交通事故に強い弁護士の選び方│十分な慰謝料を得るために
交通事故の解決満足度は、弁護士の実力にかかっています。
弁護士を選ぶ時は、経験・実績を十分チェックして、専門性の高い人物かどうか見極めましょう。
早まって紹介や口コミ・レビューだけで弁護士を決めてしまうと、被害者が望む「解決金の最大化」は期待できません。
本記事でポイントを押さえれば、そうした失敗はなくなるはずです。
【特に弁護士の手腕がモノを言うケース】
・人身に損害がある
・後遺障害を負った(負いそう)
・重大な後遺障害を負った
・被害者が死亡した
・保険会社や加害者の対応に納得できない
まずは、動画で弁護士の選び方を確認してみましょう。
目次
交通事故トラブルの基礎知識│なぜ弁護士が必要なのか
交通事故対応は一筋縄には行きません。
損害賠償請求の段階になると、支払義務を負う側が被害を小さく見積もり、結果として減額要求を飲まされてしまいがちです。
加害者への請求を巡る以下のような実情を踏まえると、しっかりとした法的支援は欠かせません。
保険会社は味方ではない
トラブル解決に向けた話し合いは、多くの場合、保険会社の担当者と進めることになります。
意識したいのは、相手がいかに親切かつ丁寧であっても、決してこちらの味方ではない点です。
大前提として、自動車保険による事故被害者への補償は、加害者の掛金から拠出されています。
付け加えると、保険会社はあくまでも民間の営利企業であり、高額の掛金持ち出しは損失に当たります。
こうした事情から、被害者との情報格差等を利用して、むしろ加害者有利となるようアプローチしてくるのが普通なのです。
慰謝料の金額は計算基準で変わる
交通事故によって受けた損害額の判断方法は、過去の判例に基づく一定の基準があります。
よくあるのは、保険会社より社内基準あるいは「自賠責基準」を押し付けられ、本来もらえる金額よりも著しく低い額が提示されるケースです。
【例1】入院2か月・通院1か月(実治療日数
68日)の傷害を負った場合
自賠責基準の傷害慰謝料…29万2,400円
弁護士基準の傷害慰謝料…122万円(目安※)
※傷害の部位や程度等を考慮し、増額する場合があります。
【例2】後遺障害につき第9級と認定された場合
自賠責基準の後遺障害慰謝料…249万円
弁護士基準の後遺障害慰謝料…690万円(目安※)
※後遺障害の状況全体を鑑み、増減させる場合があります。
入通院慰謝料と後遺障害慰謝料について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
相手の主張しだいで訴訟対応が必要になることも
加害者からその被害者に対して支払うべき金額は、たとえ刑事事件として裁かれる事故であっても、当事者の話し合いで取り決めるべきものです。
被害者の請求に相手が応じなければ、民事訴訟で解決を図らざるを得ません。
訴訟では、個別に「事故を再検証する」「日常生活や職場復帰への影響を資料にまとめる」等の地道な立証活動が必要です。
また、ただでさえ煩雑な訴訟対応は数か月から1年以上に及ぶのが普通であり、被害者本人が自力で対応するのは難しいと言わざるを得ません。
交通事故の裁判について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
交通事故に強い弁護士の選ぶための4つのポイント
弁護士が職業として取り扱える範囲は広く、専門性には個人差があります。
被害者が満足できる結果は、保険制度や等級認定から解決の実例まで、専門的な知見を持つ法律事務所(弁護士事務所)だからこそ得られるものです。
これから交通事故に強い弁護士を探す人は、以下4つのポイントに着目すれば、簡単に専門性の高い人物を見分けられます。
経験年数
第1に注目したいのは、弁護士としての経験年数です。
示談・訴訟は1つとして同じパターンのものはありません。
相手の出方を伺いつつ、膨大な過去の実例をあたり、臨機応変に必要な手続きを進めて、ようやく納得できる解決が得られます。
いずれも、法律トラブルを長く扱い、うち交通事故分野での経験が十分な弁護士だからこそ対応できる内容です。
ただし、担当してくれる弁護士は若い弁護士でも良いと思います。
代表の弁護士がベテランであればよいと思います。
解決実績の数と結果
第2に注目したいのは、交通事故分野での実績です。
なかでも、大幅増額の成功事例がいくつも紹介されているのは、所属する弁護士の自信の表れと言えます。
十分な実績のある弁護士なら、初めての相談でも、今抱いている不安・疑問にも正確に回答してくれるでしょう。
示談・訴訟への対応力
解決実績を確認する時は、個別の示談・訴訟のいきさつもチェックしましょう。
争点と有利な結果を得るための施策を見れば、その弁護士の対応力が分かります。
損害賠償請求を巡る加害者対応は、どれを取っても同じではありません。
難しい案件をこなしてきた弁護士は、先回りした対応がとれます。
メディア実績(取材協力・書籍出版歴など)
第4に注目したいのは、取材協力・書籍出版等のメディア実績です。
交通事故に対する一般の関心は常にあり、優秀かつ現場の動向に詳しい弁護士ほど情報提供を求められる機会が増えます。
対応歴の多さは、社会からの信頼の篤さであると共に、知識更新への積極的な姿勢も示しています。
法律事務所の公式サイトでは経歴・解決実績に目が行きがちですが、メディア関係のページにも是非アクセスしてみましょう。
専門性の高い弁護士に相談するメリット
交通事故トラブルを弁護士に依頼する目的は、もちろん「被害に見合う金額の支払い」と「加害者に対する厳罰」を実現させるためです。
専門性の高い弁護士に巡り合えたなら、より確実に目的達成に至れるだけでなく、相談時点から様々なメリットを享受できます。
支払われるべき損害賠償金の額が分かる
事故に遭った時、ひと段落して真っ先に悩むのが「いくら請求できるのか」ではないでしょうか。
既に保険会社から支払い額が提示されている状態で、その妥当性が判断できないと悩む人も少なくありません。
支払われるべき損害賠償金の額は、知見のある弁護士なら早く・確実に回答できます。
算定結果の内訳と判断基準、そして保険会社の提示額との乖離やその理由分析まで説明してもらえるため、今後の方針にもあたりをつけられます。
手間&ストレスをかけずに増額解決が図れる
自力で加害者との示談を進めても、適正な解決額を得られる確率はゼロとまでは言えません。
ただし、やるべき処理をしっかりと判断でき、それを確実に実行し、そして相手の反応を上手く引き出せることが大前提です。
知識も交渉スキルも備えている弁護士なら、被害者が上記のような手間を負うことはありません。
かつ、同様に対応経験豊富な保険会社と対等であることで、より望ましい「結果」に繋げられます。
使える保険制度と優先順位が分かる
交通事故の被害者が使える保険には様々な種類があります。
通常は加害者が加入する「自賠責保険」と「任意保険」に対して支払いを求めますが、状況によっては健康保険・労災保険・その他加入中の損害保険の特約等を利用した方が良いこともあります。
事故対応を専門分野として扱う弁護士は、上記のような保険制度についても知識を持っています。
どの保険を使うべきか、そして使う順番をどうすれば受取額を最大化できるのか、個別に提案できるのです。
特に弁護士を必要とする事故例│こんな場合はすぐ相談を
交通事故の中でも特に弁護士のサポートが必要なのは、被害者の心身に重大な影響が残る例です。
被害から順調に回復できそうであっても、加害者や保険会社の対応に違和感を覚えたまま自力で対応を進めると、多額の損失に繋がります。
万一にもここで挙げる状況に当てはまる時は、迷わずすぐに専門的知見のある弁護士に相談しましょう。
後遺障害が残った(残りそう)
被害者の心身に後遺障害が生じる事故では、十分な支払いを得るための鍵となるプロセスが2つあります。
1つは等級認定、もう1つは高額請求に抵抗する加害者との交渉です。
どちらの対応も解決金の最大化に繋げるため、なるべく傷害を負った直後から弁護士の支援を得ましょう。
【等級認定のポイント】
慰謝料の他、後遺症による将来の減収分である「逸失利益」の評価は、自賠責保険が認定した後遺障害等級に左右されます。
認定審査は傷害を負った直後からの医学的資料に基づいて行われるため、申請できる日まで必要十分な検査・治療を受け続ける必要があります。
後遺障害等級認定の手続について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
【加害者との交渉のポイント】
後遺障害にかかる損害は高額化します。
支払いを少しでも減らしたい加害者は、被害者の「過失割合」を大きく見たり、逸失利益の算定基準になる「基礎収入」や「労働能力喪失率」を小さく見積もったりしがちです。
相手の言い分を覆すには、丁寧な事故検証に加え、収入・稼動状況に関する資料集め等、それぞれ地道な活動が必要です。
過失割合と過失相殺について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
被害者が死亡したor重度の後遺障害を負った
被害者が死亡もしくは重度の後遺障害を負った交通事故では、特に弁護士の支援が必要です。
自ら事故とその結果について説明できない分、近親者慰謝料等の十分な支払いを受けるにあたり、加害者との損害額を巡る対立が避けられないからです。
もう1つの対応のポイントは、刑事事件への対応です。
重過失等がある事故では「被害者参加制度」の利用が認められますが、精神的苦痛のある状況で効果のある意見陳述・被告人質問を行う必要があります。
これに関しても、刑事裁判の知識・対応経験に基づくサポートが欠かせません。
被害者参加制度について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
加害者や保険会社の対応に納得できない(不安がある)
加害者や保険会社の中には、専門用語を駆使して言いくるめようとしたり、責任転嫁するような発言をしたりする者もあります。
信頼関係が築けない相手に対しては、弁護士に対応を任せましょう。
典型的なのは、次のようなケースです。
・レスポンスが遅い
・対応が高圧的で信頼できない
・治療費の支払いが打ち切られそう
・無保険事故に遭った(加害者が任意保険に加入していない)
相性のいい弁護士の見つけ方│初回相談時はここをチェック
弁護士選びでの最優先事項は「専門性」ですが、次点で相性の良さも重要です。
然るべきタイミングで相談できなかったり、打ち明け話がしにくかったりすると、増額交渉等の有力な材料が弁護士の手元に届かず、せっかくの専門性が活かせません。
交通事故について初めて弁護士にコンタクトを取ろうとする時は、以下のポイントもチェックしておくと良いでしょう。
無料相談があるか
弁護士との相性を確かめるには、ひとまず現状を伝えて意見をもらう機会が必要です。
この点、初回相談無料とする法律事務所なら、自己負担なく依頼の是非を決められます。
理解しやすい説明を心がけているか
初回相談時の着眼点は「説明の進め方」です。
事故被害者の目線に立って支援できる弁護士は、分かりやすい説明と丁寧な回答を心がけています。
対応方法に引っかかる点はないか、相談終了後に振り返ってみましょう。
相談方法の選択肢(電話・面談・出張対応等)
交通事故の対応を弁護士に任せている間は、いつでも気軽に質問できる手段があると便利です。
そこで、電話・面談などの「相談の手段」をチェックしてみましょう。
重傷で動けない場合には、希望に応じ出張対応できる弁護士事務所もありますので検討してみましょう。
弁護士選びで失敗した時はどうする?│交通事故のFAQ
交通事故を弁護士に任せたケースには、稀に「相性が悪い」「解決力に不安があると気付いた」等と途中後悔するものがあります。
万一そうなった場合には、簡単な手続きで信頼できる別の弁護士へと依頼先を変更できます。
弁護士変更のやり方
弁護士変更の手続きは、通知書を送付して新しく委任契約を結ぶだけです。
弁護士間の情報引継ぎの便宜上、簡単に変更したい旨は伝えておくと良いでしょう。
【計3ステップ】弁護士変更の流れ
①変更先の弁護士にセカンドオピニオンを受ける
②現在の弁護士に「解任通知書」を送付する
③新しい弁護士と委任契約を結ぶ
弁護士を選択しなおす手続き自体はこれで完結しますが、忘れてはならないのが「弁護士費用特約」に関する手続きです。
利用している場合、加入する保険会社に連絡し、変更先の法律事務所名等を伝えておきましょう。
なお、弁護士を変更して交通事故対応をやりなおすとしても、特約の利用額はキャンセルされません。
報酬返金の可否や特約の利用残高については、それぞれ変更前の弁護士・保険会社に問い合わせましょう。
弁護士を変更した方が良いケース
弁護士による交通事故対応は、被害者の協力が不可欠です。
信頼関係がない状態で対応を続けても、互いに必要な情報が得られず、納得できる結果に辿り着けません。
以下のような事情に心当たりがあれば、今の弁護士に委任し続けるべきか見直すべきです。
・連絡対応や報告の頻度・内容に不満がある
・話を聞いてくれない、頭ごなしに否定される
・質問しても曖昧な答えしか返ってこない
・説明が二転三転し、理解しにくいと感じる
・知識や経験が少なく、手続きが思うように進まない
弁護士の変更について、もっと詳しく知りたい方は、次の記事を読んでみましょう。
失敗しやすい弁護士の選び方
交通事故対応は被害者の将来を左右します。
弁護士の実力は当事者自ら確かめ、信頼できると確信してから正式に委任契約を結びましょう。
下記のように「第三者の推奨」等を頼みにするのは、トラブル対応での失敗の元です。
・サイトを確認せず、口コミの数や広告だけで選ぶ
・保険会社から紹介された弁護士に依頼する
おわりに│交通事故対応の要は弁護士選びにあり
交通事故トラブルの解決は、どうしても知識不足や加害者側の抵抗に阻まれます。
支払いを最大化するには、知識・経験共に優れた弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士を探す時は、なるべく以下のポイントに着目し、手腕があると見込んでから委任契約を結ぶようにしましょう。
・弁護士としての経験年数
・解決実績の数と結果
・実績例から読み取れる対応力
・メディア実績(取材協力・書籍出版等)
弁護士の専門性を最大限生かすには、パートナーシップも重要です。
無料相談を活用し、説明の分かりやすさ等から相性も確かめましょう。
目指す「解決金の最大化」を実現するための第一歩は、弁護士の選定です。
優れた法的支援があれば、これからやるべきことを見極めながら最小限の負担で納得できる結果が得られます。