交通事故で手首を骨折(前腕骨折)したときの後遺症や慰謝料
交通事故で手首を骨折すると、日常生活の動作が大きく制限されます。
前腕骨折や手根骨を損傷した場合、事故直後の対応が遅れると後遺症につながることがあるため、早期に医療機関を受診し、適切な処置を受けることが求められます。
本記事では、交通事故で起こりやすい手首骨折の種類や後遺症として残りやすい症状、そして請求できる慰謝料の相場について解説します。
目次
手首の構造と骨折の特徴
手首(手関節)は、前腕と手のひらをつなぐ関節で、前腕の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)と、手首にある8つの手根骨で構成されています。
前腕骨は手首から肘までを構成する2本の骨で、橈骨は親指側、尺骨は小指側に位置します。
橈骨や尺骨が折れると、強い痛みや痺れ、手首が動かしにくくなるといった症状が出ます。
手根骨は小さな骨が複雑に動いているため、骨折すると握力低下や手首の動きに制約がかかることがあります。
また、手根骨の一つである舟状骨(しゅうじょうこつ)は血流が少なく、特に治りにくい骨です。
適切な治療が遅れると、痛みや動かしにくさが長く続くことがあり、場合によっては手術が必要になることもあります。
交通事故で手首骨折が起きる
主な原因
車同士の交通事故では、ハンドルを握ったまま衝撃を受けることで手首に強い力がかかり、骨折に至ることがあります。
自転車やバイク事故では、ハンドルを握った状態で衝撃を受けたり、転倒して手をついた際に前腕骨や手根骨が折れるケースが多く見られます。
人は転倒時に反射的に手を出すため、接触の衝撃が小さくても、体重と衝撃が同時に手首に加わることで骨折が生じることがあります。
歩行者事故でも、衝突の反動で手をついたり手首をひねったりすることで、関節周囲を損傷することがあるため注意が必要です。
なお、関節内に骨折が及ぶと可動域制限などの後遺症が残る可能性があるため、軽微な事故でも痛みや違和感が出たら早めに検査・治療を受けることが大切です。
手首骨折の種類
手首骨折は、折れた部位によって症状や後遺症のリスクが大きく異なります。
ここでは代表的な手首骨折の種類と特徴を整理します。
一つずつ詳しく解説します。
橈骨遠位端骨折
(コーレス骨折・スミス骨折)
橈骨遠位端骨折は、前腕の橈骨の手首側が折れるもので、交通事故や転倒で多く発生する代表的な骨折です。
この骨折には、「コーレス骨折」と「スミス骨折」があります。
コーレス骨折は、手のひらをついて転倒し手首が背屈した際に起こりやすく、骨が手の甲側へずれるのが特徴です。
スミス骨折は、手の甲側が地面についたり手首が手のひら側へ強く曲がった際に発生し、骨が手のひら側へずれます。
自転車やバイク事故では、ハンドルを握ったまま倒れたときにスミス骨折が起こることがあります。
尺骨遠位端骨折
尺骨遠位端骨折は、小指側に位置する尺骨の手首寄りが折れる骨折で、交通事故でも発生しやすい骨折の一つです。
骨折すると腫れや痺れが出るだけでなく、前腕を回す動作で痛みが強くなることもあります。
適切な処置を行わないと、可動域の制限や痛みが長期化することがあるため注意が必要です。
前腕骨折
前腕骨折は、橈骨または尺骨のどちらか、あるいは両方が折れる骨折です。
2本が同時に折れた場合は前腕が大きく変形し、手首から肘にかけての動きが制限されます。
骨折するほどの強い負荷が外部から加わった場合、神経や血管に影響が及ぶこともあり、痺れや機能障害が後遺症として残る可能性があります。
舟状骨骨折
舟状骨骨折は、手首を背屈した状態で手をついた際に起こりやすい骨折です。
舟状骨は血流が乏しいため骨がくっつくのが遅れやすく、偽関節になるリスクが高い骨です。
偽関節とは、治療を行っても骨がくっつかず、折れた部分が関節のように動いてしまう状態をいいます。
舟状骨が折れていることに気が付かず、捻挫などと誤認して放置していると偽関節になることもあるため注意が必要です。
中手骨骨折
中手骨骨折は、手の甲にある5本の中手骨のいずれかが折れる骨折で、交通事故の衝撃や転倒して手を強くついた際に発生することがあります。
骨折した場合には、強い痛みや腫れによって指が動かしにくくなります。
また、骨折によって骨がずれてしまうと、指の動きに影響が出る後遺症が残ることがあります。
交通事故で手首を骨折した際の
検査と治療方法
交通事故で手首を骨折した場合、早期の受診と適切な治療を行うことが後遺症を防ぐうえで重要になります。
手首骨折で行われる検査
手首骨折が疑われる場合、レントゲン検査で骨折の有無や位置、骨のずれの程度を確認します。
骨折の状態によっては、CT検査やMRI検査で骨や周辺組織の損傷範囲を把握することもあります。
保存療法
手首骨折の治療は、骨折した部位や骨のずれの有無によって異なります。
骨の位置が保たれている場合は、ギプスで固定して骨癒合を促します。
橈骨遠位端骨折の固定期間は、4〜6週間程度が目安です。
固定中は筋力低下や関節の硬さが生じるため、ギプスを外した後にはリハビリが必要になります。
手術療法
骨折による骨のずれが大きい場合には、骨折部を整復して固定するための手術が行われることがあります。
骨を正しい位置に戻し安定させるために、金属プレートなどの固定材料を使用することがあります。
骨癒合後にはプレートを抜去する再手術が行われることもありますが、抜去の時期や必要性は症状などに応じて医師が判断します。
手術を行った場合でも、適切な治療とリハビリを継続することで、可動域制限や痛みなどの後遺症を最小限に抑えることができます。
手首骨折で認定される
後遺障害等級
交通事故で手首を骨折し、後遺症が残ったとしても、後遺障害の認定を受けなければ、後遺障害慰謝料を請求することはできません。
後遺障害等級認定とは
後遺障害等級認定とは、交通事故で残った症状を「後遺障害」として評価してもらうための手続きです。
後遺障害として認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。
等級は1級から14級まであり、症状の重さや日常生活・仕事への支障の程度によって判定が行われます。
認定を受けるには、医師による症状固定の診断を前提に、後遺障害診断書、画像検査の結果、治療経過の記録などの医学的資料が必要になります。
これらの資料が不十分な場合、後遺障害として認定されない場合や、適正な等級が認定されない恐れがあるため、継続的に通院し、症状を記録しておくことが大切です。
手首骨折による後遺障害の種類
交通事故で手首を骨折し、痛みや可動域の制限などの症状が残った場合には、以下のような後遺障害として認定される可能性があります。
一つずつ詳しく解説します。
神経障害
手首の骨折によって神経が損傷したり、癒合後の変形によって神経が圧迫されたりすると、痺れや慢性的な痛みが残ることがあります。
このような症状が持続する場合には、神経障害としての後遺障害等級が認定される可能性があります。
<手首骨折による神経障害の後遺障害等級>
| 症状の内容 | 認定等級 |
|---|---|
| 局部に頑固な神経症状を残すもの | 12級13号 |
| 局部に神経症状を残すもの | 14級9号 |
機能障害
手首の骨折によって可動域が制限され、日常的な動作が正常に行えなくなった場合には、機能障害として認定される可能性があります。
<手首骨折による機能障害の後遺障害等級>
| 症状の内容 | 認定等級 |
|---|---|
| 1上肢の3大関節中の1関節の用を 廃したもの |
8級6号 |
| 1上肢の3大関節中の1関節の機能に 著しい障害を残すもの |
10級10号 |
| 1上肢の3大関節中の1関節の機能に 障害を残すもの |
12級6号 |
変形障害
骨折した箇所が適切に癒合せず偽関節となった場合には、後遺障害として認定される可能性があります。
また、骨が癒合したとしても、変形が残ったときは、変形障害として認定されることがあります。
<手首骨折による変形障害の後遺障害等級>
| 症状の内容 | 認定等級 |
|---|---|
| 1上肢に偽関節を残し、 著しい運動障害を残すもの |
7級9号 |
| 1上肢に偽関節を残すもの | 8級8号 |
| 長管骨に変形を残すもの | 12級8号 |
交通事故の手首骨折に対する
慰謝料の相場
手首骨折に対する慰謝料は、後遺障害の等級だけでなく、採用する算定基準によっても大きく変動します。
慰謝料の算定基準
交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。
自賠責基準は最も低額、任意保険基準は中間、弁護士基準が最も高額とされています。
認定された後遺障害等級が同じでも、用いる基準が異なると受け取れる慰謝料には大きな差が生じます。
そのため、適正な慰謝料を受け取るためには、弁護士基準で算定することが望ましいです。
ただし、弁護士基準での請求には専門的な知識や経験が必要となるため、弁護士に依頼するなどの対応が欠かせません。
後遺障害が認定された場合の
慰謝料
交通事故で手首を骨折し後遺障害が残った場合、後遺障害の程度によって慰謝料の額は大きく変わります。
たとえば、手首骨折により神経障害が残った場合には、後遺障害等級の14級9号または12級13号に認定される可能性があります。
14級9号の自賠責基準による後遺障害慰謝料は32万円ですが、12級13号として認定されると94万円まで増額されるため、認定される等級は非常に重要です。
また、同じ等級でも弁護士基準で算定した場合には、14級9号で110万円、12級13号で290万円となり、自賠責基準と比べて数倍の慰謝料を請求できることがあります。
入通院慰謝料についても、弁護士基準を用いた方が金額は大きくなるため、適正な後遺障害等級の認定を受け、弁護士基準に基づいて請求することが重要です。
交通事故で手首を骨折した場合は
弁護士に要相談
交通事故で手首を骨折した場合、可動域制限や痺れなどの後遺症が残る可能性があります。
後遺障害等級認定を受ける際には、後遺症の症状が同じでも、提出する資料や医療記録の内容によって結果が変わることがあるため、医学的根拠を適切に示すことが重要です。
適正な補償を受けるためには、交通事故に精通した弁護士に相談し、手続きや証拠収集を専門的にサポートしてもらうことが大切です。
交通事故の被害に遭った際は、治療とあわせて、適切な補償を受けるための準備も進めておきましょう。
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代表社員 弁護士 谷原誠
















