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脊髄損傷の後遺障害等級と慰謝料の相場と解決事例

最終更新日 2024年 07月12日

この記事を読んでわかること

この記事では、交通事故による「脊髄損傷」で後遺症が残った場合の後遺障害等級認定や慰謝料等の損害賠償金などについて解説していきます。

私たちは、「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)その他、裁判の現場で裁判官や弁護士等の専門家が参考にすの専門書籍を出版しており、多数の脊髄損傷事案を解決してきました。

その経験を踏まえて、弁護士が専門的見地から、交通事故で脊髄損傷になってしまった時の示談交渉の知識を包括的かつ網羅的に説明していきます。

私たちが実際に解決したオリジナルの事例もご紹介します。

きっとお役に立つ知識があるはずです。

具体的には、この記事を読むことにより、次のことがわかります。

チェックボックス脊髄損傷の後遺障害等級
チェックボックス後遺障害等級認定の仕組み
チェックボックス脊髄損傷の後遺障害等級の認定基準
チェックボックス後遺障害等級が間違っていた時の対処法
チェックボックス脊髄損傷で弁護士に依頼すると、どの程度増額するのか?
チェックボックス弁護士の正しい探し方
チェックボックス慰謝料が大幅に増額して解決した実際の事例

交通事故による傷害の中でも重度なものに脊髄損傷があります。

脊髄には重要な神経が通っているため、損傷した場合には手足に麻痺が生じたり、下半身不随や寝たきり状態になってしまう可能性があります。

脊髄損傷を負ってしまった場合、その後の生活、人生は大きく変わってしまいますから、被害者の方とご家族にとっては慰謝料などの損害賠償金の示談交渉が重要になってきます。

そのため、交通事故の脊髄損傷の場合には知っておかなければならないことがたくさんあります。

なぜなら、それらによって、示談金額が大きく違ってきてしまうからです。

これから、交通事故の脊髄損傷になった場合に、知らないと損をする知識について説明していきます。

最後までお読みください。

みらい総合法律事務所の実際の解決事例


まずは、私たちが交通事故の脊髄損傷で、実際に解決したオリジナルの事例をご紹介します。

頚髄損傷に四肢麻痺の後遺症を負った46歳男性の事例

46歳男性が頚髄損傷(脊髄損傷)の傷害を負った交通事故の事例です。

治療をしましたが、症状固定により四肢麻痺の後遺症が残ってしまい、自賠責後遺障害等級は1級1号が認定され、加害者側の保険会社からは示談金として7800万円が提示されました。

はたして、この金額は妥当なものなのかどうか被害者のご家族は判断がつかなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用したところ、弁護士は「この提示額は低過ぎる。まだまだ増額可能」との見解だったことから、示談交渉の一切を委任しました。

裁判では在宅介護費が争点となりました。

そこで、弁護士が丁寧に主張を積み重ねた結果、最終的には提示額の約3.5倍、約1億9800万円増額の2億7664万2032円で解決することができました。

弁護士に依頼せず示談をしていたら、約2億円も損をしていたことになります。

脊髄損傷で弁護士変更で約9000万円増額した事例

次は、脊髄損傷のような重傷で賠償額が高額の事案においては、弁護士によって獲得できる賠償額が大きく違ってくる場合がある、という事例です。

弁護士を選ぶ際の参考にしていただければと思います。

交通事故で脊髄損傷になり、自賠責後遺障害等級1級が認定された事案です。

被害者は、弁護士に依頼し、第一審の地方裁判所では、約1億4000万円の損害賠償を命ずる判決が出されました。

判決が出た時点で、その金額の妥当性について、みらい総合法律事務所が相談を受けました。

私達が膨大な訴訟資料を大急ぎで検討したところ、将来の介護費用などいくつかの点で立証不足があると判断しました。

そこで、私たちが控訴審を担当し、特に将来の介護費用について丁寧に立証しました。

その結果、高等裁判所では、加害者に対し、約2億3000万円の損害賠償を命じる判決が出されました。

第一審で、約1億4000万円の判決が、控訴審で、約2億3000万円の判決ですので、約9000万円増額したことになります。
これは、脊髄損傷の被害者としては、十分気をつけたいところですね。

こんなことが現実に起こっています。

【参考記事】
みらい総合法律事務所の解決実績はこちら

あなたが提示された示談金額も正しいとは限りません。

そして、脊髄損傷のような重傷事案であればあるほど、示談交渉では主張する金額の差が大きく、弁護士に依頼した方が増額しやすいと言えるでしょう。

【参考記事】
交通事故の脊髄損傷で慰謝料が大幅アップした事例

脊髄とは?その仕組みと働きを解説


次に、脊髄についてお話していきたいと思います。

人体の中心には背骨があり、体を支えています。

背骨は一つひとつの脊椎によって構成されており、下から上へ尾椎(3~5椎)、仙椎(5椎)、腰椎(5椎)、胸椎(12椎)、頸椎(7椎)と全部で約30個の脊椎からなっています。

この脊椎の中を通って脳に続く神経幹を脊髄といい、人体の中枢神経系を形成しています。

脊髄の中枢神経は脳からの情報を全身の末梢神経に伝え、同時に末梢神経からの情報を脳に伝えます。

神経は、さまざまな情報を伝達していますが、その中でももっとも重要なのが運動と感覚の情報です。

脊髄は一度傷ついてしまうと再生しないため、交通事故で激しい外力が加わり脊髄が損傷してしまうと、上肢や下肢に麻痺がおこり、手足が動かない、感覚がなくなるといった症状が起きてしまうのです。

【参考情報】
日本脊髄外科学会「脊髄・脊椎の位置関係」

脊髄損傷の症状と後遺症について


次に、脊髄損傷の具体的な種類や状態などについて見ていきます。

脊髄損傷では、麻痺が生じますが、頸髄損傷では、四肢麻痺、胸髄損傷では体幹と両下肢の対麻痺、腰髄損傷では両下肢の対麻痺が生ずるとされています。

脊髄損傷の種類

脊髄損傷は、その損傷の程度により2種類に分けられています。

①完全麻痺
上肢(手)または下肢(足)が完全硬直、または完全に弛緩した状態。

②不完全麻痺
上肢または下肢を連動させることができても稼働範囲等に問題がある状態。

麻痺の種類

麻痺は、次の4つに分類されます。

①四肢麻痺
上位頸髄損傷、中下位頸髄損傷で生じる。

上位頸髄損傷では呼吸麻痺を伴う。

②片麻痺
左右どちらか片方の手足に麻痺を生じるもの。

③対麻痺
左右両方の手または足に麻痺を生じるもの。

通常は、主に両側の足の麻痺をさす。

胸腰髄損傷で生じる。

④単麻痺
四肢のうち、手足のいずれかのひとつに麻痺を生じるもの。

なお、第2腰椎以下の脊柱内の馬尾神経が損傷された場合でも、下肢の運動麻痺(運動障害)、感覚麻痺(感覚障害)、尿路機能障害又は腸管機能障害(神経因性膀胱障害又は神経因性直腸障害)など、脊髄損傷の場合と同様の障害を生じることから、脊髄損傷に含めます。

麻痺の程度

①高度の麻痺
障害のある上肢または下肢の運動性や支持性がほとんど失われ、物を持ち上げて移動させたり、立ったり、歩行したりといった基本動作ができない程度の麻痺。

<診断基準例>
チェックボックス完全強直、またはこれに近い状態にあるもの。

チェックボックス上肢においては、三大関節および5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの。

チェックボックス下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの、またはこれに近い状態にあるもの。

チェックボックス上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの。

チェックボックス下肢においては、随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの。

②中程度の麻痺
障害のある上肢または下肢の運動性や支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限があるもの。

<診断基準例>
チェックボックス上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500グラム)を持ち上げることができないもの、または障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの。

チェックボックス下肢においては、障害を残した一下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの、または障害を残した両下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの。

③軽度の麻痺
障害のある上肢または下肢の運動性や支持性が多少失われており、基本動作を行なう際の巧緻性および速度が相当程度失われているもの。

<診断基準例>
チェックボックス上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの。

チェックボックス下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく速度も遅いもの、または障害を残した両下肢を有するため、杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの。

【参考情報】
益社団法人日本整形外科学会「脊髄損傷」

脊髄損傷の診断

脊髄損傷の診断は、各種所見や画像をもとに行われます。

1 神経所見

神経所見では、誘発テスト、反射テスト、感覚テスト、徒手筋力テストなどが行われます。

2 画像診断

画像診断では、CT、MRI、造影検査などが行われます。

その他、問診や治療経過などを総合的に考慮し、脊髄損傷の診断が行われることになります。

脊髄損傷で認定される後遺障害等級


脊髄損傷による後遺症は神経系統の障害に分類されるため、認定される後遺障害等級は麻痺の範囲・程度、ならびに食事・入浴・用便・更衣等の生命維持に必要な身の回りの処理動作について、介護が必要かどうか、また、介護の程度(常時介護か随時介護か)などにより、判断されます。

脊髄損傷で認定される後遺障害等級には、重いものから順に次のものがあります。

後遺障害等級1級1号(別表第1)

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
・自賠責保険金額:4000万円 
・労働能力喪失率:100%

<麻痺の範囲と程度>
・高度の四肢麻痺
・高度の対麻痺
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

後遺障害等級2級1号(別表第1)

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
・自賠責保険金額:3000万円 
・労働能力喪失率:100%

<麻痺の範囲と程度>
・中等度の四肢麻痺が認められるもの
・軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

後遺障害等級3級3号(別表第2)

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
・自賠責保険金額:2219万円 
・労働能力喪失率:100%

<麻痺の範囲と程度>
・軽度の四肢麻痺が認められるものであって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの

後遺障害等級5級2号(別表第2)

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
・自賠責保険金額:1574万円 
・労働能力喪失率:79%

<麻痺の範囲と程度>
・軽度の対麻痺
・一下肢の高度の単麻痺

後遺障害等級7級4号(別表第2)

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
・自賠責保険金額:1051万円 
・労働能力喪失率:56%

<麻痺の範囲と程度>
・一下肢の中等度の単麻痺

後遺障害等級9級10号(別表第2)

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
・自賠責保険金額:616万円 
・労働能力喪失率:35%

<麻痺の範囲と程度>
・一下肢の軽度の単麻痺

後遺障害等級12級13号(別表第2)

・局部に頑固な神経症状を残すもの
・自賠責保険金額:224万円 
・労働能力喪失率:14%

<麻痺の範囲と程度>
・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの
・運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺

【参考情報】
国土交通省「自賠責後遺障害等級表」

脊髄損傷で後遺障害等級認定を申請したのに等級が認定されなかったり、本来より低い等級が認定されてしまうケースがあります。

そうした場合は「異議申立」をすることができます。

後遺障害等級認定の手続きは、自賠責保険取り扱い会社や任意保険会社から「損害保険料率算出機構」(損保料率機構)に書類などを送付し、この機関が行ないます。(実際の調査は全国にある自賠責損害調査事務所が行ないます)

損害保険料率算出機構の調査について、さらに詳しく知りたい方は、以下もご参照ください。

【参考記事】
損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」

異議申立もこの機関に対して申請するのですが、ここで知っておかなければいけないのは、クレームのように「認定された等級に納得がいかない」、「もっと高い等級を認定してほしい」とただ言っても認めてはもらえないことです。

正しい後遺障害等級が認定されるためには、法的、医学的な根拠が必要なのです。

そのため、医師によって自覚症状欄や他覚所見、運動障害などが漏れなく記載された「後遺障害診断書」や、レントゲン画像では確認できなかった箇所が詳しくわかるようなCT画像やMRI画像など、さまざまな書類や資料を提出し直す必要があります。

交通事故で脊髄損傷のように重度の後遺障害が残る場合は、等級が1級違っただけでも数百万円から数千万円も損害賠償金が違ってくる場合があります。

正しい後遺障害等級認定を受けるためには、正しく異議申立することが大切ですから、弁護士に相談することも検討したほうがいいと思います。

【参考記事】
後遺障害等級認定とは?認定の仕組みと異議申立のポイント

脊髄不全損傷

脊髄不全損傷とは

診断書に「脊髄不全損傷」と記載される場合があります。

この場合に、脊髄損傷と認められるかが問題となります。

脊髄損傷の症状は、完全損傷として、脊髄全横断面にわたって神経回路が断絶してしまう場合と、不全損傷として一部でも保たれた不完全麻痺の場合に分類されます。したがって、不全損傷とは脊髄を完全には損傷しなかった場合を示します。

不全損傷の場合には、神経が完全には断裂していないため、損傷の部位・程度・損傷形態等により、完全損傷の場合の代表的とされる各種症状の有無・程度には広範囲の差異があるとされています。

例えば、頸髄損傷では、骨折脱臼等が生じていれば(いわゆる骨傷があれば)、後遺障害等級としては通常3級以上が認定されます。

しかし、骨折脱臼がない(X線上骨傷が明らかではない)頸髄損傷の場合には不全損傷とされ、後遺障害等級が認定されるとしても、9級以上の等級に該当することになります。

この脊髄不全損傷については、後遺障害として認められるかいなか、認められるとして等級は何級か、が争点とされることが多いです。

不全損傷を認めた裁判例

大阪地判平成7年3月30日(交民集28巻2号559頁)です。

42歳男性の交通事故です。

自賠責後遺障害等級は、12級12号が認定されましたが、被害者は、中心性頸髄損傷、頚部捻挫等の後遺障害が残ったとして、裁判を起こしました。

被告は、①原告が本件事故によって受けた衝撃が軽微である、②原告の症状には、頸髄損傷の代表的症状である脊髄ショック、膀胱直腸障害が認められないのであるから頸髄損傷は生じていない、などとして不全損傷を争いました。

しかし、裁判所は、神経症状で9級10号の後遺障害を認め、労働能力喪失率35パーセント、喪失期間67歳までの25年間で逸失利益を計算しました。

理由は、以下のとおりです。

裁判所は、急制動以前の直進車の速度及び本件事故による損壊状況等の上記事故状況に照らせば、原告が衝突直前に両腕で側頭部を保護したことや原告以外に負傷者がいないことを考慮しても、原告の受けた衝撃の程度は必ずしも軽微とは認められないとしました。

頸髄損傷は相当軽微な衝撃によっても発生する場合があることが認められるとも認定しました。

次に、頸髄損傷との診断は、頸髄が損傷を受けたことを意味するにとどまり、特に頸髄不全損傷においては、損傷の部位、態様、程度により、代表的とされる各種症状の有無、程度には極めて広範囲な差異があるから、代表的症状の全部又は一部を明確に具備することが頸髄損傷の診断に不可欠な要件ではないとしました。

その上で、、症例毎に全症状・経過を総合的に考察し、かつ、他病因の可能性をも検討した上、頸髄損傷の有無を判断すべきとした上で、被告主張のように、原告には脊髄ショック、膀胱直腸障害等がみられなかったものの、受傷当初に四肢麻痺が存在し、下肢麻痺は早期に回復したとはいえ、上肢障害特に手指の巧緻運動障害及び知覚障害が明確に残存し、しかも、このような症状・経過は、障害の発生が上肢に限定される頸椎捻挫をはじめ他の疾患では医学的に説明し難いので、中心性頸髄損傷に近い頸髄不全損傷との診断は妥当であるとしました。

そして、総合考慮によって、原告は、本件事故時の衝撃により頸椎の後屈を強く強制され、頸椎の軟部組織に損傷を受けるとともに、中心性頸髄損傷に近い頸髄不全損傷の傷害を負ったと判断しました。

不全損傷を否定した裁判例

名古屋地判平成10年3月18日(出典:交民集31巻2号334頁)です。

67歳女性の交通事故です。自賠責後遺障害等級は不明です。

被害者は、頸椎捻挫、中心性頸髄損傷、右肋骨不全骨折、第1、第9脳神経損傷の後遺障害5級2号があるとして、裁判を起こしました。

被告は、原告には後遺障害は生じていないとして争いました。

裁判所は、神経障害14級と認定し、労働能力喪失率5パーセント、喪失期間7年間で逸失利益は計算しましたが、脊髄損傷は否定しました。

理由は、以下のとおりです。

裁判所は、

①鑑定結果から原告が本件事故により打撲傷および擦過傷を負ったものということができる
が、不全骨折、第一・第九脳神経損傷、中心性脊髄損傷、両手不全麻痺の各傷病の存在は否定されること

②原告が受傷後約10日目以降、頭痛、頸部痛、握力低下、しびれなどを訴えているが、これらは一般に見られる頸椎捻挫に伴う経過と同様であり、原告が頸椎捻挫の障害を負ったものと判断することは合理的であること

などから、原告は本件事故により頸椎捻挫の障害を負ったものと考えられるが、これに対応する頸部の器質的異常はほとんど確認されなかったか、または早期に解消し、原告の現在の身体的不調は本件事故を契機として原告に生じた心因的要因(不定愁訴)に起因するものであって、頸椎捻挫の器質的病変によるものではないと認定しました。

そのうえで裁判所は、5級相当と判断した医師の診断には格別の根拠はないとし、鑑定結果なども考慮し、原告の中心性脊髄損傷を否定しました。

脊髄損傷で損害賠償請求できる項目とは?


交通事故による脊髄損傷で四肢麻痺などの後遺症が残った場合に損害賠償請求できる主な項目には、次のようなものがあります。

・治療費
・入院付添費
・入院雑費
・傷害慰謝料
・後遺症慰謝料
・逸失利益
・将来介護費
・将来雑費
・装具・器具等購入費
・車椅子代
・介護ベッド、マットレス等代
・家屋・自動車等改造費
・損害賠償請求関係費など

このうち、いくつかの損害について、説明します。

(1)車椅子

脊髄損傷で腰髄以上で損傷がなされた場合には、一般的に両下肢の対麻痺が生じ、車椅子が必要となる場合があります。

裁判実務においては、現実に車椅子を使っているか、使っているとして、何台の車椅子を使っているか、等を立証していくことになります。

複数の車椅子の使用を認めているものとして、大阪地裁平成19年7月26日判決、名古屋地裁平成18年8月29日判決などがあります。

(2)介護ベッド、マットレス等

布団ではなく、ベッドにすること、電動ベッドにすることにより、介護動作、起居移乗動作等が容易になるので、下肢麻痺があれば認められやすいと言えます。

(3)自宅改造費

トイレ、昇降リフト、バリヤフリー、浴室等、脊髄損傷による日常生活の困難を回避するため、自宅改造が必要となる場合があります。

この場合、裁判実務においては、改造の必要性、支出額の相当性、他の家族も改造による利益を得ていないか、などが争われます。

脊髄損傷では、将来介護費は裁判の争点になりやすい

将来介護費用とは

脊髄損傷では重度の後遺障害が残ってしまうため、被害者の方は他人の介護を受けなければ生活できなくなってしまいます。

そうした場合に認められるのが「将来介護費」です。

将来介護費は次の計算式で算出します。

将来介護費 = 年間の基準額 × 生存可能期間に対するライプニッツ係数

年間の基準額は、職業介護人に介護を依頼した場合は実費全額、近親者が介護を行なう場合には1日につき8000円が目安とされています。

【出典】「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)
https://n-tacc.or.jp/book

実際の金額は、被害者の症状や具体的な看護の状況によって増減します。

複数の介護人が必要な場合などでは、基準よりも高額な介護費が認められるケースもあります。

脊髄損傷の将来介護費は損害賠償項目の中でも高額になりやすいものです。

また、具体的にどのような介護を行なっているのか、今後どのような介護が必要になるのかなどを証明して費用を算出するため、加害者側の保険会社との間で問題となり、裁判では争いになりやすい項目だといえます。

将来介護費用が争われた裁判例

過去の裁判例では、次のようなものがあります。

脊髄損傷による完全対麻痺、膀胱直腸障害で後遺障害等級1級3号が認定された事例において、裁判所は、
・胸部以下の自動運動ができない
・入浴、排便、衣服の着脱、食事の用意等の介助が必要
として、
・母67歳までは1日8000円
・以降は職業付添人1日1万2000円
を認めた事例があります(東京地裁平成17年10月27日判決、出典:交通事故民事裁判例集38巻5号1455頁)。

脊髄損傷による四肢麻痺、呼吸筋麻痺等で後遺障害等級1級1号が認定された事例において、裁判所は、
・体重90キロであること
・痙性でいきなり手足が硬直することがあること
等から、
・妻60歳までは職業介護1.5名分1日2万1000円と妻8000円の合計1日2万9000円
・以降は職業介護人2名分1日2万8000円
を認めました(大阪地裁平成19年4月10日判決、出典:自保ジャーナル1688号13頁)。

したがって、裁判では、将来介護費用についての立証活動がとても重要ということになります。

後遺障害等級3級以下でも将来介護費用が認められた裁判例

将来介護費用が認められるのは、一般的には1級と2級が認定された場合です。

しかし、3級以下の場合にも介護の必要性を立証することにより将来介護費用が認められる場合があります。

相場にかかわらず、介護が必要な事情がある場合には、主張するようにしましょう。

なお、この場合、示談交渉では難しいので、弁護士に依頼して裁判になるでしょう。

過去の裁判例を紹介します。

第5頸髄損傷により軽度四肢麻痺で3級3号が認定された67歳女性について、入浴全介助、衣類の着脱時、日常生活動作についても随時介護が必要として、1日5000円を認めた事例
(名古屋地裁平成23年10月14日判決・出典:交民44巻5号1338頁)
四肢麻痺、膀胱障害等で3級3号が認定された68歳の男性について、口はきけ、多少手が動かせるものの、寝たきりの状態で、自力でベッド上の体位変換は出来ず、箸、スプーンを持つことが出来ず、神経性膀胱障害により大小便のでる感覚が鈍く、その告げる時期を失して漏らしてしまうこともあり、おむつの使用も必要であり、一生涯全面的な介護を要する、として1日4500万円を認めた事例
(東京地判平成2年8月23日・出典:自保ジャーナル第888号)
頸髄損傷で左手指巧緻運動障害、左下肢脱力、左手握力低下等により9級10号が認定された57歳男性について、一人での服の着脱、荷物の持ち運び、字を書くこと、入浴時に自分の身体を洗うこと等が困難であり、随時妻の介護を要するとして、1日4000円を認めた事例
(大阪地裁平成21年8月25日判決・出典:交民42巻4号1051頁)

【参考記事】
【将来介護費】交通事故の被害者と家族が損をしないために知っておくべきこと

症状固定後の治療費、リハビリ費用について


症状固定後あるいは将来の治療費・リハビリ費用については、「一般的には否定的に解される場合が多いであろうが、その支出が相当なときは認められよう。リハビリテーションの費用は症状の内容、程度による。」(赤い本、上巻〔2009年版〕5頁)とされています。

青い本には「原則として賠償対象としては認められない。症状固定状態とは、治療しても症状が改善しない状態のことであり、従って、症状固定後に治療しても、いわば無駄な費用の支出になるから、加害者に負担させるのは不相当ということになるからである。」「しかし、症状固定後でも症状の内容、程度、治療の内容により、症状の悪化を防ぐなどの必要があれば、将来治療費として損害認定することになる。」とあります。

脊髄損傷のように重度後遺障害の場合には、生命の維持あるいは症状の悪化防止のために将来も治療費・リハビリ費用の支出を余儀なくされる場合があるから、その場合には損害として認められやすいと言えるでしょう。

脊髄損傷における将来のリハビリ費用に関する裁判例
裁判例においては、症状悪化を防ぐための治療費・リハビリ費用はほぼ認められています(東京地判決平成20年1月30日、大阪高判平成18年12月19日、東京地判平成17年10月27日、名古屋地判平成17年5月17日、東京地判平成17年1月17日、東京地八王子支部判平成14年6月14日等)。

これら裁判例は、脊髄損傷の症状固定後も現実に受けている治療・リハビリ内容を主張・立証し、その費用を認められているものが多いです。

治療・リハビリ内容としては、採尿管の取り替えのための往診、痙性の薬、下剤の処方並びに血圧測定(大阪高判平成18年12月19日)、週1回の医師の診察と週2回の理学療養士のリハビリテーション(名古屋地判平成17年5月17日)、日常生活動作を維持するための理学療法・薬物療法(東京地判平成17年1月17日)、排尿のため体内に器具を装着しておりその管理等のための通院(東京地八王子支部判平成14年6月14日)等があります。

認定されている治療・リハビリ費用は、その治療・リハビリ内容に応じて、月額20万円~2000円程度と幅があります。

脊髄損傷に詳しい弁護士の探し方


さて、交通事故の脊髄損傷は、重度後遺障害が残ってしまうケースが多く、賠償額も多額となります。

自分で解決が難しく、弁護士に依頼するケースが多くなると思います。

しかし、いざ弁護士に相談あるいは依頼しようとしても、誰に相談したら良いのか、わからない方も多いでしょう。

そこで、ここでは、交通事故の脊髄損傷になってしまった場合に、どういう弁護士に相談すればよいのか、について説明します。

弁護士を選ぶ際に、もっとも大切なこと、それは交通事故に強い、そして、脊髄損傷に強い弁護士に相談・依頼することです。

通常、弁護士には医師などと同様に専門分野や得意分野がありますから、交通事故が専門外の弁護士に頼んでも、被害者の方が望む結果が得られないどころか、マイナスにもなりかねません。

弁護士であれば誰でもいいというわけではないことを知ってください。

特に、脊髄損傷の慰謝料額は、億単位での高額の請求になることも多いです。

過失割合が10%違うと1千万円単位で金額が違ってきてしまいます。

また、損害項目も多岐にわたりますので、漏らしては損をしてしまいます。

したがって、弁護士を選ぶ際には、交通事故に精通し、かつ、脊髄損傷に関する高度の知識を持っている弁護士を探すことをおすすめします。

ここでは、そのような弁護士を探す際のヒントを説明します。

ポイントは、

チェックボックス交通事故に強い
チェックボックス脊髄損傷に詳しい

という点です。

まず、【交通事故に強い】という点では、以下の点に注意してみましょう。

  • 交通事故に関する専門書を出版しているか
  • 解決実績は豊富か
  • 代表弁護士の経験年数が豊富か
  • 報道番組から「交通事故の専門家」として取材を受けているか
  • 専門特化しているか

弁護士のホームページで上記の点を確認してみるといいでしょう。

ちなみに、みらい総合法律事務所は、

  • 交通事故の専門書を何冊も出版しています。
  • 代表弁護士が25年以上の豊富な経験があります。
  • 交通事故の相談を年間1000件以上扱っています。
  • ニュース番組から「交通事故の専門家」として取材を受けています。
  • 死亡事故と後遺障害に特化して、更に専門性を高めています。

そして、【脊髄損傷に詳しいか】という点では、なんといっても、「脊髄損傷に関する法律専門書」を出版しているか、がポイントになるでしょう。

先ほどの交通事故に強い弁護士の探し方のところでも説明しましたが、専門書を出しているということは、その分野に強い、ということです。

脊髄損傷に関する法律専門書を出していれば、法律業界のおいて、その分野の専門家として認知されている、ということになります。

私たちみらい総合法律事務所は、

「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)

という法律専門書を出版していますが、このような書籍を出版していれば、脊髄損傷について研究している、ということがわかります。

実際のこの書籍を出すにあたっては、それまでの経験以上に、脊髄損傷に関し、相当量の研究をしました。

以上の点に注意して、弁護士を探すようにしましょう。

なお、みらい総合法律事務所では無料相談を随時受け付けています。

交通事故に強い、経験豊富な弁護士たちがお話を伺い、適切なアドバイスを致しますので、まずは無料で相談をしてみて、納得のいく回答が得られたり、信用できる弁護士だと感じられたら正式に依頼されるとよいと思います。

交通事故の脊髄損傷でお困りの方は、ぜひ一度、みらい総合法律事務所にご相談ください。

監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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