交通事故の後遺症で、高次脳機能障害という言葉を聞きますが、どのような障害ですか?

最終更新日 2015年 09月29日
執筆:みらい総合法律事務所 弁護士 谷原誠

交通事故における高次脳機能障害について、弁護士が解説します。

交通事故における高次脳機能障害とは、交通事故による頭部外傷に起因した意識障害を起こし、意識回復後に認知障害(記憶力低下、判断力低下、集中力低下等)や人格変性(攻撃性、暴言、暴力、不機嫌、幼稚性、被害妄想等)を生じる障害です。

高次脳機能障害は、CTやMRI等の画像診断で脳の異常が確認できにくい、いわゆるびまん性軸索損傷が主な原因とされています。

高次脳機能障害に該当するか否かの判断のポイントは、以下の通りです。

  • 初診時に頭部外傷と診断があり、頭部外傷後に意識障害が生じたと
  • 高次脳機能障害、脳損傷、びまん性軸索損傷等の診断があること
  • 記憶力や判断力の低下等の認知障害、または攻撃性などの人格変化など、具体的な症状が生じたこと
  • 頭部の画像診断で、脳室拡大や脳萎縮などが確認できること

後遺障害等級の審査を行っている損害保険料率算出機構では、平成13年に高次脳機能障害審査会制度を設け、高次脳機能障害が疑われる事案では専門家による審査を行っています。

高度な専門知識が必要になるため、高次脳機能障害で後遺障害を申請するのであれば、詳しい弁護士等に相談するのが望ましいでしょう。

高次脳機能障害の後遺障害等級は、症状の程度によって以下のとおりとなっています。

1級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」

※補足的な考え方
「身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの」

2級1号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」

※補足的な考え方
「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活の範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」

3級3号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」

※補足的な考え方
「自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、 介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」

5級2号「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

※補足的な考え方
「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」

7級4号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの」

※補足的な考え方
「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」

9級10号「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

※補足的な考え方
「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」

以上、交通事故の後遺症のうち、高次脳機能障害について、弁護士が解説しました。

交通事故で高次脳機能障害の争いになった場合には、弁護士にご相談ください。