高速道路の交通事故では過失割合は変わる?死亡事故の場合も解説
高速道路は一般道路とは交通ルールが異なることから、交通事故発生時の過失割合にも違いが生じます。
合流などの高速道路特有の事故形態では、過失割合の判断が難しくなるケースもあるため注意が必要です。
本記事では、高速道路で発生する交通事故のケースごとの過失割合と、死亡事故における慰謝料の相場について解説します。
目次
高速道路とは?一般道路との違い
高速道路は、自動車の高速交通のために整備された道路であり、自動車のみが通行できるように設計されています。
一般道路と比べて最高速度が高いだけでなく、最低速度も定められています。
また、高速道路ではバック(後退)やUターン(転回)が禁止されており、原則として駐停車も認められていません。
そのため、一般道路では許容される行動であっても、高速道路では交通ルール違反となる場合があるため注意が必要です。
高速道路で発生する事故の特徴
高速道路は走行速度が高く、車線変更や合流が頻繁に行われるため、事故態様も一般道路とは異なります。
高速道路を利用する場合、一般道路から本線へ合流することになりますが、合流地点では本線走行車と合流車の速度差により接触事故が発生しやすくなります。
また、車線変更時の優先関係は定められているものの、安全確認不足や無理な割り込みによって事故が起きるケースも少なくありません。
さらに、路肩に停車している車両との接触事故や逆走車との衝突は、走行速度が高いことから、被害が大きくなりやすいです。
交通事故による過失割合とは?
交通事故の過失割合は、損害賠償額や慰謝料に直接影響するため、その仕組みを正しく理解しておくことが欠かせません。
過失割合の基本的な考え方
過失割合とは、交通事故が発生した際に、当事者それぞれがどの程度の責任を負うかを数値化したものです。
たとえば、過失割合が「10:0」の場合は、加害者側に全面的な責任があることを意味します。
一方、過失割合「7:3」のケースは、加害者側に主な責任があるものの、被害者側にも一定の責任があることを示します。
被害者に過失がある場合は「過失相殺」が行われ、請求できる損害賠償額が減額されるため、過失割合は被害者にとっても極めて重要な要素となります。
過失割合が決まる仕組み
過失割合は、基本過失割合を基準に、車両の動き、速度、視認性、道路構造といった修正要素を踏まえて決定されます。
基本過失割合とは、過去の裁判例などをもとに事故類型ごとに示された、過失割合の基準となる数値です。
「別冊判例タイムズ」では、主な事故類型ごとの基本過失割合が整理されており、実務における参考資料として広く利用されています。
基本過失割合が「8:2」とされるケースでも、加害者に信号無視や著しい速度超過などの加算要素があれば、「9:1」や「10:0」へと修正されることがあります。
高速道路と一般道路の
過失割合が異なる理由
高速道路は走行速度が高いため、事故が重大化しやすい環境にあります。
運転者には一般道路以上に高度な注意義務が求められ、交通事故が発生した場合には、違反した側の責任がより重く評価される傾向があります。
また、高速道路と一般道路では交通ルールが異なるため、類似する事故であっても、ケースごとに基本過失割合を確認し、修正要素を踏まえて最終的な過失割合を判断することが重要です。
高速道路での交通事故の
ケース別過失割合
高速道路で発生しやすい以下の代表的な事故形態ごとに、基本となる過失割合を解説します。
合流地点で発生した事故の
過失割合
高速道路の合流地点で発生した事故の基本過失割合は、「合流車:本線走行車 = 7:3」です。
高速道路では、本線を走行している車が優先されるため、合流車は本線走行車の進行を妨害してはいけません。
そのため、合流地点の事故では、合流車側の過失割合が高くなります。
走行車線から追越車線へ
進路変更した際の事故の
過失割合
走行車線から追越車線へ進路変更した際の事故の基本過失割合は、「進路変更車:後続直進車 = 8:2」です。
進路変更車は、後続直進車の速度や位置を十分に確認し、安全に進路変更できる状況でなければ進路を変更してはいけません。
そのため、進路変更に伴う事故では、進路変更を行った車の過失が大きく評価されます。
また、無理な割り込みや急な進路変更があった場合には修正要素が加わり、進路変更車の過失がさらに重くなる可能性があります。
片側3車線以上の道路で
進路変更した際の事故の
過失割合
片側3車線以上の高速道路で進路変更時に発生した事故の基本過失割合は、「進路変更車:後続直進車 = 7:3」です。
進路変更を行う車には、後続車の速度や位置を十分に確認する高度な注意義務が課されます。
そのため、進路変更時に発生した事故では、進路変更車側の過失が大きく評価される傾向があります。
過失によって駐停車した車に
追突した事故の過失割合
過失によって駐停車した車に追突した事故の基本過失割合は、「追突車:被追突車 = 6:4」です。
過失による駐停車には、自身の過失による事故のほか、ガス欠やエンジントラブルなどが含まれます。
一般道路で信号待ち中に発生した追突事故の過失割合は「追突車:被追突車 = 10:0」とされ、追突した側の過失が全面的に問われます。
しかし、高速道路では駐停車が原則禁止されているため、過失によって駐停車した車側にも一定の過失があると判断されます。
過失なく駐停車した車に
追突した事故の過失割合
過失なく駐停車した車に追突した事故の基本過失割合は、「追突車:被追突車 = 10:0」です。
高速道路は原則として駐停車は禁止ですが、駐停車した車に過失がない場合には、追突車側に全面的な非があると判断されます。
ただし、駐停車した後に停止表示機材を置くなどの必要な措置を講じなかった場合には、追突された側にも一定の非があるとして、基本過失割合は「追突車:被追突車 = 8:2」となります。
路肩・路側帯に駐停車している
車に追突した事故の過失割合
高速道路の路肩や路側帯に駐停車している車に追突した事故では、基本過失割合は「追突車:被追突車 = 10:0」となります。
路肩等は原則として車の通行が禁止されているため、路肩等を走行したことが原因で追突事故が発生した場合は、追突車側に全面的な非があると判断されます。
理由なく急ブレーキをかけた
ことが原因で発生した事故の
過失割合
理由なく急ブレーキをかけたことが原因で発生した事故の基本過失割合は、「後続車:先行車 = 5:5」です。
高速道路は原則として駐停車が禁止されているため、急ブレーキは一般道路よりも事故につながるリスクが高くなります。
一方で、後続車には適切な車間距離を保ち、急な減速にも対応できるよう注意して走行する義務があります。
そのため、先行車の急ブレーキが原因の事故であっても、双方に同程度の過失があると判断されます。
落下物が原因で発生した
事故の過失割合
落下物が原因で事故が発生した場合の基本過失割合は、「後続車:先行車 = 4:6」です。
車は積載物が落下しないよう注意して走行する義務がありますが、後続車にも前方をよく確認しながら走行する義務があります。
そのため、後続車にも一定の過失があると判断されますが、落下した場所までの距離や落下物の大きさなどによって、過失割合が修正される場合があります。
高速道路の修正要素
高速道路で発生した事故の過失割合を算定する際は、基本過失割合に修正要素を加えて判断されます。
たとえば、進路変更車が進路変更時に合図をしなかった場合には、後続直進車の過失割合が減算されます。
また、夜間や悪天候で視界が悪い状況、渋滞末尾での急停止など、環境要因が過失割合に影響することもあります。
- 進路変更時の合図なし、合図遅れ
- 速度違反
- 視認不良
- 著しい過失(わき見運転など)
- 重過失(居眠り運転など)
高速道路での死亡事故の
慰謝料の相場
高速道路は走行速度が高く、事故の衝撃が大きくなるため、死亡事故に至るケースが一般道路より多い傾向があります。
ここでは慰謝料の考え方や、死亡事故における慰謝料の相場について整理します。
死亡事故における
慰謝料の考え方
死亡事故の慰謝料には、被害者本人が受けた精神的苦痛に対する「本人の慰謝料」と、遺族が受ける精神的苦痛に対する「遺族固有の慰謝料」があります。
慰謝料は、心身に損害を受けたことで生じた精神的苦痛に対する賠償金ですが、死亡事故は遺族も大きな精神的苦痛を受けるため、遺族にも慰謝料を請求する権利が認められることがあります。
遺族固有の慰謝料を請求できるのは、被害者の父母、配偶者および子です。
ただし、被害者との関係性によっては、同居していた祖父母などにも認められることがあります。
慰謝料の算定基準と金額の目安
死亡事故の慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つの算定基準があります。
自賠責基準の死亡慰謝料の相場は400万円から1,350万円と、3つの中で最も水準が低いです。
一方、慰謝料が最も高額になる弁護士基準の死亡慰謝料は2,000万円から2,800万円程度とされており、算定基準が変わるだけで死亡慰謝料が数倍に増えることもあります。
実際の死亡慰謝料は、被害者の家族構成や扶養状況、事故態様などによって金額が変動します。
悪質な運転が原因で死亡事故に至った場合など、遺族の精神的負担が大きいと判断されるケースでは、相場を上回る慰謝料が認められることもあります。
そのため、適正な慰謝料を受け取りたい場合には、弁護士に相談して示談交渉を進めることを検討してください。
高速道路における交通事故の
示談交渉は弁護士に要相談
高速道路での交通事故は重大化しやすいため、過失割合の判断がより一層重要になります。
慰謝料は示談交渉によって決定されますが、加害者側から不利な条件が提示されることも想定されます。
弁護士に相談すれば、事故状況の分析や適切な過失割合の主張、慰謝料・損害賠償額の算定など、専門的な視点からサポートを受けられます。
特に死亡事故や重度の後遺障害が残る事故では賠償額が高額になるため、専門知識を持つ弁護士の関与が極めて重要です。
高速道路での交通事故でお困りの場合は、まずは一度、みらい総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
↓↓
弁護士へのご相談の流れ
↑↑
代表社員 弁護士 谷原誠















