後遺障害と死亡事故に特化。交通事故賠償に詳しい弁護士が解説。

交通事故の保険金と慰謝料の増額法

最終更新日 2019年 12月18日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

この記事を読んでわかること

  • 慰謝料等が増額して解決した実際の事例
  • 交通事故の発生から問題解決までの流れ
  • 自賠責保険と任意保険の違いや特徴
  • 示談交渉の仕組みについて
  • 交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための知識
  • 弁護士に依頼すると交通事故の保険金が増額する理由
  • 弁護士に依頼するべき理由
  • 弁護士の正しい探し方

生命保険に加入している人であれば、ケガや病気、または死亡した場合に「保険金」が支払われます。

これは、生命保険が人の生命や傷病にかかわる損失を保障するものだからです。

では、自動車保険の場合はどうでしょうか。

自動車保険といっても、交通事故の相手に対する保険や物の損害に対する保険、そして運転者と同乗していた人への保険などさまざまありますが、この中で主要となる自動車保険の柱といえるものが「対人賠償保険」です。

今回は、交通事故における保険金と慰謝料の増額法について、解説します。

交通事故では、解決までの全体像を知っておくことが大切です。交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう

 

【参考動画】
交通事故に適用される保険の種類について

 

みらい総合法律事務所の実際の解決事例を紹介

まずは、みらい総合法律事務所で実際に増額解決した、信じられないような交通事故の示談の事例をご紹介します。

「47歳男性が併合2級で約9300万円の増額を獲得」

脊髄損傷と下肢切断の傷害を負った47歳の男性の交通事故です。

治療をしましたが症状固定となり、被害者男性には後遺症が残ってしまいました。

自賠責後遺障害等級を申請すると、脊髄損傷で5級、下肢切断で5級の併合2級が認定され、加害者側の任意保険会社から慰謝料などの示談金(損害賠償金とも保険金ともいいます)の提示がありました。

その額は、約5270万円。

被害者の方は、この金額がはたして妥当なものなのかどうか判断できなかったことから確認のために、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

事案を精査した弁護士の見解は「増額可能」というものだったので、被害者の方は示談交渉などすべてを依頼することにしました。

弁護士と保険会社の交渉が始まりました。

争点のひとつは慰謝料でしたが、保険会社は弁護士の主張を認めず、示談金の増額に応じなかったため、弁護士が提訴。

裁判では、慰謝料が弁護士(裁判)基準では2370万円のところ、ひき逃げ事案であったことが考慮され、さらに増額して2600万円が認められるなどしたことから、最終的には合計額で1億4590万円が認められました。

保険会社の当初提示額から約9300万円増額、約2.8倍に増額して解決した事例です。

 

このように、弁護士が代理することで大幅に増額するケースがあります。示談交渉は、必ず弁護士に相談しながら進めるようにしましょう


自動車保険は、「損害保険」です。

損害保険における「保険金」とは、保険事故により損害が生じた場合に、保険会社が被保険者に支払うお金のことをいいます。

「被保険者」とは、保険証券に「被保険者」と記載された人その他約款によって決まりますが、被害者ではありません。

ただ、交通事故の場合には、保険会社が被害者と示談交渉して、被保険者に対してではなく、被害者に直接お金を支払います。これを「損害賠償額」の支払いといいます。

しかし、この区別はわかりにくいので、この記事では、正確な区別をすることなく、「保険金」や「損害賠償金」などという一般的な用語で説明をしていきたいと思います。

今回は、交通事故被害者の立場に立って、正しい保険金獲得のための基礎知識から、損をしないための実践的な対処法までを解説します。

通事故の発生から示談成立までの流れを確認する

交通事故は人生で何度も経験するものではないですから、当然、知識を持っている被害者の方は少ないでしょう。

突然のアクシデントに気が動転してしまう方がほとんどです。

しかし、行なうべきこととその流れ、段取りを理解しておくことで、交通事故被害のスムーズな解決と適正額の損害賠償金を得ることができます。

交通事故の発生から示談成立までの流れは、おおよそ次のように進んでいきます。

①事故発生
②相手(加害者)の身元の確認
③警察への通報、実況見分調書の作成
④加害者、被害者双方の保険会社への通知
⑤ケガの治療
⑥治療完了または後遺障害等級の認定により賠償損害額確定
⑦示談交渉
⑧示談成立
⑨示談が決裂した場合は裁判に進む

 

加害者(相手)の身元を確認する

今後、加害者側と交渉していく必要があるので、相手の名前と連絡先を必ず確認しておきます。

加害者が、どこの誰なのかわからなければ、被害を補償してもらうことができなくなってしまうからです。

また、事故直後に相手方から名刺をもらっておくようにします。

加害者が仕事中に起こした事故の場合は、「使用者責任」といって、勤務先の会社も損害賠償責任を負担する義務がありますし、もし加害者が保険に加入していない場合、給料を差し押さえるケースもあるからです。

もし、相手が会社の名刺を持っていない場合は、会社名、部署、連絡先をメモしておきます。

ウソの電話番号を教える不誠実な加害者の場合や、被害者の方の書き取り間違いの場合も考えられます。

そこで、その場で電話をかけて、加害者の電話番号が正しいかどうか確かめるという方法もあります。

できれば、「車検証」、「自賠責保険」、「任意保険」を確認し、携帯電話やスマホのカメラなどで写真を撮っておきます。

車検証には自動車の所有者情報などが記載されています。

自動車の所有者と運転をしていた加害者が別の場合は、自動車を所有する人も被害について損害賠償を負担する可能性がありますので、しっかりチェックしておきましょう。

警察への通報と実況見分による調書の作成

その場で加害者が「示談をしよう」と提案してくることがありますが応じてはいけません。

必ず警察に通報することが重要です。

なぜなら、保険会社との示談や裁判は、警察が作成する「交通事故証明書」や「物件事故報告書」をもとに行なうことになるからです。

最悪の場合、警察へ通報しないと交通事故そのものが発生していなかったことになってしまう可能性もあるので注意が必要です。

加害者・被害者双方の保険会社への通知

加害者に自身の保険加入の有無を確認し、保険会社へ連絡をしてもらいます。

これは、交通事故の示談交渉において重要なポイントになります。必ず事故直後に行なうようにしてください。

なお、被害者ご本人が加入されている任意保険を利用できる場合もあります。この通知も忘れずに、速やかに行なうことが大切です。

任意保険にはさまざまな種類があります。

ご自身のケガの治療費などを負担してくれるものもあるので必ず確認しましょう。

自賠責保険と任意保険の違いとは?

ところで、自動車保険には「自賠責保険」「任意保険」がありますが、この違いをご存知でしょうか?

「自賠責保険」

自賠責保険は、正式名称を「自動車損害賠償責任保険」といいます。

自動車やバイクを使用する際に、すべての運転者が加入を義務づけられている損害保険です。(「自動車損害賠償法」第5条)

強制加入のため、強制保険とも呼ばれます。

法律で定められたものなので、違反すると当然に罰則が科せられます。

違反者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(「自動車損害賠償保障法」第86条の3)

自賠責保険は、人身事故の被害者を救済するために作られた保険です。

そのため、人身事故にのみ適用され、自動車が壊れるなどの物損事故には適用されません。

自賠責保険には支払限度額があります。

死亡による損害の場合は3000万円、傷害による損害の場合120万円、介護を要する後遺障害の場合4000万円~3000万円、その他の後遺障害の場合、1級から14級の後遺障害等級に応じて3000万円~75万円となっています。

自賠責法別表第1

第1級 4000万円
第2級 3000万円

自賠責法別表第2

第1級 3000万円
第2級 2590万円
第3級 2219万円
第4級 1889万円
第5級 1574万円
第6級 1296万円
第7級 1051万円
第8級 819万円
第9級 616万円
第10級 461万円
第11級 331万円
第12級 224万円
第13級 139万円
第14級 75万円

 

「任意保険」

任意保険は、ドライバーが任意で加入する保険です。

1997(平成9)年に保険が自由化されたことで、各損保会社がさまざまな内容の保険を扱っています。

「対人賠償保険」は、契約している車両(自動車やバイク等)で事故を起こしてしまい相手が死傷した場合、相手に保険金が支払われます。

「対物賠償保険」は、相手の車両や家屋等の建物などを壊してしまった場合に相手に保険金が支払われます。

なお、自賠責保険は必要最低限の保障のため、実際の交通事故では自賠責保険だけでは損害賠償金をカバーしきれないケースが多く発生します。

たとえば、相手の被害者が頭部を強く打ったことで寝たきりの植物状態(遷延性意識障害)になったり、脊椎損傷で下半身に麻痺が残ったりした場合、将来の介護費用が多額になるため、損害賠償金が1億円を超える場合がざらにあります。

しかし、自賠責保険の補償は最大で4000万円です。

では、残りの6000万円はどうしたらいいのでしょうか?

誰が支払ってくれるのでしょうか?

そこで必要になってくるのが任意保険です。

任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分を補うものなので、交通事故による損害賠償金額が自賠責保険金額を上回る場合にのみ、その上回る部分について支払われるのです。

 

【参考動画】
交通事故で問題になる自賠責保険と任意保険の関係とは?

 

被害者が自分の保険を確認したほうがいい理由

交通事故の被害にあった時、通常は加害者側の保険を使うことになります。

しかし、被害者ご自身が契約している自動車保険の中にも使えるものがあります。

加害者側の保険を使ったうえで、さらに自分が加入している保険からも保険金が出る場合があるのです。

これを知らない方、または忘れてしまっている方がいます。

せっかく保険料を支払っているのですから、もらえるものはしっかりともらい、交通事故による被害を少しでも回復しなければなりません。

損をしないためにも、ご自身の契約している保険を必ず確認するようにしましょう。

「搭乗者傷害保険」は、運転者(契約者)だけでなく家族や友人など同乗していた人に対して保険金が支払われるものです。

対人賠償保険と対物賠償保険が相手(被害者)に対しての補償であるのに対して、搭乗者傷害保険は事故を起こした自分に対して補償をしてくれるものです。

「人身傷害補償保険」は、保険の契約者が被保険自動車や他の自動車に搭乗中の交通事故、または歩行中の交通事故により傷害を被った場合に、約款で規定された基準に従って算定された損害額が支払われる保険です。

交通事故で被害者にも過失がある場合、「過失相殺」によって加害者からは被害者の過失割合を差し引いた損害賠償金しか支払ってもらえません。

しかし、「人身傷害補償特約」があれば、自分の過失割合に対応する分についても、一定限度で支払ってもらえる場合があります。

つまり、被保険者の損害賠償責任の有無や過失の程度を問わず支払いを受けることができる点が最大の特徴です。

この場合、ご自分の任意保険だけでなく、同居のご家族や、独身の場合には実家のご両親の任意保険も確認することが大切です。

じつは、自分の任意保険だけでなく、家族などの任意保険からも保険金が支払われる場合があるのです。

また、自宅に複数の自動車があり、それぞれ任意保険をかけている場合には、すべての確認が必要です。

これらの保険を使う場合、保険代理店に確認するだけでは十分とはいえません。

過去には、口頭での確認や回答で間違えている例が実際に何度もあったからです。

必ず事故当時のパンフレットや保険証券などを確認してください。

「弁護士費用特約」がついていれば、交通事故の損害賠償を請求する際に、弁護士に依頼する場合の弁護士費用や裁判費用が一定限度で支払われます。

詳しくは後ほど解説しますが、被害者ご本人が保険会社と示談交渉するのと、弁護士が交渉するのとでは損害賠償金額がかなり変わってくることが多いので、弁護士費用特約がある場合は有効に使うことをおすすめします。

自分の保険に「弁護士費用特約」がある場合は、弁護士費用特約を有効に使って適正な賠償額を獲得しましょう


通常、支払金額は、ひとつの事故で被保険者1名に対し300万円を限度とし、法律相談費用については別途10万円を限度とする契約がほとんどです。

ちなみに、人身事故に限らず、物損の場合も対象になります。

また、支払いを受けるためには、事前に任意保険会社の同意が必要となります。

 

【参考動画】
自動車保険の人身傷害補償特約弁護士費用特約が使えるのはどんな場合?

 

「無保険者傷害特約」は、加害者が任意保険に入っていなくても、保険金が支払われる、という特約です。

ここまで見てきたように、自分が被害者の場合に加害者の加入している任意保険会社に請求する場合の保険金を損害賠償金といいます。

一方、被害者ご自身が加入している任意保険から自分に対して支払われるもの保険金と一般的に呼んでいるわけです。

 

【参考動画】
交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合の対処法とは?

 

被害者が適正な保険金を受け取るための注意ポイントとは?

ケガの治療はいつまで続ければいいのか?

交通事故の被害にあってケガをした場合は当然、治療をします。

しかし、被害者の方が不安になるのは、ケガの治療を一体いつまで続けるべきか、ということです。

ケガが完治すれば、その時点で治療をストップすればいいのでわかりやすいのですが、問題となるのは何らかの後遺症が残っている場合です。

通常、医師が「治療をこれ以上継続しても、症状の改善が見られない」と判断したときが、治療継続のポイントになります。

これを「症状固定」といいます。

症状固定と診断された時点で体になんらかの障害が残っている場合には、「後遺症」ということになってしまいます。

医師が「症状固定」の判断を下したあとの治療費は、原則として損害賠償の計算に含まれないことになります。

そのため、主治医としっかりコミュニケーションをとり、自分の体がどのような状態にあるかをつねに把握することが重要になってきます。

 

【参考動画】
交通事故の治療における症状固定とは?

 

後遺障害等級の認定と賠償損害額の確定

被害者の方の治療が完了したあとは、「損害保険料率算出機構」という機関により、「後遺障害等級認定」が行なわれます。

これは、後遺障害のレベルを認定する重要な手続きです。

後遺障害等級には、脊髄損傷や高次脳機能障害など後遺症が重い1級から14級まであり、等級によって被害者の方が自賠責保険から受け取ることができる金額が変わってくるのは前述の通りです。

なお、認定された後遺障害等級に納得がいかない場合は、「異議申立て」をしなければいけません。

 

【参考動画】
交通事故で後遺障害等級はどのように認定されるのか?

 

交渉相手は加害者が加入している保険会社の担当者

ところで、交通事故の被害者の方が理解しておくべきことがあります。

それは、「自分自身が損害賠償を立証し、自分で加害者側に請求しなければならない立場にある」ということです。

自分は被害者なのだから、「警察が何とかしてくれるだろう」、「保険会社が何とかしてくれるだろう」などと考えていると後々、痛い目にあいます。

被害者の方が交渉していく相手は、加害者の加入している保険会社の担当者になることがほとんどです。

これは、任意保険には示談代行のサービスがついていることが多いためです。

保険会社の担当者は、あなたの味方ではなく交渉相手です。

しかも彼らは保険のプロです。

そのことを、しっかり理解しておいてください。

加害者側の保険会社は適正な損害賠償金を払ってはくれない?

しばらくすると、加害者側の保険会社から損害賠償金の提示があります。

その内訳は次のようになります。

「損害賠償金を構成する項目例」※ケガをした場合

治療費、入院雑費、通院交通費、付添費、休業損害、傷害慰謝料、弁護士報酬、後遺症慰謝料、将来介護費、将来雑費、損害賠償請求関係費用、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、修理費、買替差額、評価損、代車使用料、休車損、登録関係費 など。

これらをまとめて損害賠償金として提示され、被害者の方は示談をするかどうか選択をすることになります。

しかし、じつはこの保険金が適正な金額で提示されることは、まずありません。

中には納得がいかないとして示談交渉をする方もいますが、「有名な大手の保険会社が適当な金額を提示するわけないだろう」と考えて示談金の書類に判を押してしまう人もいます。

ではなぜ、適正な金額が提示されないのでしょうか?

交通事故の損害賠償金額算定には3つの基準がある

じつは、加害者側の保険会社から提示される損害賠償金額は、初めから低く設定されていることが多いのです。

その理由は、交通事故の損害賠償金額算定に次の3つの基準があるためです。

①自賠責基準

自賠責保険から支払いを受けられる金額を基準とするもので、金額は3つの基準の中でもっとも低くなります。

任意保険会社は、よくこの自賠責基準による金額を交通事故の示談案として提示することがあります。

それは、任意保険会社は自賠責基準の範囲内であれば、自賠責から支払いを受けることができるからです。

つまり、この基準で示談できれば、保険会社自らの出費を抑えることができるわけです。

②任意保険基準

任意保険会社それぞれにおける支払基準のことです。

自賠責基準のような法的な拘束はなく、あくまで各保険会社内の基準です。

自賠責基準と③の弁護士基準の間で金額が設定されているといえます。

「当社の基準の限界まで出させてもらいました」と保険会社の担当者が言うことがありますが、それがこの基準による金額です。

しかし、これも裁判をした場合に認められる金額より少ないのが通常です。

③弁護士基準

裁判をした場合に見込まれる金額による支払基準のことです。

この基準こそが被害者の方にとって本来受け取るべき適正な賠償額といえます。

そのため、この基準に基づいて示談交渉を行ない、請求をしていくことが大切です。

なお、この弁護士基準は裁判所を拘束するものではありません。

そのため、②の任意保険基準を超えて増額する可能性があります。

つまり、被害者は自賠責基準や任意保険基準によって提示された保険会社からの金額で安易に示談をしてはならないのです。

弁護士は、「弁護士基準」で示談交渉を行います。自分で交渉して難しそうなら、弁護士に依頼することを検討しましょう


死亡事故の場合の保険金について

次に、不幸にして被害者の方が亡くなってしまった死亡事故の場合についても解説します。

突然の出来事のため、遺族の方はどうしていいのかわからず途方に暮れてしまったり、あまりのショックから茫然自失となってしまうことが多くあります。

しかし、どなたかが交通事故で死亡された場合、その瞬間から法的な問題が発生します。

死亡事故の場合は、ご遺族(相続人)の方が加害者に対して損害賠償請求を行なわなければいけません。

中には、「あの交通事故のことは思い出したくない」という方もいらっしゃると思いますが、損害賠償金はご遺族が手にすることができる当然の権利です。

亡くなった方のためにも、決して権利の放棄などしないようにするべきです。

ケガの場合と同様に、加害者側の保険会社の担当者と示談交渉をしていくことが通常です。

異なるのは、死亡事故の場合、事故後の治療や後遺障害は発生しないため、保険金額がすぐに決まるという点です。

しかし、前述のように保険会社の提示額は、ご遺族が受け取るべき適正な金額よりも低いことがほとんどです。

そのため、死亡事故の場合も、その損害額について示談交渉をしていくことになります。

損害賠償請求権には時効がある

損害賠償請求する権利には時効があり、通常その期間は事故から3年間です。

時効を過ぎると請求できなくなるので注意が必要です。

ひき逃げのような加害者がわからない事故の場合は、加害者が判明したときから3年です。

ただし、民法改正により、2020年4月1日以降は、損害賠償請求権のうち、人身損害については3年ではなく5年となります。

加害者が判明しない場合は、事故から20年が経過すると時効となり、被害者側の権利が消滅してしまいますので、この点も注意が必要です。

なお、被害者の方やご遺族がご自分で損害賠償額を計算できるように、WEB上の自動計算機を設置しました。

個別の事情があるため完璧ではありませんが、一般論的な数字が算出できるので、ぜひ活用してください。

保険金の示談で被害者が弁護士に依頼したほうがいい理由

ここまで、交通事故被害者や遺族の方が手にすることができる損賠賠償金について、実際よりも低い金額を提示されることが多く、示談交渉をしていくのは大変なことがわかりました。

では、どうすれば適正な保険金を手にすることができるのでしょうか?

ここでは、弁護士に示談交渉を依頼した方がいい理由を解説します。

①被害者は示談交渉の煩わしさから解放される

被害者の方や、死亡事故の場合のご遺族は、精神的にも肉体的にも苦しんでいます。

そうした中、入院や治療を受けながら、後遺障害等級認定のための書類や資料を用意して、認定が出れば今度は加害者側の保険会社の担当者と示談交渉をしなければいけません。

相手は、こんなことを言ってくるかもしれません。

「基準で決まっているので、これ以上のお金は出せません」
「どうせ裁判を起こしても金額は上がりませんよ」
「そちらにも過失があったのだから、この金額は妥当です」
「裁判をするなら、こちらも徹底的に争いますよ」

ハードな交渉を続けることで、被害者の方やご遺族はさらに苦しみ、精神的に疲弊してしまいます。

しかし、弁護士に頼んでしまえば、相手側の保険会社との交渉はすべて弁護士が行ないますから、煩わしさや精神的苦痛からは解放されます。

②正確な損害賠償金額がわかる

前述したように、加害者側の保険会社から適正な損害賠償金額が提示されることは、まずありません。

素人の方があれこれ調べて相手と交渉しても、なかなか太刀打ちできるものではありませんし、損害賠償金の基準はプロでも勉強が必要なほど難しいものです。

どれくらいの金額で示談するのが妥当なのか、それとも裁判に持ち込むのかなど、お金の交渉をするのは大変難しい作業です。

しかし、弁護士に依頼すれば適正な金額の計算から過去の裁判例の調査まで、すべてを行なってくれます。

③損害賠償金が増額される可能性が高い

弁護士が入って交渉する、もしくは裁判で争うと損害賠償金が増額される可能性が非常に高くなります。

それは、弁護士は初めから裁判を前提とした金額で交渉をスタートするからです。

実際、提示額から2倍、3倍はよくあることです。

交渉を進める中で増額しなければ、弁護士は裁判に持ち込みます。

すると、金額は前述のように弁護士基準の金額まで上がります。

裁判となれば相手の保険会社も弁護士に依頼することで費用もかかってきます。

そのため、保険会社としては、ある程度のところまで金額を上げて提示したほうがよいだろうという判断になるわけです。

ところが、被害者側がいくら「裁判する」といっても、保険会社としては安心なのです。

なぜなら、弁護士がつくまでは金額を上げず、弁護士が交渉の席についた時点で金額を上げればいいだろうと考えているからです。

であれば、最初から被害者の方はお金の話は弁護士に任せてしまえばいいのです。

「相手の保険会社の人もがんばってくれたのだから示談しよう」
「相手の担当者がいい人だから、これ以上もめたくない」
「お金の話で争うのは下品なことだ」

などと、被害者の方は考える必要はないのです。

 

【参考動画】
交通事故の慰謝料は弁護士に依頼をすると、なぜ増額することが多いか?

 

④裁判をした方が得な場合もある

裁判になると時間もお金もかかってしまうと思われる方もいると思いますが、じつは裁判をした方が得な場合もあるのです。

裁判で判決までいくと、債務の履行が遅れた場合に払わなければいけない「遅延損害金」がつきます。

交通事故の場合にも遅延損害金がつきます。

これは、事故の発生日から金額に対して年利5%で計算されます。

たとえば、1000万円の場合、1年後なら5%で50万円、2年後であれば10%で100万円になります。

現在の銀行預金の利子に比べると、ずいぶん高いことがわかります。

 

【参考動画】
交通事故の損害賠償金について、遅延損害金を請求することはできるのか?

 

なお、この遅延損害金の割合は、2020年4月1日以降の事故の場合には、年利3%で、その後3年毎に利率が見直されることになっています。

また、被害者の方やご遺族は加害者に対して「弁護士費用相当額」というものを請求できます。

これは賠償金額の約10%です。

たとえば、交通事故にあってから2年後に裁判で賠償金額が確定した場合、損害賠償金額が1000万円であれば、遅延損害金が年利5%×2年分と弁護士費用相当額10%とすると合計金額が1200万円に、2000万円の場合であれば合計で2400万円になるのです。

⑤弁護士に依頼した方が短時間で解決する

ご自身で交渉する場合より、弁護士に依頼した方がはるかに短時間で解決します。

もちろん弁護士にもよりますが、交渉期間の目安は3ヵ月間です。

3ヵ月間で満足のいく金額が出なければ、それ以上時間をかけてもいい金額は出ないので、見切りをつけて訴訟に持ち込みます。

訴訟に持ち込むと、6ヵ月~1年程度が目安となります。

しかし、ご自身で交渉するとなると、必要書類の用意と提出、示談交渉など膨大な時間がかかってしまいます。

⑥弁護士費用は高くない

弁護士の報酬については、以前は弁護士会の報酬基準がありました。

しかし、現在では自由化されたため、各法律事務所が基準を決めています。

たとえば、交通事故に詳しい実績のある法律事務所を例にとれば、目安として、報酬基準は原則として着手金0円、報酬金は獲得金額の10%(消費税別)というところです。

ですから、前述のように裁判で判決までいくと、賠償金以外の遅延損害金と弁護士費用相当分で弁護士報酬をまかなえてしまうことがほとんどです。

 

【参考動画】
交通事故を弁護士に相談すべき7つの理由

 

必ず交通事故に強い弁護士に相談・依頼してください!

ただし、弁護士であれば誰でもいいわけではありません。

必ず、実務経験の豊富な「交通事故に強い弁護士」に依頼してください。

じつは弁護士にも得意分野、専門分野があります。

たとえば、企業法務には精通しているが交通事故問題を解決したことがない弁護士に依頼するのは、骨折をしたのに内科の病院に行くようなものです。

みらい総合法律事務所では、交通事故問題に精通した、交通事故に強い弁護士が随時、無料相談を行なっています。

まずは無料相談を利用して、弁護士の説明に納得がいったら正式に依頼をするという段取りでよいと思います。

交通事故になど、あわないに越したことはありませんが、万が一、不運に見舞われた時には、ここで解説したことを参考にしていただき、まずは一度ご相談いただければ幸いです。

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