交通事故の慰謝料は治療1日いくらか?6か月では?
目次
交通事故の被害者の方は加害者側に対して慰謝料請求をすることができます。
ところで、慰謝料というのは1つではないことをご存知でしょうか?
また、金額の計算には基準があり、その基準の違いによって金額が大きく変わってきます。
本記事では、ケガの治療のために入院・通院した場合に受け取ることができる「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の計算方法について、「自賠責基準」と「弁護士(裁判)基準」それぞれの違いによって、治療日数が1日の場合と6か月の場合に分けて解説していきます。
これから、交通事故の慰謝料の治療日数の違いによる計算方法について解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。
交通事故の慰謝料とは?
交通事故の被害者の方は、損害賠償金(状況に応じて示談金とも保険金ともいいます)を受け取ることができます。
損害賠償金には治療費、交通費、休業損害など、さまざまな項目があります。
そうした損害項目の中でも金額が大きいものの1つに、慰謝料があります。
慰謝料とは、被害者の方の精神的な苦痛や損害に対して支払われるものです。
慰謝料の種類は4つ
交通事故の慰謝料は、1つのまとまったものと思われるかもしれませんが、じつは次の4種類があります。
②後遺障害慰謝料
③死亡慰謝料
④近親者慰謝料
交通事故で傷害(ケガ)を負って治療を受けた場合は、入通院慰謝料を受け取ることができます。
ケガが完治せず症状固定となると、被害者の方には後遺症が残ります。
後遺症が後遺障害と認められ、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料を受け取ることができます。
慰謝料計算で使われる3つの基準とは?
交通事故の慰謝料は次の3つの基準をもとに計算されます。
2.任意保険基準
3.弁護士(裁判)基準
自賠責基準は、自賠責保険で定められているもののため、慰謝料はもっとも低くなります。
任意保険基準は、各損保会社が独自に設定しているもので非公表となっていますが、自賠責基準より少し金額が高くなるように設定されています。
ここで知っておいていただきたいのは、弁護士(裁判)基準です。
☑弁護士(裁判)基準は、3つの基準の中では、もっとも高額になる。
☑被害者の方が受け取るべき正しい金額は、弁護士(裁判)基準で算定した慰謝料。
☑弁護士(裁判)基準は、過去の膨大な裁判例から導き出されているため、裁判になった場合は認められる。
☑弁護士が被害者の方から依頼されて加害者側の任意保険会社と示談交渉をする際にも弁護士(裁判)基準を主張する。
示談交渉では、被害者の方は弁護士(裁判)基準で算定した慰謝料などを主張し、加害者側に認めさせることが重要になってきます。
入通院慰謝料の計算方法と金額
自賠責基準による入通院慰謝料(1日あたり)
自賠責基準では、入通院慰謝料(傷害慰謝料)は1日あたりの金額が「4,300円」と定められています。
4,300円(1日あたりの金額)×対象日数=入通院慰謝料
なお、入通院慰謝料は1日でも治療を受けていれば受け取ることができます。
自賠責基準による入通院慰謝料(6か月)
自賠責基準による入通院慰謝料を計算する際、注意しなければいけないのは治療の対象日数です。
治療の対象日数については、次のどちらか短いほうが採用されます。
A)「実際の治療期間」
B)「実際に治療した日数×2」
たとえば、治療期間が6か月、実際に治療した日数が平均で週に2回の場合で考えてみます。
A)4,300円×180日=774,000円
B)4,300円×(25日×2)=215,000円
この場合、B)の215,000円が採用されることになります。
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(1日あたり)
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料は、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している『損害賠償額算定基準』に記載されている算定表を用います。
この算定表は弁護士や裁判所も使用するもので、ケガの程度によって「軽傷用」と「重傷用」の2種類があります。
まず、軽傷用の算定表の「入院0(ゼロ)」と「通院1か月」が交わったところを見てください。
19万円となっているので、これを30日で割った金額である、6,333円が弁護士(裁判)基準による1日の入通院慰謝料になります。
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料(6か月)
たとえば、むち打ち症の場合は「軽傷用」の表の「入院0(ゼロ)」と通院期間6か月が交わったところを見てください。
弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料は「89万円」となります。
通院期間別の入通院慰謝料早見表
ここでは被害者の方が重傷のケースで、通院期間が1か月、3か月、5か月、6か月の場合、それぞれ入通院慰謝料がいくらになるのか、わかりやすいように表にまとめてみました。
ご自身の状態に照らし合わせて参考にしてください。
<1か月通院した場合の慰謝料の日額>
自賠責基準 | 4300円 |
---|---|
任意保険基準 | 経験上7400円程度が多い |
弁護士基準 | 9333円 |
自賠責基準 - 4300円
任意保険基準 - 経験上7400円程度が多い
弁護士基準 - 9333円
※自賠責基準は、1か月のうち通院期間が半分以上だったと仮定して計算。
※任意保険基準と弁護士基準は、1か月=30日で割って日額を計算。
※自賠責基準:12.9万円、任意保険基準:12.6万円、弁護士基準;28万円をそれぞれ日額に換算。
<3か月通院した場合の慰謝料の日額>
自賠責基準 | 4300円 |
---|---|
任意保険基準 | 経験上6400円程度が多い |
弁護士基準 | 8111円 |
自賠責基準 - 4300円
任意保険基準 - 経験上6400円程度が多い
弁護士基準 - 8111円
※自賠責基準:38.7万円、任意保険基準:37.8万円、弁護士基準:73万円を日額に換算。
<5か月通院した場合の慰謝料の日額>
自賠責基準 | 4300円 |
---|---|
任意保険基準 | 経験上5600円程度が多い |
弁護士基準 | 7000円 |
自賠責基準 - 4300円
任意保険基準 - 経験上5600円程度が多い
弁護士基準 - 7000円
※自賠責基準64.5万円、任意保険基準56.7万円、弁護士基準105万円を日額に換算。
<6か月通院した場合の慰謝料の日額>
自賠責基準 | 4300円 |
---|---|
任意保険基準 | 経験上5100円程度が多い |
弁護士基準 | 6444円 |
自賠責基準 - 4300円
任意保険基準 - 経験上5100円程度が多い
弁護士基準 - 6444円
※自賠責基準77.4万円、任意保険基準64.3万円、弁護士基準116万円を日額に換算。
後遺障害慰謝料の計算方法と金額
後遺症と後遺障害の違いについて
前述したように、ケガの治療をしたものの、医師から症状固定(完治の見込みがない状態)の診断を受けた場合は後遺症が残ってしまうことになります。
後遺症には次のものがあります。
「機能障害」
・高次脳機能障害による認知や行動の障害
・視力、聴力、言語能力等の低下や喪失 など
「運動障害」
・上肢、下肢などの麻痺や変形
・肩関節、肘関節、手首、股関節、膝関節、足首などの可動域制限 など
「神経症状」
手足や首の痛みやしびれ など
では、後遺障害慰謝料を受け取るにはどうすればいいのかというと、これらの後遺症が後遺障害と認められ、さらには後遺障害等級が認定される必要があるのです。
・交通事故が原因であると医学的に証明されること
・労働能力の低下や喪失が認められること
・その程度が自動車損害賠償保障法(自賠法)で定める後遺障害等級に該当すること
後遺障害等級とは?
後遺障害等級は、もっとも重度の1級から順に14級まで設定されており、後遺障害が残った部位などによって、〇級〇号というように認定されます。
国土交通省:「自賠責後遺障害等級表」
後遺障害慰謝料の相場金額は?
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって金額が変わってきます。
そのため、入通院期間の違いによる金額の違いはないので、「1日あたりいくら」「6か月の入院・通院でいくら」、というようには算定されません。
ここでは、自賠責基準と弁護士(裁判)基準の違いによる金額を表にまとめてみました。
ご覧のように、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では金額に大きな違いが生まれてしまいます。
やはり、慰謝料は弁護士(裁判)基準で計算した金額で示談するべき、ということになるのです。
慰謝料計算・請求で気をつけておきたいポイント
慰謝料の計算・請求では、注意していただきたいポイントがあります。
症状固定の前に治療をやめないでください!
症状固定の診断は、医師が行なうものです。
しかし、加害者側の任意保険会社の担当者がこんなことを言ってくる場合があります。
「そろそろ症状固定にしてください。治療費の支払いは停止します」
これには理由があります。
対応策については、こちらのページを参考にしてください。
認定された後遺障害等級が正しいとは思わないでください!
後遺障害慰謝料を受け取るには、ご自身の後遺障害等級が認定されなければいけません。
しかし、認定された等級が必ずしも正しいわけではない、ということに注意が必要です。
慰謝料は増額する場合があります!
次のようなケースでは慰謝料が増額する可能性があるので、見逃さないようにしてください。
1.被害者の方の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合
2.被害者の方に特別な事情がある場合
3.その他の損害賠償の項目を補完するような場合
いずれにしても、慰謝料に関してお困りの場合は、交通事故に強い弁護士に一度は相談してみることをおすすめします。
交通事故の慰謝料は弁護士にご相談ください!
ここまで読み進めてこられて、どのようにお感じになったでしょうか。
やはり、交通事故の慰謝料計算や示談交渉は難しいと思われたのではないでしょうか。
そうした場合、まずは弁護士に相談してみるという選択は間違いではありません。
交通事故に強い弁護士に相談・依頼すると、次のようなメリットがあります。
2.正しい後遺障害等級認定を受けることができる
3.難しく、煩わしい保険会社との示談交渉から解放される
4.最終的な慰謝料が増額する
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