内縁関係にある夫が交通事故で死亡したのですが、私(内縁の妻)は損害賠償を請求できますか?
交通事故と内縁関係の問題について、弁護士が解説します。
婚姻届を提出していないため法律上の夫婦ではないが、実質的には夫婦として共同生活を営んでいる関係を内縁関係といいます。
婚姻届を提出している法律上の妻であれば、交通事故で夫が死亡した場合は、夫が死亡しなければ得られたはずの利益(逸失利益)の損害賠償請求権を相続しますので、当然に自賠責保険金を請求することができます。
これに対し、内縁の妻の場合には相続権がありません。しかし、内縁の妻にまったく賠償がなされないとなると、内縁の妻が内縁の夫の収入によって生計を立てていた場合にあまりに酷です。
そこで、最高裁平成5年4月6日判決では、交通事故で死亡した被害者に内縁の妻がいた事案において、「内縁の配偶者が他方の配偶者の扶養を受けている場合において、その他方の配偶者が保有者の自動車の運行によって死亡したときは、内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の損失を損害として、保有者に対してその賠償を請求することができる」としています。
したがって、内縁の妻が、被害者の扶養を受け生活をしていたような場合には、加害者に対して損害賠償を請求できます。
なお、請求の際には、同居していたことがわかる住民票や、内縁の妻を被保険者とした健康保険証、近隣者・被害者の近親者・勤務先等からの証明などの資料によって、内縁関係にあったことを証明する必要があります。
以上、内縁の夫が交通事故で死亡した場合の問題について、弁護士が解説しました。
内縁関係にある配偶者が交通事故で死亡した場合には、弁護士にご相談ください。
関連記事