死亡事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリットとデメリット
目次
死亡事故で大切なご家族を亡くしされた悲しみは、とても癒せるものではないと思います。
しかし今後、ご遺族にはさまざまな手続きなど、やらなければいけないことがあります。
その中でも、慰謝料などの示談交渉はとてもシビアで難しいものになります。
ご遺族は、慰謝料などの損害賠償金を受け取ることができますが、その金額を決める話し合いが示談交渉です。
加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社が示談交渉の相手になります。
彼らは損害保険のプロであり、彼らが所属しているのは大手の損害保険会社(営利法人)ということがほとんどでしょう。
ご遺族にとっては、かなり手強い相手です。
そうした時、ご遺族の心強い味方になるのが法律のプロである弁護士という存在です。
本記事では、死亡事故の示談解決を弁護士に依頼した場合のメリットだけでなく、デメリットについても詳しくお話ししていきます。
これから、死亡事故を弁護士に依頼した場合のメリットとデメリットについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
交通事故発生から示談解決までの道筋をフローチャートで理解する
ご遺族が死亡事故を解決して慰謝料などの損賠賠償金を受け取るまでには、さまざまな手続きが必要になります。
まずは、交通事故問題の全体像を知っていただくためにフローチャートをご用意しましたので参考にしてください。
死亡事故はいつ弁護士に相談・依頼するべきか?
交通事故で傷害(ケガ)を負った場合、入通院をして治療をすると思います。
その後、完治が難しい場合は後遺症が残ってしまうため、症状固定後、ご自身の後遺障害等級を申請します。
後遺障害等級が認定されると、その等級をもとに加害者側の任意保険会社が(加害者が任意保険に加入している場合)慰謝料などの損害賠償金(状況によって示談金とも保険金ともいいます)を被害者の方に提示してきます。
一方、フローチャートのように死亡事故は傷害による後遺障害の場合とは多少異なる点があります。
次のような注意ポイントを踏まえながら、弁護士に相談・依頼するべきタイミングについてお伝えします。
警察の実況見分(聞き取り調査)
死亡事故の発生後、まず警察は加害者や目撃者に「実況見分(聞き取り調査)」を行ないます。
この内容をもとに作成した実況見分書が検察に送られ、加害者を起訴するかどうかの判断が行なわれるのです。
起訴となった場合は刑事事件として扱われ、刑事裁判で加害者の量刑が確定されるのですが、ここで重要な証拠になるのが実況見分調書です。
なお、実況見分調書はその後の示談交渉や民事裁判でも重要な証拠になります。
加害者の刑事裁判に参加する場合は弁護士に相談を!
刑事裁判というのは、国が加害者を裁くものなので被害者の方やご遺族は直接関与しません。
ただし、「被害者参加制度」を利用することで被害者の方やご遺族は刑事裁判に参加して意見を述べるなどすることができます。
ここでの意見陳述が加害者の量刑に影響を与える可能性もあるのです。
被害者参加をするには法的な手続きが必要なため、ご遺族が弁護士に相談・依頼するタイミングとしては、被害者参加制度の検討時期も1つのポイントになります。
参考情報:「公判段階での被害者支援(4.被害者参加制度)」(法務省)
加害者側との示談交渉が開始される前に弁護士に相談・依頼
死亡事故の場合、通常は葬儀が終わり、四十九日が過ぎると保険会社から示談金の提示があるのですが、この時も弁護士に相談・依頼するタイミングとなります。
ところで、加害者の量刑が確定する前に示談を成立させるのは要注意です。
示談が成立したということは、被害者と加害者の間で損害賠償金額が合意したということになります。
すると、刑事裁判では「加害者は、すでに被害者への賠償をしており、遺族の被害者感情は和らいでいる」と判断されてしまい、加害者の量刑が軽くなってしまう場合があるのです。
ですから、加害者に対して厳正な処罰を望むのであれば、刑事裁判の判決前に示談を成立させないように、依頼した弁護士とよく相談をしながら進めていくのがいいでしょう。
・実況見分により慰謝料が減額される理由とは?
・加害者の刑事裁判に被害者参加する制度。弁護士解説。
・死亡事故の示談交渉の注意点。
示談交渉が決裂したら弁護士に依頼して裁判へ
①示談とは?
交通事故の示談とは、次のことについて民事上の裁判によらず、被害者側と加害者側双方が話し合いによって合意して、解決することです。
- ・その交通事故により、どのような損害が生じたのか
- ・損害額はいくらになるのか
- ・支払い方法はどのようにするのか
②示談交渉が進まない理由
「示談交渉を自力で解決したい」と考える被害者の方やご遺族がいらっしゃいます。
しかし、示談交渉はなかなか進まない、合意されないことがよくあります。
それは、被害者側と加害者側が求めるものが一致しないからです。
加害者側の任意保険会社は利益を追求するためにある営利法人ですから、被害者の方に支払う示談金を少なくしたいと考えます。
一方、被害者の方やご遺族は肉体的にも精神的にも多大なる苦痛と損害を被っているわけですから、慰謝料などの損害賠償金をできるだけ多く受取りたいと考えるのは当然です。
しかし保険会社は、いくら被害者の方やご遺族が増額を求めても、それに応じることは少ないです。
示談交渉に弁護士が出てきて、被害者の方が受け取るべき適正金額の法的根拠を主張しなければ、正しい金額を認めないことが多いのは残念なことです。
③提訴して裁判で解決
加害者側の任意保険会社が提示してきた低い金額でも納得して、示談書に判を押せば示談成立となります。
しかし、提示額に納得がいかず示談がまとまらない場合は、いつまでも時間をかけても解決はしません。
交渉が決裂したなら、すぐに弁護士に依頼し、提訴して裁判での決着を図るべきだと思います。
死亡事故で弁護士に解決を依頼した場合の5つのメリット
死亡事故のご遺族にお聞きします。
☑大きなお金が絡んだ、シビアな金額交渉を行なった経験がありますか?
☑交通事故の法的な知識や医学的な知見をお持ちですか?
☑提訴して裁判で争い、勝訴をした経験がありますか?
人生で交通事故に何度もあう方は多くはないのですから、これまでの人生で示談交渉や裁判を自力で行なったことなどない方がほとんどでしょう。
そこで、交通事故に精通した弁護士に死亡事故の解決を依頼した場合のメリットについてお伝えしたいと思います。
刑事事件への適切なアドバイスをもらえる
前述したように、刑事事件の進行中に示談を成立させてしまうと、加害者の量刑が軽くなる場合があります。
また、刑事裁判への被害者参加制度の利用については裁判所に法的な申請を行なわなければいけません。
交通事故に強い弁護士であれば、これら刑事事件に関わることに関するアドバイスやサポートをすることができます。
弁護士(裁判)基準による適正な損害賠償額を計算してくれる
①死亡事故の各損害項目を正確に計算するのは難しい
ご遺族が受け取ることができる損害賠償項目には、死亡慰謝料や死亡逸失利益、葬儀関係費などがあり、これらを合算したものが損害賠償金になります。
これらの金額をそれぞれ正確に計算していくのは、死亡事故の損害賠償実務に精通していなければ難しいのが現実です。
②慰謝料計算での基準の違いに要注意!
また、これは慰謝料額の算定で非常に大切なことなのですが、3つの計算基準というものがあり、どれを使うかによって金額が大きく変わってくるのです。
「自賠責基準」
自賠責保険が定めている基準で、金額はもっとも低くなる。
「任意保険基準」
各任意保険会社が独自に設けている基準で、各社非公表。
自賠責基準よりも少し高い金額になるように設定されていると考えられる。
「弁護士(裁判)基準」
・金額がもっとも高額になる基準で、被害者の方が本来受け取るべき金額になる。
・これまでの膨大な裁判例から導き出されている基準で、弁護士や裁判所が用いる。
・弁護士が被害者の方の代理人として加害者側の任意保険会社と示談交渉をする場合や、裁判になった場合は、この規準による金額を主張する。
たとえば、死亡慰謝料を自賠責基準と弁護士(裁判)基準で計算した金額の違いを見てください。
2倍以上の違いがあることに注意が必要です。
「自賠責基準による死亡慰謝料の金額早見表」
家族構成 | 金額 |
---|---|
本人 | 400万円(一律) |
遺族が1人の場合 | 550万円 |
遺族が2人の場合 | 650万円 |
遺族が3人以上の場合 | 750万円 |
扶養家族がいる場合 | 200万円が加算 |
注1)遺族には被害者の方の両親、配偶者、子が含まれます。
注2)自賠責基準による死亡慰謝料は、「被害者本人の死亡慰謝料」と、「ご家族などの近親者慰謝料」を合計した金額で支払われることに注意が必要です。
たとえば、死亡した被害者の方に妻と2人の子供がいて、家族の生計を支えていた場合の相場金額は次のようになります。
<弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料の相場金額早見表>
被害者の状況 | 死亡慰謝料の目安 (近親者への支払い分を含む) |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親、配偶者 | 2500万円 |
独身の男女、子供、幼児等 | 2000万円~2500万円 |
交通事故に詳しい弁護士であれば、弁護士(裁判)基準で計算した適切な金額を算出して、加害者側と交渉していくことができるのです。
保険会社とのシビアで難しい示談交渉から解放される
前述したように、保険会社というのは自社の利益のために運営されているのであって、被害者のためにあるのではありません。
つまり、加害者側の任意保険会社は被害者の方やご遺族の味方ではない、ということです。
そのため、被害者の方の過失割合を高く主張したり、逸失利益を低く見積もったりして、少しでも示談金を低くしようとしてきます。
また時には、ご遺族の心を踏みにじるような発言をすることも報告されています。
ご遺族にとって、大きなお金が絡む死亡事故の示談交渉は精神的にも肉体的にも非常に大きな負担であり、多大なるストレスを感じるものです。
そこで、依頼を受けた弁護士が代理人として示談交渉に入れば、ご遺族は過酷な示談交渉を行なわなくて済むのです。
示談交渉で損害賠償金の増額を勝ち取ることができる
交通事故に強い弁護士であれば、加害者側の任意保険会社の、時に不合理ともいえる主張を跳ね返し、弁護士(裁判)基準で計算した適切な金額を主張・立証していくことができます。
そして結果として、保険会社の提示額から2倍、3倍、さらには、多くはありませんが、10倍以上に増額した損賠賠償金を勝ち取ることができるのです。
交渉が決裂しても裁判でさらに損害賠償金が増額する
示談交渉が決裂した場合、弁護士は保険会社を提訴して裁判での決着を図ります。
そして裁判で判決までいった場合、損害賠償金は弁護士(裁判)基準で計算した金額に増額し、これは強制執行(強制的にお金を払わせる)になります。
さらに、これはぜひ覚えておいていただきたいのですが、判決までいった場合には「遅延損害金」と「弁護士費用相当額」がさらに加算されるのです。
遅延損害金というのは、損害賠償金の利息のようなものです。
民法改正により、2020年4月1日以降に発生した交通事故については、年3%の割合で計算されます。
弁護士費用相当額は、裁判で最終的に認められた損害賠償金額の10%前後が加算されるものです。
これは見方を変えれば、本来、被害者側が支払うべき弁護士費用を加害者側に支払わせることができるということになります。
死亡事故を弁護士に依頼した場合のデメリットとは?
死亡事故の解決を弁護士に依頼した場合のデメリットについてもお話ししておかなければなりません。
やはり、ご遺族の方が気になるのは弁護士費用だと思います。
ただ、弁護士費用は高いというイメージは、映画やドラマなどの影響からくる誤解の面もあると感じます。
正しい弁護士費用と仕組みがわかれば、弁護士に依頼するメリットを最大限に受け取ることができると思います。
弁護士費用は本当に高いのか?
ここでは、加害者側の任意保険会社から示談金(損害賠償金)として2,000万円の提示があった場合で考えてみます。
この金額で、ご遺族が納得して示談書にサインをして判を押せば、受け取る金額は2,000万円のままです。
しかし弁護士に依頼した場合、みらい総合法律事務所では次のようなシステムになっています。
☑相談料: | 無料 |
☑着手金: | 0円 |
☑報酬金: | 完全成功報酬制なので、損害賠償金が増額しなければいただきません。 報酬金は獲得金額の10%(別途消費税)。 |
☑実費: | 訴訟提起での印紙代など |
たとえば、最終的に弁護士(裁判)基準の金額が認められて、2倍に増額の4,000万円で解決した場合、次のようになります。
4,000万円-440万円(消費税込み)=3,560万円
ご遺族が受け取る金額は単純計算で3,560万円になるので、弁護士費用を支払ったとしても、保険会社の提示額で示談するよりも1,560万円も多く受け取ることができるわけです。
費用倒れには注意が必要
ただし、注意していただきたいのは「費用倒れ」のケースです。
物損事故やケガの程度が軽い事故の場合は、弁護士費用が損害賠償金の増額分を上回ってしまうことがあり、これを費用倒れといいます。
費用倒れのケースは確かにデメリットなのですが、みらい総合法律事務所では無料相談で事故の状況をお聞きし、費用倒れになる場合は相談者の方にお伝えしていますので、安心してご相談ください。
加害者側の任意保険会社は被害者の方とご遺族の味方ではありません。
保険会社の言うことを素直に聞いていると、被害者の方やご遺族は、じつは大きな損をしてしまう、という現実にどうか気づいてください。
みらい総合法律事務所では、後遺症と死亡事故に注力し、随時、無料相談を行なっています。