運転などがあった場合は慰謝料等の増額理由になることを動画で解説しましたのでご視聴ください。
詳細はこちら→
「解決実績」
解決事例②28歳男性の死亡事故で慰謝料等が増額して約6,150万円で解決
被害者 28歳男性 ご相談の経緯 ご遺族は、当初より、みらい総合法律事務所の弁護士に示談交渉を依頼。
解決額 6150万円
引用元:みらい総合法律事務所
28歳の男性(会社員)が、自転車で交差点を走行中、左折トラックに衝突された死亡事故です。
ご遺族は加害者の刑事裁判への被害者参加を希望していたこともあり、当初から、みらい総合法律事務所に事故対応を依頼していました。
刑事事件の終了後、弁護士が加害者側の任意保険会社と交渉を開始しましたが、決裂したため提訴。
裁判では慰謝料、逸失利益、過失割合などが争点となりましたが、最終的には和解決着となり、6,150万円での解決となりました。
死亡慰謝料は相場金額2,500万円のところ、2,600万円に増額となっています。
被害者の方のご家族、ご遺族は加害者の刑事裁判に参加できる制度があります。
希望される方のために動画で解説しましたので、ご視聴ください。
詳細はこちら→
「解決実績」
解決事例③23歳男性の慰謝料等が約3,380万円増額して約7,981万円で解決
ご相談者 23歳 男性 部位 左上肢 ご相談の経緯 被害者が提示された金額の妥当性について、みらい総合法律事務所に相談し、示談交渉を依頼。
症状 左上肢欠損 後遺障害等級 併合4級 保険会社
提示の示談金4605万5656円 解決額 7981万円
(約3400万円の増額)引用元:みらい総合法律事務所
23歳の男性(会社員)が、左上肢欠損などの傷害を負った交通事故。
後遺障害等級は併合4級が認定され、被害者の方が加害者側の任意保険会社と示談交渉したところ、約4,605万円を提示されました。
被害者の方は、この金額が妥当なものかを確認するため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の説明に納得できたことから、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉しましたが、決裂したため提訴。
裁判では逸失利益などが争点となりましたが、最終的には弁護士の主張が満額認められ、7,981万円で解決となりました。
当初提示額から約3,380万円が増額したことになります。
交通事故の被害で後遺症が残らなければ得られたはずの収入(利益)を逸失利益といいます。
職業別の逸失利益について動画で解説していますので、ご視聴ください。
詳細はこちら→
「解決実績」
解決事例④21歳女性の慰謝料等が約2,200万円増額して約6,078万円で解決
引用元:みらい総合法律事務所
21歳の女性(学生)が自転車で、青信号の丁字路交差点を走行中、信号無視のトラックに衝突された交通事故。
被害者女性は、脳挫傷などの傷害(ケガ)を負い、高次脳機能障害と味覚障害の後遺症が残ってしまい、後遺障害等級はそれぞれ7級4号と14級相当で併合7級が認定されました。
加害者側の任意保険会社は被害者の方に対して、慰謝料などの損害賠償金として、約3,871万円を提示。
そこで被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、「この金額は低すぎる」との意見が弁護士から出たため、その後の示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が保険会社と交渉したところ、逸失利益などが争点になりましたが、最終的には保険会社が弁護士の主張を受け入れ、約2,200万円増額の約6,078万円で解決した事例です。
脳への損傷では、高次脳機能障害の後遺障害が残ってしまうケースが多くあります。
高次脳機能障害の後遺障害等級と慰謝料増額について動画で解説していますので、ご覧ください。
詳細はこちら→
「解決実績」
解決事例⑤25歳男性の慰謝料等が約3倍増額して約3,250万円で解決
引用元:みらい総合法律事務所
25歳の男性会社員がバイクで直進中、左方道路から走行してきた自動車に衝突され、脊椎圧迫骨折などの傷害(ケガ)を負った交通事故。
被害者の方は後遺障害等級の申請を行ない、脊柱変形で8級、神経症状で14級9号の併合8級が認定され、加害者側の任意保険会社は被害者の方に対して、慰謝料などの損害賠償金として約1,102万円を提示しました。
この金額が適正かどうか、被害者の方は判断できなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解は「増額は可能」というものだったことから、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が交渉を進めましたが、保険会社が譲歩せず、決裂したため提訴。
裁判所は弁護士の主張を認め、約3倍に増額した3,250万円で解決となった事例です。
裁判を起すことに躊躇する方もいますが、さまざまなメリットもあります。
動画で解説しましたので、ご視聴ください。
詳細はこちら→
「解決実績」
解決事例⑥28歳男性の慰謝料等が128倍に増額!
引用元:みらい総合法律事務所
28歳の男性がタクシーに衝突された交通事故です。
脊柱圧迫骨折の傷害(ケガ)脊柱変形の後遺症が残り、後遺障害等級を申請したところ、11級7号が認定されました。
加害者側のタクシー会社は、被害者の方に対して慰謝料などの損害賠償金として10万円を提示。
これに疑問を感じた被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。
弁護士の見解は、「かなりの増額が見込める」というものだったため、示談交渉のすべてを依頼されました。
弁護士が交渉したところ、最終的には1,280万円で示談成立。
当初提示額から、128倍にも増額したことになります。
詳細はこちら→
「解決実績」
タクシーによる死亡事故の解説は「タクシーによる死亡事故の慰謝料の相場と計算方法」をご覧ください。
Q.1:入通院慰謝料の計算方法を教えてください。
娘(22歳)が交通事故で入院後、現在はケガの治療のために通院しています。
慰謝料について調べてみると、入通院慰謝料というものを受け取ることができると知りました。
どのように金額を計算するのでしょうか?
A.1:入通院慰謝料(傷害慰謝料)の自賠責基準と弁護士(裁判)基準による算定についてお話します。
入通院慰謝料の自賠責基準による計算と注意ポイント
入通院慰謝料の自賠責基準での算定では、次の計算式を用います。
気をつけていただきたいのは、入通院日数(治療の対象日数)です。
次のどちらか短いほうが採用されることに注意してください。
B)「実際に治療した日数×2」
例として、ここでは次の条件で計算してみます。
・治療期間:4か月(1か月の入院 + 3か月の通院) = 120日間
・実際に治療した日数:1か月入院 = 30日間
3か月の通院のうち平均で週に2回の通院 = 13週 × 2日 = 26日間
30日間 + 26日間 = 56日間
A)4,300円 × 120日 = 516,000円
B)4,300円 × (56日 × 2) = 481,600円
この場合、日数が短いB)が採用されるので、481,600円が入通院慰謝料として認められることになります。
入通院慰謝料の弁護士(裁判)基準による算定方法
弁護士(裁判)基準での入通院慰謝料の算定では計算式は使わず、「入通院慰謝料の算定表」で金額を割り出します。
この算定表は、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『損害賠償額算定基準』に記載されているもので、ケガの程度によって「軽傷用」と「重傷用」があります。
<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(むち打ちなどの軽傷用)>
<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(重傷用)>
ここでも、自賠責基準での計算例と同条件(2か月の入院+3か月の通院)で金額を算出してみます。
「重傷用」の表で、「入院2か月」と「通院3か月」が交わった部分を見ると、「154」となっているので、この場合の弁護士(裁判)基準での入通院慰謝料は「154万円」になります。
やはり、弁護士(裁判)基準での慰謝料額が高額になることをまずは知っていただきたいと思います。
Q.2:後遺障害慰謝料の適切な金額を知りたいです。
甥(28歳)が交通事故の被害にあい、後遺症が残ってしまいました。
これから、どのような手続きが必要でしょうか? また慰謝料はどのくらい請求できるのでしょうか?
A.2:後遺症が残ってしまった場合は後遺症が等級の認定を受けた後、その等級に応じた後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
後遺障害等級とは?
後遺障害慰謝料については通常、被害者の方の後遺障害等級が認定されることで、加害者側の任意保険会社から金額提示があります。
後遺障害等級は、もっとも重度の1級から14級までが設定されており、後遺障害が残った身体の部位によって各号数が認定されます。
参考情報:「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)
後遺障害慰謝料の早見表
後遺障害慰謝料は、あらかじめ等級によって相場金額が決められています。
ここでは自賠責基準と弁護士(裁判)基準での相場金額早見表を掲載しますので参考にしてください。
<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>
後遺障害慰謝料でも、弁護士(裁判)基準のほうがかなりの高額になるということをぜひ知っておいていただきたいと思います。
なお、上記金額はあくまでも相場であり、後遺障害慰謝料は増額する場合があります。
主張・立証するべき理由がある場合は一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
Q.3:交通事故の死亡慰謝料はどのように計算すればいいのでしょうか?
兄弟同然の従弟を交通事故で亡くしました。
叔父と叔母は憔悴しきっているため、私が力になってあげたいと思っています。
加害者側との示談交渉があるので、慰謝料について知りたいのですが、どのように算定するのでしょうか?
A.3:交通事故の死亡慰謝料は、あらかじめ相場となる金額が決められているので解説します。
自賠責基準の場合の相場金額
自賠責基準による死亡慰謝料は、概ねの相場金額が次のように決められています。
家族構成 | 金額 |
---|---|
本人 | 400万円(一律) |
遺族が1人の場合 | 550万円 |
遺族が2人の場合 | 650万円 |
遺族が3人以上の場合 | 750万円 |
扶養家族がいる場合 | 200万円が加算 |
※「遺族」には、亡くなった被害者の方の両親、配偶者、子が含まれる。
自賠責基準による死亡慰謝料の注意ポイントとしては、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われることです。
たとえば、被害者の方(20代)が未婚で父と母がいれば、自賠責基準の死亡慰謝料の相場金額(合計)は次のようになります。
自賠責保険について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
弁護士(裁判)基準の場合の相場金額
弁護士(裁判)基準で算定される死亡慰謝料も、次のように概ねの金額が決められています。
<弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料の相場金額早見表>
被害者の状況 | 死亡慰謝料の目安 (近親者への支払い分を含む) |
---|---|
一家の支柱 | 2,800万円 |
母親、配偶者 | 2,500万円 |
独身の男女、子供、幼児等 | 2,000万円~2,500万円 |
死亡事故の慰謝料について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
死亡慰謝料についても、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では、金額に倍以上の違いが出てくることを忘れないでいただきたいと思います。
なお、上記の死亡慰謝料額もあくまで相場金額です。
事故の態様や被害者の方の固有の事情などによって、さらに増額する可能性があります。
どのような場合に死亡事故の慰謝料が相場金額から増額するのか、事例で解説しましたので、ご視聴ください。
代表社員 弁護士 谷原誠