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【頭部外傷】交通事故で麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料の相場と計算

最終更新日 2021年 09月01日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

【頭部外傷】交通事故で麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料の相場と計算


【動画解説】交通事故で脳損傷になった場合の後遺障害等級と解決事例

交通事故で頭部は傷害(けが)を受けやすい部位のひとつです。

頭部のけがで怖いのは脳がダメージを受けてしまい、手足などの麻痺(まひ)という重度の後遺症が残ってしまうことです。

後遺症とは一生つきあっていかなければいけないので、被害者の方やご家族は精神的にも肉体的にも、つらい思いをしなければいけません。

被害者の方は、交通事故で被った損害に対しての償いとして金銭的補償を加害者側に請求することができます。(通常、加害者が任意保険に加入している場合はその保険会社が相手になります)

ここで問題になるのが、保険会社が提示してくる示談金額(損害賠償金、保険金と同じものです)は相場よりかなり低いことがほとんどということです。

それはなぜなのでしょうか?

慰謝料などの示談金を適切な金額に増額する方法はあるのでしょうか?

詳しく解説していきます。

この記事を読むと次のことがわかります

☑麻痺の後遺症では何級の後遺障害等級が認定されるのか?
☑後遺障害等級が大切な理由とは?
☑慰謝料などの損害賠償金(示談金)の相場はいくら?
☑慰謝料などを増額させる方法はあるのか?
☑示談交渉で注意するべきことは?

これから交通事故で頭部外傷を負い、麻痺の後遺症が残った場合の慰謝料増額法などについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

頭部外傷と手足の麻痺について


交通事故などで頭部の外側から力がかかり、皮膚や皮下組織、頭蓋骨、脳に損傷が起きることを頭部外傷といいます。

その程度によって、いわゆる“たんこぶ”から生命の危機に直結する傷害(けが)までさまざまありますが、脳自体を損傷したり出血することにより、手足などに麻痺が残ってしまう場合もあります。

麻痺の後遺症が残ってしまうような頭部の損傷は、大きく次の3つに分けられます。

(1)頭蓋骨骨折

部位によって、頭蓋円蓋部骨折と頭蓋底骨折の2つに分けられます。

なお、頭蓋円蓋部骨折は、さらに線状骨折、陥没骨折、粉砕骨折の3つに分けられます。

頭蓋骨骨折により、脳髄液の漏洩、脳浮腫、頭蓋内血腫、硬膜外血腫、髄膜炎(合併症として)などを発症する場合があります。

(2)局所性脳損傷

脳の特定の部位に外力が作用することで起きるもので、病態は次の4つに分類されます。

①脳挫傷

脳自体の挫滅、出血、浮腫(はれ)が発生します。

外傷を受けた側だけでなく、その反対側の脳にも損傷を受ける場合があります。

②急性硬膜外血種

頭蓋骨と、その下にある硬膜の間に血種が溜まってしまう状態です。

③急性硬膜下血種

頭蓋骨の下にある硬膜(脳を覆っている)と脳の間に血種が溜まってしまう状態です。

④脳内血種

脳内に血種が溜まってしまう状態です。

(3)びまん性軸索損傷

脳に強い外力がかかると頭蓋骨内で脳全体が激しく動きますが、その衝撃で脳の表面だけでなく内部の深い部分に損傷を受ける場合があります。

大脳の白質部分や脳梁(右脳と左脳をつないでいる部分)、脳の中心部の脳幹などには各細胞から伸びる無数の軸索と呼ばれる神経線維が束になって集まっていますが、この軸索が広い範囲で伸びたり切れたりするのが、びまん性軸索損傷です。

一度、損傷してしまった脳細胞は再生しないため、脳損傷ではさまざまな後遺症が残ってしまう可能性があります。

中でも重度の場合は、高次脳機能障害や遷延性意識障害といった重度の後遺症になります。

高次脳機能障害について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【高次脳機能障害】交通事故の慰謝料と示談金増額事例を解説

遷延性意識障害について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

遷延性意識障害の後遺障害と慰謝料増額の解決事例

被害者の方はリハビリテーションにより脳機能の回復を目指していきますが、生涯にわたる介護が必要になる可能性もあります。

【参考記事】外傷性脳損傷のリハビリテーション(慶應義塾大学病院)

後遺障害等級で知っておくべき注意ポイント

(1)後遺障害等級が大切な理由

けがの治療を続けても、これ以上の回復、完治の見込みがない場合、主治医から症状固定の診断を受けることになります。

症状固定後は、被害者の方には後遺症が残るため、慰謝料などの損害賠償金を受け取る権利があります。

加害者が任意保険に加入しているなら通常、慰謝料などについて加害者側の任意保険会社と示談交渉を行なうことになりますが、ここで必要になるのが後遺障害等級です。

なぜなら、被害者の方の後遺障害等級が認定されないと、保険会社は慰謝料や逸失利益、将来介護費などの各損害賠償項目についての金額を算出できないからです。

後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級まで設定されており、障害の残った部位により各号数が定められています。

【参考資料】後遺障害等級表(国土交通省)

後遺障害等級認定の仕組みや手続き、注意ポイントなどについては、次の記事を参考にしてください。

(2)保険会社は正しい損害賠償金を提示してこないという事実

しかし、ここで大きな問題があります。

それは、保険会社が被害者の方が受け取るべき正しい金額の損害賠償金を提示してくることはほとんどない、という事実です。

保険会社は営利法人ですから、その目的は会社の利益の追求です。

そこで、支出となる被害者の方への保険金(損害賠償金)はできるだけ低く抑えたいので、提示金額を低くしてくるわけです。

被害者の方やご家族には、次のことを覚えておいていただきたいと思います。

☑ほとんどの場合で加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は低すぎるという事実。
☑本来、被害者の方が受け取るべき金額は提示額の2倍、3倍、それ以上であるという事実。
☑保険会社は、被害者の味方ではないという事実。
☑弁護士に依頼すると正しい金額に増額する可能性がかなり高いという事実。

脳損傷による麻痺の程度と認定される後遺障害等級

(1)麻痺の分類

麻痺には運動障害と感覚障害があり、身体性機能障害として認定されるのは、「運動性」「支持性」「巧緻性」「速度についての支障」の運動障害としての麻痺になります。

症状や部位によって、麻痺の種類は次の4つに分類されます。

①四肢麻痺:両側の四肢(手足)の麻痺
②片麻痺:左右どちらか片方の手足に生じる麻痺
③対麻痺:左右両方の手または足に生じる麻痺
④単麻痺:四肢のうち手足のいずれかのひとつに生じる麻痺

※通常、脳の損傷による麻痺には対麻痺はないとされています。

なお、麻痺の程度に関する基準はこちらを参考にしてください。
「麻痺の程度」

(2)麻痺の範囲・程度による後遺障害等級

「後遺障害1級1号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

<麻痺の範囲・程度>
①高度の四肢麻痺
②中等度の四肢麻痺で、要常時介護状態の場合
③高度の片麻痺で、要常時介護状態の場合

<自賠責保険金額>
4000万円

「後遺障害2級1号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

<麻痺の範囲・程度>
①高度の片麻痺
②中等度の四肢麻痺で、要髄時介護状態の場合

<自賠責保険金額>
3000万円

「後遺障害3級3号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

<麻痺の範囲・程度>
中等度の四肢麻痺(要介護状態を除く)

<自賠責保険金額>
2219万円

「後遺障害5級2号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

<麻痺の範囲・程度>
①軽度の四肢麻痺
②中等度の片麻痺
③高度の単麻痺

<自賠責保険金額>
1574万円

「後遺障害7級4号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

<麻痺の範囲・程度>
①軽度の片麻痺
②中等度の単麻痺

<自賠責保険金額>
1051万円

「後遺障害9級10号」

<後遺障害の内容>
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

<麻痺の範囲・程度>
軽度の単麻痺

<自賠責保険金額>
616万円

「後遺障害12級13号」

<後遺障害の内容>
局部に頑固な神経症状を残すもの

<麻痺の範囲・程度>
運動性、支持性、巧緻性、速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺

<自賠責保険金額>
224万円

(3)麻痺の程度に関する認定基準

「高度」
障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないものをいう。

「中等度」
障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいう。

「軽度」
障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度失われているものをいう。

「軽度に至らないもの」
麻痺のある四肢の運動障害がほとんど認められない程度の麻痺については、軽度の麻痺に含めるのではなく、12級の神経症状として等級認定する。

後遺障害等級認定における基準や麻痺の程度についての内容を読むと、非常にあいまいな表現の違いで記されていることに気づくと思います。

そのため、示談交渉や裁判で争点のひとつになることも多いのが事実です。

ですから、後遺障害等級が認定された際、その等級が本当に正しいものかどうかの判断は、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

示談交渉では、後遺障害等級が1、2級違っただけでも数百万円から、場合によっては数千万円も差が出てしまう場合があります。

交通事故の損害賠償実務に精通した弁護士であれば、適切な後遺障害等級の判断ができ、間違っている場合は異議申立の申請をしてくれます。

こちらの記事でも詳しく解説しています

脳損傷の麻痺による後遺障害で慰謝料等を増額させる方法


後遺障害等級が認定されると、通常(加害者が任意保険に加入している場合)、加害者側の保険会社から示談金(損害賠償金、保険金と同じものです)の提示があります。

被害者とご家族が、この金額に納得すれば示談は成立となり交渉には入りませんが、前述したように保険会社は被害者の方が受け取るべき適切な金額を提示してくることはほとんどありません。

そこで、金額に納得がいかなければ示談交渉に入ります

では、頭部外傷による麻痺の後遺障害で慰謝料などの損害賠償金を増額するには、どうすればいいのでしょうか? 

(1)症状固定の診断は医師と相談して慎重に判断する

交通事故で負ったケガの治療を続けても、これ以上症状がよくならない、完治しないという時期がくる場合があります。

すると、主治医から「症状固定」の診断を受けることになります。

症状固定後は、被害者の方に後遺症が残ってしまうため、後遺障害等級の認定を受けて、慰謝料などの損害賠償金を受け取ることができます。

頭部外傷による麻痺の場合、注意するべきは治療期間が長期に及ぶ可能性があることです。

その場合、被害者の方は入通院治療費や入通院慰謝料を受け取ることができます。

症状固定となり、後遺障害等級が認定されると入通院治療費や入通院慰謝料、休業損害などは受け取ることができなくなりますが、被害者の方は後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。

じつは、入通院慰謝料より後遺障害慰謝料のほうが、休業損害より逸失利益のほうが高額になるので、症状固定の時期はとても重要になります。

また、治療の効果があって症状が改善していけば、認定される後遺障害等級は低いものになるため、慰謝料などの損害賠償金も低くなってしまいます。

このように、慰謝料などの金額を考えた場合、症状固定と後遺障害等級認定の時期も重要になってきますから、医師としっかり相談していくことが大切です。

(2)適切な後遺障害等級の認定を受ける

被害者の方が受け取ることができる後遺障害慰謝料は、等級によって相場金額が設定されています。

<弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の相場金額表>

後遺障害等級 慰謝料
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

【出典】「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)

たとえば、3級と5級では慰謝料だけで590万円も違ってくるのですから、正しい後遺障害等級認定を受けることが大切ですし、少しでも高い後遺障害等級を適切に認定されることが慰謝料などの増額につながるということになります。

ところで、後遺障害等級が低すぎる、または等級が認定されなかった場合は異議申立をすることができます。

しかし、ただ「等級を上げてほしい」といっても認められるわけではありません。

その根拠となる資料や書類を適切に損害保険料率算出機構という機関に提出しなければならないのです。

ですから、異議申立をお考えの時は一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士は、まず認定された後遺障害等級が正しいかどうかの判断を行ないます。

そして、等級が低いと判断したなら異議申立を適切に行なうことができます。

(3)麻痺症状と交通事故の因果関係を正しく立証する

脳を損傷した後の麻痺症状による運動障害は、精神障害とともに残ることが多いため、損害賠償の実務では、麻痺症状だけが争点になることは少ないといえます。

それは専門的には、脳の器質的損傷による麻痺症状は、脳の血管障害によっても同じような障害が発生するからです。

そのため、保険会社との示談交渉や裁判では、麻痺症状と交通事故の因果関係が争点になることがあります。

麻痺の後遺障害の原因が、交通事故による傷害(けが)によるものなのか、もともと被害者の方が持っていた既往症なのかを疑われる場合があるわけです。

こうした場合、被害者ご自身やご家族が証明するのは非常に困難だと思います。

ですから、まずは交通事故の後遺障害に詳しい医師の診断を受けることが大切です。

MRIやCTなどの画像診断が重視されるので、専門医から適切な画像診断を受け、診断書を作成してもらいましょう。

そして、交通事故に強い弁護士に後遺障害等級の判定をしてもらうことも重要です。

☑弁護士が精査し、等級に間違いがあれば異議申立を行なうことができます。
☑示談交渉では、被害者の方の代理人として加害者側の保険会社との示談交渉を行ないます。
☑裁判になった場合も、弁護士は被害者の方の代理人として出廷し、正しい立証を行ないます。(実際の裁判では、被害者の方が法廷に立つことはほとんどないので安心していただいていいと思います)

「既往症が争点となった裁判例」

事故前から脳に障害があり、軽度の知能障害も認められた被害者につき、本件事故を契機として一酸化炭素中毒によるパーキンソニズムを発症し、これにより両上肢機能障害、体幹機能障害(座位不能)等の神経系統の機能及び精神に著しい障害を残し、随時介護を要する状態になったもの(後遺障害等級2級3号)と認めたうえ、既往症を理由として3割を素因減額とした。
(大阪地判平9・7・28交民30・4・1044)

(4)目指すのは弁護士(裁判)基準による示談解決

慰謝料などの損害賠償金の算出には、次の3つの基準が用いられます。

①自賠責基準

法律によって、自賠責保険で定められている基準です。

もっとも低い金額になります。

②任意保険基準

各任意保険会社が独自に定めている基準です。

各社非公開ですが、自賠責基準より少し高い金額になるように設定されていると思われます。

③弁護士(裁判)基準

過去の裁判例から導き出されている基準です。

法的根拠がしっかりしているため、3つの基準の中ではもっとも高額になり、裁判でも認められる可能性が高いものです。

なお、弁護士(裁判)基準で計算した金額が本来、被害者の方が受け取るべき金額になります。

☑被害者とそのご家族は、保険会社が提示してくる金額で示談をしてしまってはいけません。
弁護士(裁判)基準で計算した正しい金額を主張していくことで、慰謝料などが増額する可能性が高くなります。

(5)交通事故に強い弁護士に相談・依頼してください!

被害者本人やご家族が、単独で慰謝料増額を勝ち取るのは、とても難しい……ここまでお読みになると、そのことがおかりいただけたのではないでしょうか?

慰謝料などの増額を望むのであれば、頼りになるパートナーとして弁護士に相談・依頼することを検討してください。

<弁護士に相談・依頼する5のメリット>
☑自身の後遺障害等級が正しいかどうかの確認ができる。
☑異議申立の申請を適切に代行してくれる。
☑煩わしく難しい示談交渉から解放される。
☑慰謝料などの示談金(損害賠償金)が正しいかどうか確認できる。
☑慰謝料などの増額を勝ち取ってくれる。

みらい総合法律事務所では無料相談を随時行なっています。

まずは一度、ご相談ください。

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