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後遺障害申請は誰がやる?被害者本人・保険会社・弁護士の違いと、通院実績が足りないときの対処法

最終更新日 2026年 09月18日

後遺障害申請は誰がやる?被害者本人・保険会社・弁護士の違いと、通院実績が足りないときの対処法

この記事を読むとわかること

交通事故のケガの治療が長引き、医師から「そろそろ症状固定です」と言われたとき、多くの被害者の方が最初につまずくのが「後遺障害申請は、そもそも誰がやるのか」という点です。

保険会社がやってくれるのか、それとも自分で書類を集めるべきなのか。調べても制度の説明ばかりで、自分がどう動けばよいのかが見えてこない、という声は少なくありません。

また、仕事を休めず通院回数が少なくなってしまった方からは、「この通院実績でも後遺障害等級は認められますか…」という切実なご相談も多く寄せられます。

そこでこの記事では、後遺障害申請の疑問を整理し、あなたが取るべきベストな行動がわかるよう、次の4つのテーマで解説します。

  • 後遺障害申請の進め方は3通りあり、
    それぞれ誰が何をするのか
  • 誰が申請しても変わらないことと、
    進め方によって変わること
  • 自分で申請する場合に現実的にかかる負担
  • 通院実績が足りないと感じたときに、
    段階別で打てる手

後遺障害申請は誰がやる?
進め方は3通りある

後遺障害の申請は、手続き上は「事前認定」と「被害者請求」という2つの方法に分かれます。ここでは「実際のところ、誰が何をしてくれるのか」という点に絞って、実務上の進め方を以下3つのパターンで整理して解説します。

加害者側の
任意保険会社に任せる

「事前認定」と呼ばれる方法です。被害者の方がすることは、通院先の医師に後遺障害診断書を作成してもらい、それを加害者側の任意保険会社に渡すことだけです。

その後の書類の取りまとめと提出は、保険会社が行います。手間がほとんどかからない方法です。

被害者本人が自分で進める

「被害者請求」と呼ばれる方法を、被害者の方が自分で行うパターンです。加害者が加入している自賠責保険の会社に対して、被害者の方が直接、必要書類を揃えて提出します

手続きの主導権を持てる一方で、集めるべき書類の種類が多く、取り寄せ先も医療機関・警察・保険会社などに分かれます。

なお、被害者請求には期限があります。後遺障害の部分については、症状固定の日から3年以内とされています(2026年9月時点)。

弁護士に任せて進める

被害者請求を、弁護士が代理人として行うパターンです。書類の収集は自分でしなければならないことも多いですが、必要書類の判断や助言、提出に加えて、症状を裏づける医学的な資料が足りているかどうかの確認まで含めて任せられます

<後遺障害申請 3つの進め方の比較>

進め方 手続きの
名称
書類を
集める人
示談前の
受取
保険会社
に任せる
事前認定 保険会社 できない
自分で
進める
被害者請求 被害者本人 できる
弁護士に
任せる
被害者請求 弁護士 できる

なお、事前認定と被害者請求それぞれの制度としての流れや必要書類は、次の記事で詳しく解説しています。

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誰がやるかで「変わること」と
「変わらないこと」

「保険会社に任せると低い等級にされる」といった話を耳にして、不安になる方がいらっしゃいます。

実際のところ、後遺障害の等級を審査するのは、加害者側の任意保険会社ではありません。自賠責保険の損害調査を行う機関が提出された書類をもとに審査を行うため、審査する組織も基準も誰が申請しても同じです

この機関では、判断が難しい事案や異議申立てがあった事案について、日本弁護士連合会の推薦を受けた弁護士や専門医など、外部の専門家が参加する審査会が設けられています。

事前認定と被害者請求は審査する機関は同じ、提出する資料が変わる

では何が変わるのか。大きく3つあります。

1つずつ詳しく解説します。

変わること1:提出する資料の
中身をコントロールできるか

審査は、原則として提出された書面と画像だけで進みます。被害者本人が面談で痛みを訴える場が用意されるわけではないため、書類に表れていない症状は審査の側から見えません。

保険会社に一任した場合、どの資料が提出されたのかを被害者の方が確認することは基本的にできません。被害者請求であれば、症状を裏づける検査結果や、日常生活での支障を説明する書面を自分の判断で添えられます。

変わること2:示談成立前に
お金を受け取れるか

被害者請求では、後遺障害の等級が認定された時点で、自賠責保険から支払われる分を先に受け取ることができます。示談交渉の決着を待つ必要がありません。

事前認定では、原則として示談が成立するまでは、治療や休業損害などは別として、まとまったお金は入ってきません。治療が長引いて収入が減っている状況では、この違いは小さくありません。

変わること3:資料の不足に
気づけるタイミング

被害者請求では、書類を揃える過程で自分の資料に何が足りないのかを申請前に確認できます。必要な検査を受け直す、医師に記載の追加を相談するといった対応が取れるわけです。

事前認定では、資料の過不足が分かるのは結果が出た後です。非該当の通知を受け取ってから足りなかったものを探すことになり、対応が後手に回りがちです。

なお、後遺障害の等級が認定された件数は、2024年度で35,216件でした。そのうち最も軽い14級が19,589件を占めており、認定された方の半数以上が14級という内訳です(損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」2025年度版)。

自分で後遺障害申請をする
場合にかかる負担

被害者請求は、弁護士に依頼しなければできない手続きではなく、ご本人でも進められます。但し、次のような負担があります。

1つずつ詳しく解説します。

書類を自分で集める必要がある

診断書や診療報酬明細書は医療機関、事故の状況を示す書類は警察や関係機関、これまでの支払い状況が分かる書類は保険会社と、取り寄せ先が分かれています。

それぞれに申請の手続きがあり、窓口の受付時間も異なります。治療やお仕事と並行して進めるとなると、負担を感じる方が多い部分です。

請求に必要な書類の一覧は、国土交通省が公表しています。死亡・後遺障害・傷害のどれにあたるかで必要な書類が変わるため、着手前に一度目を通しておくと安心です。

資料が足りているかどうかを
自分で判断しなければならない

書類が形式的に揃っていることと、症状を医学的に説明できていることは別です。どの検査結果が裏づけになるのかは残っている症状によって変わり、この判断を独力で行うのは簡単ではありません。後遺障害診断書の記載内容が不十分なまま提出されてしまうケースも少なくありません。

時間と実費がかかる

診断書の作成料や書類の発行手数料は、原則として一度は自分で負担します。書類が揃うまでに数週間かかることもあり、そこから審査が始まります。

ご自身で進めるか弁護士に任せるかの判断基準は、症状の重さと資料の複雑さです。画像所見がはっきり出ている骨折などと、画像に表れにくいむちうちの症状とでは、必要な資料の組み立て方が変わります。

通院実績が足りないと
感じたときの対処法

「通院日数が少ないと後遺障害は認定されにくい」という説明は、多くの記事に書かれています。ただ、原因を指摘されるだけでは、いま困っている方の助けにはなりません。

大切なのは、ご自身が今どの段階にいるかによって、打てる手が変わるという点です。以下、3つの段階ごとに解説します。

まだ治療を続けている
段階でできること

この段階が、最も打てる手が多く残っています。ポイントは3つです。

1つ目は、治療の必要があることが前提となりますが、通院の間隔を空けすぎないことです。仕事が忙しく、本来受診が必要であるにもかかわらず通院せず、受診が途切れた期間があると、その間は症状が落ち着いていたと受け取られる余地が生まれます。仕事の都合で通えない時期が続きそうなときは、その事情を医師に伝えて記録に残してもらってください。

2つ目は、自覚症状を毎回、具体的に伝えることです。「首が痛い」ではなく、どの動作でどのあたりに症状が出るのかを言葉にします。この積み重ねが、後遺障害診断書の記載内容につながります。

3つ目は、必要な検査を受けているかを医師に確認することです。症状が続いているのに検査が初診時のものだけ、という状態は避けたいところです。

なお、通院の頻度や期間の考え方そのものは、次の記事で詳しく解説しています。


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症状固定が近い、治療の終了を
打診された段階でできること

保険会社から治療費の支払い終了を打診されると、「もう治療を続けられない」と受け止めてしまう方がいらっしゃいます。ただ、治療費の打ち切りと症状固定は別のものです。症状固定の時期を判断するのは、原則として医師です

症状が続いているのであれば、まず主治医に相談してください。

交通事故のケガで健康保険を使う場合は、「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。加入している健康保険の種類によって届出先が変わるため、勤務先の健康保険か、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

そのうえで、後遺障害診断書を作成してもらう段階では、記載内容をご自身で確認することをおすすめします。残っている症状が書かれていない、検査結果の欄が空欄になっているといったことは実際に起こります。

症状固定が近い、治療の終了を打診された段階でできること

すでに申請して結果が出て
しまった段階でできること

非該当、あるいは想定より低い等級の通知を受け取った場合でも、異議申立という手続きが用意されています。

ただし、同じ資料をもう一度出しても結果は変わりにくいのが実情です。前回の審査で何が足りなかったのかを踏まえ、不足していた部分を補う資料を新たに用意する必要があります。

異議申立てのほかに、自賠責保険・共済の支払いに関する紛争を中立の立場で審査する第三者機関もあります。国が指定した機関で、支払いの内容に納得できない場合の相談先のひとつです。

通院実績をめぐって被害者が
やってしまいがちな3つのこと

認定されたいという気持ちから、かえって不利に働く行動を取ってしまうことがあります。よく見かけるものを3つ挙げます。

1つずつ詳しく解説します。

認定のために通院回数を
増やそうとする

回数を稼ぐことが目的になった通院は、医学的な必要性を欠くと判断される場合があります。症状の説明としても、かえって一貫性を失わせることになりかねません。

痛みが残っているのに
自己判断で通院をやめる

「これ以上通っても良くならない」と感じて受診をやめてしまうと、症状が続いていた記録がそこで途切れます。続いている症状は、続いている間、記録に残しておくことが大切です。

自覚症状を控えめに
伝えてしまう

医師に気を遣って「だいぶ良くなりました」と答えてしまう方は少なくありません。その言葉がカルテに残り、症状が軽快したという記録として扱われることがあります。我慢せず、残っている症状をそのまま伝えてください

よくある質問

Q. 後遺障害の申請は
誰がするのですか?

A. 進め方は3通りあります。加害者側の任意保険会社に任せる方法、被害者本人が自分で行う方法、弁護士に任せる方法です。審査を行う機関と審査の基準はどの方法でも同じですが、提出する資料の中身と、示談前にお金を受け取れるかどうかが変わります。

Q. 後遺障害の認定を
受けるには、何か月くらい
通院が必要ですか?

A. 一律の基準が公表されているわけではありません。ただ、むちうちなどの症状では6か月以上の治療期間が一つの目安とされています。期間の長さだけでなく、通院の間隔や検査内容も含めて総合的に判断されます。

Q. 通院回数が少ないまま
症状固定になりました。
申請しても意味は
ありませんか?

A. 回数が少ないことだけで結論が決まるわけではありません。症状が続いていたことを示す記録や、症状を裏づける検査結果が揃っているかどうかが重要になります。申請前に、資料に何が足りないかを確認することをおすすめします。

Q. 後遺障害の申請をしない
という選択肢もありますか?

A. 申請は義務ではありません。ただし、等級が認定されないと、後遺障害慰謝料や逸失利益は原則として請求できません。症状が残っているのであれば、申請を検討する価値はあります。

Q. 弁護士に後遺障害申請を
頼むには、どうすれば
よいですか?

A. 多くの法律事務所が無料相談を設けています。相談の際は、これまでの診断書や通院の記録、保険会社とのやり取りが分かるものをお持ちいただくと話が早く進みます。

まとめ

後遺障害申請を誰がやるかによって、審査する機関や審査の基準が変わるわけではありません。変わるのは、審査に出す資料の中身と、お金を受け取る時期、そして不足に気づけるタイミングです。

通院実績に不安がある場合も、いまどの段階にいるかによって打てる手は残っています。治療中であれば通院の記録と検査の見直しを、症状固定が近いのであれば診断書の記載内容の確認を、すでに結果が出ているのであれば不足を補う資料の検討を、それぞれ進めてください。

判断がつかないときは、早い段階で交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

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監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠
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