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80歳の高齢者の死亡事故で慰謝料の相場と計算はいくら?

最終更新日 2024年 03月14日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

80歳の高齢者の死亡事故で慰謝料の相場と計算はいくら?

80歳の高齢者の死亡事故で、加害者側の任意保険会社との示談交渉で大きな争点になるのは慰謝料」「逸失利益」「過失割合です。

慰謝料などの算定では、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士(裁判)基準の3つが使われ、弁護士(裁判)基準での算定金額が最も高額になり、
被害者の方が本来、受け取るべき金額になります。

死亡慰謝料は、あらかじめ概ねの相場金額が次のように設定されています。

<弁護士(裁判)基準による死亡慰謝料の相場金額早見表>

被害者の状況 死亡慰謝料の目安
(近親者への支払い分を含む)
一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2500万円
独身の男女、子供、幼児等 2000万円~2500万円

80歳代の高齢者の方で、経済的に一家の支柱ではない場合は、2,000~2,500万円が適切な相場金額になります。

死亡逸失利益は、被害者の方が交通事故で亡くならなければ、将来的に得られるはずだった利益(収入)です。

高齢者の場合、将来的に働くことができる期間が限定され、収入は低い傾向にあるので、加害者側の任意保険会社は逸失利益を低く見積もってくることが多いです。

過失割合とは事故についての加害者と被害者の過失(責任)の割合のことで、加害者9に対して被害者1、あるいは加害者80%対被害者20%というように表現されます。

死亡事故では、保険会社から被害者の方の過失を大きく主張され、それを受け入れてしまうと被害者の方が大きな損失を被ることになります。

本記事では、被害者が80歳の場合の死亡事故の慰謝料の計算と相場金額について網羅的に解説しますので、ご遺族は、本記事を最後まで読んで、決して損をしないようにしてください。

交通事故で争点になる「過失割合」「逸失利益」「慰謝料」

「過失割合」「逸失利益」「慰謝料」

過失割合とは?

交通事故で大きな争点となるものに過失割合があります。

過失割合とは、その交通事故の原因となる過失が、被害者と加害者でそれぞれどのくらいの割合あったのかの比率であり、その割合に基づいて慰謝料などの損害賠償金が決まります。

たとえば、損害賠償金額が1000万円で、過失割合が被害者と加害者で、20%:80%の場合、被害者の過失分の200万円が引かれることになるのですが、これを過失相殺といいます。

そして、被害者の方が受け取る金額は800万円になるという仕組みです。

つまり、被害者の方の過失割合を高く見積もられるほど、受け取る金額が少なくなってしまうのです。

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図解で解説!交通事故の過失割合と過失相殺で損をしないために大切なこと

 

逸失利益とは?

交通事故の被害にあわずに生きていれば、得られたはずだった収入(利益)を死亡逸失利益といいます。

高齢者の場合、収入を得られる期間が若者などよりも短いため、加害者側の任意保険会社に低く見積もられてしまい、相場金額よりも低い金額が提示される場合があります。

こうした場合は、適正な金額を算出して、示談交渉で加害者側(通常の場合は加害者が加入している任意保険会社)に主張していくことが大切です。

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1つではない!慰謝料の種類

慰謝料価格
慰謝料というのは、1つしかないと思っている。
慰謝料と損害賠償金、示談金、保険金は、同じものだと思っている。

交通事故にあうのは初めての方がほとんどですから、これらのことをわからないのは当然だと思います。

しかし、覚えておいていただきたいのは、慰謝料には次の4つがあることです。

①入通院慰謝料(傷害慰謝料)
②後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)
③死亡慰謝料
④近親者慰謝料

 

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【慰謝料計算】交通事故の入通院慰謝料と後遺障害慰謝料を解説

 

損害賠償金と示談金、保険金の違いとは?

じつは、損害賠償金と示談金、保険金は同じものです。

次のように、状況や立場の違いによって呼び方が異なってくる、ということを覚えておいてください。

・示談金:被害者側と加害者側(保険会社)の間で示談によって損害金額が合意されるもの
・損害賠償金:被害者側から見た場合、被った損害をお金で賠償してもらうもの
・保険金:加害者側の保険会社の立場からは、保険契約に基づいて被害者に支払うもの

 

死亡事故の慰謝料の相場金額と注意ポイント

死亡事故の慰謝料の相場金額と注意ポイント

請求できる項目と相場金額

被害者の方が亡くなった場合に加害者側(通常の場合は加害者が加入している任意保険会社)に請求できる損害賠償項目には次のものがあります。

①葬儀関係費

・自賠責保険から支払われる金額は、100万円(定額)。
・裁判で認められる上限額は原則として150万円
・通常の場合、任意保険会社は120万円以内の金額を提示してくる場合が多い
・その他、墓石建立費、仏壇購入費、永代供養料などについては、それぞれの事案によって個別に判断される。

②死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、交通事故にあわずに生きていれば得られたはずだった収入(利益)分のことで、次の計算式で算出します。

<死亡逸失利益の計算式>
(基礎年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)=(死亡逸失利益)

 
・基礎年収は、事故前年の年収を基本にする。
・就労可能年数は、原則として18歳から67歳とされる。
・現在と将来ではお金の価値に変動があるため、その差額を現時点で調整する必要が出てくる(これを専門的には、中間利息を控除する、という)が、そのために用いるのがライプニッツ係数。
・ライプニッツ係数の算出は複雑なため、あらかじめ定められている。

【参考情報】厚生労働省「就労可能年数とライプニッツ係数表」

・民法改正により、2020年4月1日以降に起きた交通事故の場合は、ライプニッツ係数の率は3%となり、以降は3年ごとに見直されるようになっている。
・生活費控除率は、被害者の方の家庭での立場や状況によって、おおよその相場の割合が決まっている。

③慰謝料

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被害者の方が死亡した場合の慰謝料には、「死亡慰謝料」と「近親者慰謝料」の2つがあります。

「死亡慰謝料」

・亡くなった被害者の方の精神的苦痛や損害対して支払われるものです。
・被害者の方はなくなっているので、受取人はその相続人になります。
・自賠責保険の死亡慰謝料の上限は400万円になっています。
・被害者の方の家庭内での立場や状況によって、概ねの相場金額が決まっています。
・なお、事故の状況や悪質性などによっては慰謝料が増額する可能性があります。

「近親者慰謝料」

・被害者の方のご家族など、近親者が被った精神的苦痛・損害に対して支払われる慰謝料です。
・通常、受け取る人が両親(父母)、配偶者(夫・妻)、子供の場合の金額は、概ね被害者本人の慰謝料の1~3割ほどになります。
・内縁の夫や妻、兄弟姉妹、祖父母にも認められる場合があります。

関連記事
【近親者慰謝料】交通事故の被害者のご家族が受け取ることができる慰謝料を解説

 

④弁護士費用

・加害者側の任意保険会社との示談交渉が決裂した場合、提訴して裁判で決着をつけることになりますが、そこで弁護士が必要と認められる事案では、弁護士費用相当額が損害賠償額に加算されます。
・金額は、相当因果関係のある損害として、認容額の10%程度です。
・弁護士費用相当額は示談交渉では認められず、裁判で判決までいった場合に認められます。

つまり、交通事故の示談交渉では、弁護士に依頼して裁判になった場合は、その費用を加害者側に負担させることができる可能性があるということです。

3つの基準の違いによって慰謝料額は大きく変わる

慰謝料などの損害賠償金の算定では、次の3つの基準が用いられます。

どの基準で計算するかによって金額に大きな違いが出るので注意が必要です。

自賠責基準

法律によって定められた自賠責保険の基準です。

自賠責保険は被害者救済のために設立されたものであるため、金額には上限があり、3つの基準の中ではもっとも低い金額になります。

<死亡慰謝料の自賠責基準による相場金額>
自賠責保険では、死亡慰謝料は被害者本人の死亡慰謝料と、ご家族などの近親者慰謝料の合算として扱われます。

被害者本人の死亡慰謝料:400万円(一律)
近親者慰謝料:配偶者・父母(養父母も含む)・子(養子・認知した子・胎児も含む)の人数によって金額が変わります。

・1人場合/550万円
・2人場合/650万円
・3人場合/750万円

 
※被扶養者の場合は上記の金額に200万円が上乗せされます。

任意保険基準

各任意保険会社が独自に設けている基準です。

各社非公表なのですが、概ね自賠責基準より少し高い金額で設定されていると考えられます。

被害者の方の家庭での立場などによって金額が変わってきます。

一家の支柱(一家の生計を立てている者):1500~2000万円
専業主婦(主夫)・配偶者:1300~1600万円
子供・高齢者など:1100~1500万円

弁護士(裁判)基準

先生基準
過去の裁判例から算出されている基準で、もっとも金額が高額になります。

弁護士が加害者側の任意保険会社と交渉する時は、この基準で算出した金額を主張していきます。

また、法的根拠がしっかりしているので、裁判で認められる可能性が高くなります。

<死亡慰謝料の弁護士(裁判)基準の相場金額>

被害者が一家の支柱の場合 2800万円
被害者が母親・配偶者の場合 2500万円
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合 2000万~2500万円
被害者が一家の支柱の場合
2800万円
被害者が母親・配偶者の場合
2500万円
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合
2000万~2500万円

被害者のご遺族としては、この弁護士(裁判)基準での解決を目指していくことが大切です。

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交通事故の慰謝料|計算と相場、増額するケースを解説

 

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慰謝料などの示談金は誰が受け取ることができるのか?

交通死亡事故の場合、被害者の方は亡くなっているため、慰謝料などの損害賠償金(示談金)を受け取ることができるのは相続人になります。

相続人の順位と分配の割合は、法律によって次のように決まっています。

なお、被害者の方に配偶者がいる場合は、つねに相続人になります。

【相続人の順位と法定相続分】

<第1位:子>

相続順位の第1位は「子」です。
すでに子が亡くなっており、子の子供(被害者の方の孫)がいれば、「代襲相続」により「孫」が相続順位の第1位になります。
配偶者は、子や孫と一緒に相続人になります。

<相続人が子の場合の法定相続分>

配偶者:2分の1
子:2分の1(※子が2人の場合、2分の1を分けるので、1人の相続分は4分の1となります)

<第2位:親>

相続順位の第2位の順位は「親(父母)」です。
被害者の方に子がいない場合は、親が配偶者とともに相続人になります。
養父母も相続人となります。

<相続人が親の場合の法定相続分>

配偶者:3分の2
親:3分の1(※両親(父母)がいる場合、3分の1を2人で分けるので、1人の相続分は6分の1となります)

<第3位:兄弟姉妹>

相続順位の第3位は「兄弟姉妹」です。
被害者の方に子や親がいない場合は、兄弟姉妹が配偶者とともに相続人になります。
すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子が同順位で相続人になります。

<相続人が兄弟姉妹の場合の法定相続分>

配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1(※複数いる場合は、この4分の1を兄弟姉妹の人数で分配する)

 
注意するべきポイント

①遺産相続では、認知されている子が相続の対象となり、胎児も相続人になります。
②配偶者がいない場合は、それぞれのケースの筆頭の親族のみが相続人になり、それ以外の親族は相続人にはなりません。
③法定相続分は、あくまでも法律で定められた割合です。そのため、たとえば被害者の方の遺言書がある場合は、その内容に従うことになります。
④相続人の間で話し合うこと(遺産分割協議)で、たとえば法的な相続権のない人を相続人の1人にしたり、分配率を変更したりということもできます。
⑤ただし、遺産分割協議では相続人全員の同意が必要になります。
⑥その際、のちに争いが起きないように、その内容を書面化しておくことも大切になります。

関連記事
【交通死亡事故の相続】被害者の親族で誰が慰謝料受け取ることができるのかを解説

 

80歳の慰謝料金額を計算してみる

では、慰謝料などの損害賠償金額について、ここでは80歳女性(専業主婦)の方が交通事故で亡くなった場合を例に、具体的に計算をしてみましょう。

葬儀関係費

示談交渉を弁護士に依頼した場合、また裁判になった場合に弁護士が主張するのが「弁護士(裁判)基準」で算出した金額です。

この弁護士(裁判)基準は、加害者側の保険会社が主張してくる自賠責基準や任意保険基準より高い金額で、2倍、3倍、場合によってはそれ以上の違いがあります。

ここでは、もっとも高額になる弁護士(裁判)基準での算出を採用することとして、150万円とします。

死亡逸失利益

前述したように、死亡逸失利益の計算式は次の通りとなります。

(基礎年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)=(死亡逸失利益)

①基礎収入

前年度の収入(年金も含む)を基礎とします。

高齢の家事従事者の基礎収入については、次のように分類されています。

ⅰ)女性労働者の全年齢平均賃金としたもの
ⅱ)女性労働者の全年齢平均賃金から何割か減額した額としたもの
ⅲ)年齢別の女性労働者の平均賃金としたもの
ⅳ)年齢別の女性労働者の平均賃金から何割か減額した額としたもの

実際の交通事故の損害賠償実務では、被害者の方が行なっていた家事の内容や程度を個別の事案ごとに具体的に評価して決定していきますが、ここでは「令和元年の賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金」である、388万0100円を基礎収入とします。

高齢者の場合には、年金収入がある場合があり、その種類によって基礎収入に入るものと入らないものがあります。

②生活費控除率

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費を基礎収入から差し引くことです。

<生活費控除率の目安>

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合 40%
被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合 30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合 50%
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合
40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人の場合
30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合
30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合
50%

③就労可能年数

働けなくなる
原則、18歳から67歳までとされますが、被害者の方の職種、地位、能力等によっては67歳を過ぎても就労することが可能だったと思われるケースがあります。
その場合は、67歳を過ぎた分についても認められる場合もあります。

ここでは、「就労可能年数とライプニッツ係数表」(国土交通省)による80歳の就労可能年数である「5年」を使って計算していきます。

④ライプニッツ係数

被害者の方が受け取る損害賠償金は、将来にわたる収入を前倒しで受け取るものです。

すると、現在と将来ではお金の価値に違いがあるため、その差を調整する必要がでてきます。

その際に用いるのが、ライプニッツ係数です。

【参考情報】「就労可能年数とライプニッツ係数表」国土交通省

ここでは、80歳のライプニッツ係数「4.580」を用います。

以上から、80歳の方の死亡逸失利益は、次のようになります。

388万0100円(令和元年の賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金)×
(1-0.3)×4.580(ライプニッツ係数)
=1243万9600円

 

死亡慰謝料

80歳の高齢者のため、ここでは前述の数字の中から、2200万円とします。

弁護士費用

弁護士費用として認められるのは認容額の10%程度になるので、次のように算出します。

(150万円(葬儀費用) + 1243万9600円(年金を除いた死亡逸失利益 )+
2200万円(慰謝料))×0.1
=359万3960円

以上から、計算上、80歳女性(専業主婦)の方の損害賠償金は、次のようになります。

150万円(葬儀費用) + 1243万9600円(年金を除いた死亡逸失利益 )+
2200万円(慰謝料)+359万3960円
=3953万3560円

交通死亡事故の損害賠償金の実際の増額事例

 

WEB上の自動計算機で慰謝料等を計算してみる

みらい総合法律事務所では、どなたでも簡単に慰謝料などの損害賠償金額を知ることができる「慰謝料自動計算機」をWEB上にご用意しています。

実際の損害賠償実務では、各事案によって詳しく計算していくのですが、この自動計算機でおおまかな金額を知ることができますので、ぜひ活用してください。

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