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高次脳機能障害:交通事故の被害者が知るべきこと、注意するべきこと

最終更新日 2020年 02月20日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故などで頭部に重傷を負った場合、高次脳機能障害という重い後遺症が残ってしまうことがあります。

ところで、高次脳機能障害は「隠れた障害」ともいわれるのですが、それはなぜなのでしょうか?

どのような症状が出て、慰謝料などはどのくらい受け取ることができるのでしょうか?

みらい総合法律事務所では、「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)という、裁判の現場で裁判官や弁護士などの専門家が参考にする法律専門書を出版しており、これまで多数の高次脳機能障害の事件を解決してきました。

そこで、この記事では、交通事故における高次脳機能障害について、弁護士が包括的かつ網羅的に解説します。

また、実際に私たちが解決したオリジナルの事例についてもご紹介します。

交通事故で高次脳機能障害になってしまった被害者の方にとっては、必ず役立つ知識ですので、ぜひ最後までお読みください。

今から高次脳機能障害について説明していきますが、その前に、交通事故解決までの全プロセスを解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう

動画で知りたい方はこちらから⇒
交通事故における高次脳機能障害とはどのような後遺障害なのか?

高次脳機能障害とは?


人間の脳にはさまざまな機能があります。

たとえば、ある出来事が起きた時、人間は過去に記憶したデータなどをもとに、好きか嫌いかといった感情などもあわせて判断し、その判断のもとに行動します。

当たり前のことに思うかもしれませんが、こうした日常の行動は脳の高レベルの働きによって可能となっています。

ところが脳が損傷すると、このような高レベルで複雑な脳の機能を失い、さまざまな障害が起きてくることで日常生活や仕事が困難になってしまいます。

こうした後遺症を「高次脳機能障害」といいます。

勘違いをされる場合があるのですが、脳内に高次脳という部分があるわけではありません。

高次脳機能障害が引き起こすさまざまな症状

交通事故で頭部に大きな衝撃がかかると、被害者の方にはまず意識障害が起きることがあります。

そして、意識が回復した後、記憶力、集中力、判断力などの低下や人格の変化により、次のようなさまざまな症状が出てくる場合があります。

(1)認知障害

①記憶障害

・すぐに忘れてしまうため、物の置き場所などがわからなくなる
・新しいことが覚えられない
・同じことばかり繰り返し言うようになる

②注意障害

・同じ作業を続けられない
・いつもぼんやりしていてミスが多い
・同時に2つ以上のことをすることができない

③遂行機能障害

・自分で判断できないため人からの指図が必要になった
・自分で計画を立てて実行することができない
・約束の時間を守ることができない

④その他

・頼まれたことができなくなった
・簡単な計算などができなくなった
・文章などを理解することができなくなった
・言葉が出てこなくなった
・相手の言葉が理解できなくなった
・人とのコミュニケーションがとれなくなった

(2)人格変性

攻撃性、暴言、暴力、不機嫌、幼稚性、被害妄想などを生じることで、次のような変化が現れます。

・暴言を吐く、暴力をふるう
・感情がころころ変わる
・よくしゃべる
・嫉妬や被害妄想が激しくなる
・言動が子供っぽくなる
・無気力で、やる気がなくなる

高次脳機能障害について、更に詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
【参考情報】高次脳機能障害について「東京都医師会」

高次脳機能障害の判断のポイント

高次脳機能障害は、外からはわかりにくく、自覚症状が薄いこと、またCTやMRI等の画像診断で脳の異常が確認しにくいため、「隠れた障害」と呼ばれることがあります。

高次脳機能障害は、いわゆる「びまん性軸索損傷」などが主な原因とされています。

 

高次脳機能障害に該当するか否かは、時系列に次のポイント等によって判断されます。

(1)意識障害の有無と程度

高次脳機能障害は、意識消失を伴うような頭部外傷後に生じやすいという特徴があります。

そこで、初診時に頭部外傷と診断があり、頭部外傷後に意識障害があったかどうか、その程度はどのくらいかによって高次脳機能障害である可能性を判断します。

意識障害については、次の2つの判定があります。

・「昏睡~半昏睡で、刺激による開眼をしない程度の意識障害」が少なくとも6時間以上続いたか
・「健忘症~軽症意識障害」が少なくとも1週間以上続いたか

(2)高次脳機能障害、脳損傷、びまん性軸索損傷等の診断があるか

高次脳機能障害の場合は、MRIなどの画像で脳の損傷を確認しにくいものですが、
①軸索が損傷した部分に点状の出血が起きる
②脳室内出血や、くも膜下出血が起きる
ということがあると、出血の有無はMRI画像で確認できる場合があります。

(3)画像診断で脳室拡大や脳萎縮などが確認できるか

高次脳機能障害では、受傷後3ヵ月ほどで脳室拡大・脳萎縮が固定し、その後はあまり変化しないと考えられているため、この期間のうちで脳室拡大や脳萎縮があるかどうか、CTやMRI画像で確認します。

(4)その後の症状の経過

高次脳機能障害では、傾向として急性期の症状は急速に回復し、その後は時間の経過とともにゆるやかに回復していくため、事故後の1年程度は経過観察をします。

1年以上が経過した時点で、記憶力や判断力の低下等の認知障害、または攻撃性等の人格変化などの具体的な症状が生じているのであれば、症状固定として後遺障害等級認定の申請をする必要があります。

日常生活状況報告

高次脳機能障害では、事故前からの人格変化や情動変化、社会適応性変化等を調査するため、医療機関への照会の他、家族や同僚、教師などに、日常生活状況報告書を提出していただくこともあります。

これにより、事故の前と後でどのような日常生活上の変化があったのかを調査することになります。

【参考情報】「高次脳機能障害の診断基準」(埼玉県)

高次脳機能障害で認定される6つの後遺障害等級

高次脳機能障害の後遺障害等級は、症状の程度によって6つの段階で設定されています。

1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」

後遺障害等級の中でもっとも重い1級1号が認定されるのは次の場合です。

① 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
② 高次脳機能障害による高度の痴呆や情意の荒廃があるために、常時監視を要するもの

身体の機能は残っているが、認知障害や人格変化のために、 日常生活の維持に必要な身の回り動作に全面的な介助が必要となる状態です。

 

2級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」

2級1号が認定されるのは次の3つの場合があります。

① 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
② 高次脳機能障害による痴呆、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため、随時監視を必要とするもの
③ 重篤な高次脳機能障害のため、自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活の範囲は自宅内に限定されおり、身体動作的には排泄、食事などの活動を行なうことができても、生命維持に必要な身辺動作に家族からの声掛けや看視を欠かすことができない状態です。

 

3級3号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」

次のうちひとつ以上に該当し、一般就労できない場合です。

① 職場で他の人と意思疎通を図ることがまったくできない
② 課題を与えられても手順通りに仕事を進めることができず、働くことができない
③ 作業に取り組んでも、その作業への集中を持続することができず、すぐにその作業を投げ出してしまい、働くことができない
④ たいした理由もなく突然、感情を爆発させ、職場で働くことができない

自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されておらず、声掛けや介助なしでも日常の動作を行なえる状態です。

しかし、記憶力や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労がまったくできないか、困難な状態です。

 

5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

次のうち、ひとつ以上の能力の大部分が失われているか、あるいは半分程度が失われていることにより、単純な繰り返し作業などの軽易な労働しかできず、頻繁な助言などが必要となる場合です。

① 職場で他の人と意思疎通を図る能力
② 課題を与えられて、手順通りに仕事を進める能力
③ 作業に集中する能力
④ 感情をコントロールする能力

単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能な状態です。

ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題があります。

そのため、一般人と比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができない状態です。

 

7級4号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの」

一般就労は維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどの理由から、一般人とは同等の作業ができず、時々、助言などが必要となる場合です。

 

9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

一般就労を維持することはできるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題がある場合です。

 

なお、後遺障害等級の審査を行なっている損害保険料率算出機構では、2001(平成13)年に高次脳機能障害審査会制度を設け、高次脳機能障害が疑われる事案では専門家による審査を行なっています。

高度な専門知識が必要となるため、高次脳機能障害で後遺障害等級を申請するのであれば、実務経験が豊富で交通事故に強い弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

 
後遺障害等級の区分について、さらに詳しく知りたい方は、国土交通省のホームページも参照していただければと思います。

【参考情報】国土交通省「自賠責後遺障害等級表」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/jibai/payment_pop.html

将来介護費用の立証が重要

後遺障害等級1級、2級などのように、重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等が1人でできないような場合には、生涯にわたり、他人の介護が必要となります。

これを「将来介護費用」といいます。

費用がかかりますので、将来介護費用も加害者に請求していくことになります。

そして、裁判実務では、この立証がとても重要です。

裁判実務の相場では、職業付添については実費、近親者付添人は1日8000円となっています。

しかし、具体的看護の状況によって増減します。

過去の裁判例を紹介しましょう。

高次脳機能障害で1級3号が認定された男子高校生について、身長が180センチと大きいことから、
・父67歳までは近親者2名で1日1万2000円
・それ以降は職業介護人と補助者として1日2万円
を認めた事例
(大阪地裁平成18年4月5日判決、自保ジャーナル1639号14頁参照)

高次脳機能障害で1級3号が認定された12歳男子について、市の援助によるヘルパー派遣を受けながらの母1人による介護は母の健康面から継続困難として、
・被害者が養護学校高等部を卒業する18歳までは職業介護人1万円と母5000円の1日1万5000円
・以降母67歳までは職業介護人1万5000円と母5000円の1日2万円
・以降は職業介護人1日3万円
を認めた事例
(名古屋高裁平成19年2月16日判決・自保ジャーナル1688号3頁参照)

また、3級や5級の場合にも介護の必要性を立証することにより将来介護費用が認められる場合があります。

相場にかかわらず、介護が必要な事情がある場合には、主張すべきでしょう。

なお、この場合、示談交渉では難しく、裁判になるでしょう。

高次脳機能障害で3級が認定された25歳男性について、常時の付添までは必要ないが、定期的な看視のために近親者が常時自宅に待機していなければならないとして、1日6000円を認めた事例
(東京地裁八王子支部平成14年7月4日判決・自保ジャーナル1473号23頁参照)

高次脳機能障害で5級2号が認定された29歳男性について、将来にわたって随時介護の必要があるとの診断に基づき、
・入院を含む症状固定までの885日間は1日6000円
・症状固定後は看視と声かけが必要であるとして1日3000円を認めた事例
(横浜地裁平成15年7月31日判決・自保ジャーナル1520号20頁参照)

保険会社が本来よりも低い示談金を提示してくる本当の理由

交通事故による高次脳機能障害の場合、被害者の方が受け取ることができる慰謝料などの損害賠償金が高額になるケースが多くなります。

今後、慰謝料などの損害賠償金(状況と場合によって、保険金とも示談金ともいいます)が加害者側の保険会社から提示され、被害者の方は「示談交渉」をしていくのですが、ここで2つの大きな問題が発生することが多くあります。

ひとつは、提示される損害賠償金が本来であれば被害者の方が受け取るべき金額より低いこと。

もうひとつは、被害者の方やご家族がいくら示談交渉を重ねても、なかなか金額は上がらないことです。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

詳しい理由については、ぜひ次のページを読んでください。

示談交渉と損害賠償金に関して、今まで知らなかったことが書かれていると思います。

 

みらい総合法律事務所の慰謝料増額事例を紹介します


交通事故の示談交渉では、弁護士が入ると慰謝料などの損害賠償金が増額する可能性が高くなります。

そこで、ここでは、みらい総合法律事務所が実際に解決した高次脳機能障害に関する慰謝料増額事例をご紹介します。

解決事例①:16歳女性の慰謝料等が約2330万円増額

16歳の女性が自転車で交差点を横断していたところ、赤信号を無視して走行してきた自動車に衝突された交通事故。

治療をしましたが、残念ながら高次脳機能障害の後遺症が残ってしまい、自賠責後遺障害等級を申請したところ、7級4号が認定されました。

すると、加害者側の保険会社は支払い済みの治療費などを除いて、約3190万円の損害賠償金を提示してきました。

この金額が正しいものかどうか判断できなかった被害者の方とご家族が、みらい総合法律事務所の無料相談を利用し、弁護士から納得のいく回答を得られたことで、示談交渉などその後のすべての処理を依頼されました。

弁護士と保険会社の交渉では、逸失利益の基礎収入と既存障害が争点になりましたが、最終的には弁護士の主張が認められ、約2330万円増額の約5520万円で解決した事例です。

解決事例②:28歳女性の慰謝料等が約2.4倍に増額して解決!

28歳女性(アルバイト店員)が交通事故により脳挫傷などのケガを負いました。

保険会社から治療費を払ってもらいながら治療を数年間も継続しましたが、高次脳機能障害の後遺症が残ってしまい自賠責後遺障害等級は9級10号が認定されました。

加害者側の保険会社は示談金として慰謝料など1600万円を提示。

しかし、示談交渉が決裂したため、加害者側が被害者の方に対し調停を起こしてきました。

そこで被害者の方が、みらい総合法律事務所の無料相談から正式に依頼。

弁護士が交渉に入ったところ、最終的には3900万円で解決となった事例です。

当初提示額から約2.4倍に増額したことになります。

解決事例③:15歳女性が後遺障害等級1級で約1億4500万円を獲得

15歳の女性が自転車で道路を横断途中、直進してきた自動車に衝突された交通事故。

頭部外傷による高次脳機能障害のため、自賠責後遺障害等級は2級1号が認定されました。

障害が重く、慰謝料などの損害賠償金が高額になることが考えられたため、この時点でご家族が、みらい総合法律事務所に示談交渉を依頼されました。

弁護士と加害者側の保険会社の交渉が決裂したため、訴訟を提起。

すると、裁判中に被害者の方の症状が悪化して、後遺障害等級1級が認定されました。

裁判では、過失相殺と将来介護費用が争点になりましたが、弁護士が粘り強く主張を積み上げていったことで、近親者介護費用も相場以上の金額が認められ、最終的には総額も相場以上の約1億4500万円で解決することができた事例です。

 

高次脳機能障害でお困りの場合は交通事故に強い弁護士に相談を!

事例からもおわかりいただけるように、交通事故では弁護士が示談交渉にあたると慰謝料などの損害賠償金が増額する可能性が格段に高まります。

それはなぜなのか、知りたくはないですか?

そして、弁護士に相談・依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

相談・依頼するなら、どのような弁護士がいいのでしょうか?

知りたいと思った方は、こちらのページをぜひ読んでください。

 
交通事故の被害者が弁護士に依頼した方が良い理由は、7つあります。

  • 理由1 交通事故を弁護士に頼むと、示談金が増額される
  • 理由2 交通事故の被害者と弁護士は利害が一致する
  • 理由3 適正な弁護士基準で解決できる
  • 理由4 保険会社とのやり取りから解放される
  • 理由5 裁判をすると、賠償額が増える
  • 理由6 交通事故の弁護士費用を保険会社が払ってくれることがある
  • 理由7 刑事事件に適切にアドバイスしてもらえる

そして、弁護士を選ぶ際にも次のことに気をつけてください。

☑交通事故を得意とする弁護士であること
☑高次脳機能障害に詳しいこと

高次脳機能障害に詳しいかどうか、というのは、外からは判断しにくいと思います。

高次脳機能障害に関する法律専門書を出版していれば、高次脳機能障害に詳しい、と言えるでしょう。

世の中には知らないほうがよかった、ということもありますが、交通事故の後遺障害等級や慰謝料などの損害賠償金、示談交渉などに関しては、知らないと被害者の方が大きな損をしてしまう知識や情報があります。

ですから、ぜひ本当のことを知って、正しい知識を得てください。

みらい総合法律事務所では、実務経験が豊富で交通事故に強い弁護士が、いつでも無料相談を受け付けています。

無料相談で納得されたうえで、正式に依頼をされている相談者が多数いらっしゃいます。

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