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交通事故の損害賠償金の計算方法は?

最終更新日 2024年 02月21日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故にあうと、被害者の方は精神的、肉体的な苦痛と損害を被ってしまいます。
そして、将来の不安を感じている方は多いと思います。

「ケガは完治するのか」
「仕事に復帰することはできるのか」
「将来の収入が不安だ……」

交通事故の被害のために、これまでの日常が180度変わってしまったのですから、当然です。

そこで知っておいていただきたいのは、被害者の方は治療費や慰謝料、逸失利益、将来介護費などを合計した損害賠償金(示談金)を受け取ることができる、ということです。

しかし、どのくらいの金額を受け取ることができるのか、適切な相場金額をご存知でしょうか? 計算方法は?

本記事では、交通事故の被害者の方が損をしないための、損害賠償金の適切な相場金額と計算方法を中心に解説していきます。

交通事故の損害賠償金に関する4つの「知ってるつもり」

交通事故の被害にあうのは初めて、という方がほとんどだと思いますので、ここでは損害賠償金について「知ってるつもり」で、じつはよく知らないかもしれない基礎知識についてお話ししていきます。

損害賠償金と示談金、保険金は何が違う?

損害賠償金と示談金、保険金は何が違う?
交通事故の被害者の方が受け取ることができるものに、損害賠償金と保険金、示談金があります。これらは何が違うのでしょうか?

「損害賠償金」
加害者から被った損害について、被害者側から見た場合、金銭的に賠償してもらうもの。

「保険金」
加害者側の任意保険会社の立場から見ると、保険契約に基づいて被害者に支払うもの。

「示談金」
被害者側と加害者側(保険会社)双方の示談によって賠償金額が合意されるもの。

つまり、この3つは状況や見る側の立場などによって呼び方が変わるだけで、同じものなのです。

損害賠償金には何が含まれる?

では損害賠償金には、どういった項目が含まれるのかご存知でしょうか?
じつは、さまざまな賠償項目があります

治療費/手術費/薬品代/付添看護費/入院雑費/交通費/宿泊費/装具・器具等購入費/損害賠償請求関係費/休業損害/入通院慰謝料/将来介護費/家屋・自動車等の改造費/後遺障害慰謝料/後遺障害逸失利益/葬儀関係費/死亡慰謝料/死亡逸失利益/弁護士費用 など

 
これらを正しく計算しないと、正しい損害賠償金額を算定できないのです。(個別には後ほど詳しく解説します)

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損害賠償金が提示されるのはいつ?

①120万円以内なら治療費の支払いを受けることができる

通常、加害者が任意保険に加入していれば、治療費はその任意保険会社が支払ってくれます
その金額は概ね120万円以内です。

なぜかというと、自賠責保険の傷害(ケガ)部分の支払限度額が120万円になっているからです。
この金額の範囲内であれば、任意保険会社はまず被害者の方に支払い、その後に自賠責保険に対してその金額を請求することができる制度があるからです。

つまり、任意保険会社としては、120万円以内であれば自分たちの懐が痛まないわけです。


 

②症状固定から被害者の方のステージが変わる

治療を受けてケガが完治すればいいのですが、これ以上の治療を受けても改善されない、完治は難しいという段階がくる場合があります。

この場合、担当医師から「症状固定」の診断を受けることになります。

症状固定の診断後、被害者の方には後遺症が残ってしまいます

ここで大切なのは、後遺症が残ってしまった場合は、ご自身の後遺障害等級認定の申請を行なう必要があることです。

後遺障害等級が決まると、加害者側の任意保険会社は慰謝料などの計算を行ない、被害者の方に損害賠償金を提示してきます。

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示談交渉はいつ始めるべきなのか?

交通事故の発生後、すぐに加害者側の任意保険会社との示談交渉を始めたがる被害者の方がいらっしゃるのですが、焦らなくても大丈夫です。

というのは、被害者の方の後遺障害等級が決まらないことには保険会社も慰謝料などの損害賠償金を算定できないからです。

後遺障害等級は14段階あり、1級がもっとも後遺障害が重度になります。
そして慰謝料は、それぞれ等級によって目安となる相場金額が決められています。

参考情報:「自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)

ですから、ご自身の後遺障害等級が認定され、保険会社から慰謝料などの損害賠償金(示談金)が提示されてから示談交渉に入る、と覚えていただければよろしいかと思います。

損害賠償金の相場金額と計算方法を確認

次に、各損害項目の相場金額と計算方法について具体的に見ていきます。

入院・通院して治療を受けた場合

「治療関係費用」
・治療費
・手術費
・薬品代

 
これらの費用は、それぞれ必要かつ相当な範囲での実費分として受け取ることができます。
 


 

「入通院関係費用」
・付添看護費
看護師・介護福祉士等に依頼する場合:実費全額
近親者が介護する場合:入院の場合は1日6,500円
               通院の場合は1日3,300円

・入院雑費
1,500円(1日あたり)

「慰謝料など」
・休業損害
休業損害とは、ケガのために仕事を休業したことによる現実の収入減分に対する補償です。

<計算式>
3ヵ月の給与額の合計額 ÷ 90日 × 休業日数 = 休業損害額

 


 

・入通院慰謝料(傷害慰謝料)
ケガの治療のために入院・通院した場合に被った精神的苦痛や損害に対して支払われるものです。

<計算式(自賠責基準)>
4,300円(1日あたり) × 入通院日数 = 入通院慰謝料

入通院慰謝料を計算する場合は次のポイントに注意してください。

入通院慰謝料の対象日数については、次のどちらか短いほうが採用されます。

(A)「実際に要した治療期間」
(B)「実際に治療した日数×2」

 
たとえば、入院期間が1か月、通院期間が4か月の場合で考えてみます。
治療期間中、概ね週1回の通院(約18週分)で考えると、次のようになります。

(A)4,300円 × 150日 = 645,000円
(B)4,300円 × (30日+18日) × 2 = 412,800円

 
ここでは(B)の412,800円が支払われるわけです。

なお、慰謝料には3つの計算基準があり、どれを使用するかによって金額が大きく違ってきます。

上記(B)は自賠責基準で計算したもので、もっとも金額が低くなりますが、弁護士(裁判)基準で計算すると金額が高額になります(詳しくは、のちほど解説します)。


 

「その他」

通院交通費 電車、バス等、自家用車利用の実費相当額
※看護のための近親者の交通費も認められる
※タクシー利用の場合は相当とされる場合のみ認められる
宿泊費 入院先が遠隔地にある等、付添看護を泊まり込みでする必要がある場合に認められる
装具・器具等購入費 ギブス、車椅子、義手や義足、眼鏡・コンタクトレンズ、等
損害賠償請求関係費用 診断書等の文書料、保険金請求手続費用、刑事記録の閲覧・謄写のための費用、等
通院交通費 電車、バス等、自家用車利用の実費相当額
※看護のための近親者の交通費も認められる
※タクシー利用の場合は相当とされる場合のみ認められる
宿泊費 入院先が遠隔地にある等、付添看護を泊まり込みでする必要がある場合に認められる
装具・器具等
購入費
ギブス、車椅子、義手や義足、眼鏡・コンタクトレンズ、等
損害賠償請求
関係費用
診断書等の文書料、保険金請求手続費用、刑事記録の閲覧・謄写のための費用、等

後遺障害等級認定を受けた場合

ご自身の後遺障害等級が認定されると、新たに次の損害賠償項目が加わります。

・将来介護費
看護師・介護福祉士等に依頼した場合:実費全額
近親者が介護する場合:常時介護が必要な場合は1日8,000円
(平均寿命までの期間について、中間利息を控除した金額)

よくわかるYoutube解説

 

・家屋・自動車等の改造費
自動車/家の出入り口・風呂場・トイレ等の改造費/介護用ベッド等の購入費などの実費

・後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は等級の違い、計算基準の違いによって金額が大きく変わってきます(のちほど詳しく解説します)。

・後遺障害逸失利益
後遺障害が残ったために、以前のように働くことができなくなったことで失った(得られなくなった)利益(収入)です。

<後遺障害逸失利益の計算式>
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
= 後遺障害逸失利益

 

 

死亡事故の場合

死亡事故の場合
・葬儀関係費
☑自賠責保険からの金額は60万円が上限です。
☑これ以上の金額については、「社会通念上、必要かつ妥当な実費」として通常100万円以内が認められます。
☑加害者側の任意保険会社との示談交渉が決裂し、訴訟になった場合、裁判で認められる上限額は150万円です。(※保険会社は概ね120万円以内の金額を提示してくる場合が多い)
・その他の墓石建立費、仏壇購入費、永代供養料などは、それぞれの事案によって判断されます。

・死亡逸失利益
☑生きていれば得られたはずの収入(利益)です。

<死亡逸失利益の計算式>
(年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)=(死亡逸失利益)

 
☑年収は、事故前年の年収を基本に算出します。
☑就労可能年数は、原則として18歳から67歳とされます。
☑お金の価値は、現在と将来では変動します。
その差額を現時点で調整する必要があり(専門的には、中間利息を控除するという)、そのために用いるのがライプニッツ係数です。
☑ライプニッツ係数の算出は複雑なため、あらかじめ定められています。

国土交通省:「就労可能年数とライプニッツ係数表」

☑生活費控除率は、被害者の方の状況、家庭での立場などによって大体の目安が決められています。

<生活費控除率の目安>

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合 40%
被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合 30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合 50%
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合
40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人の場合
30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合
30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合
50%

・死亡慰謝料
☑被害者の方が死亡したことにより受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。
☑受取人はご家族などの相続人になりますが、相続順位や分配割合が法的に定められています。
☑被害者の方の立場や状況によって、次のように概ねの相場金額が決められています。


 

<死亡慰謝料の相場額>

被害者が一家の支柱の場合 2,800万円
被害者が母親・配偶者の場合 2,500万円
被害者がその他の場合 2,000万~2,500万円
被害者が一家の支柱の場合
2,800万円
被害者が母親、配偶者の場合
2,500万円
被害者がその他の場合
2,000万~2,500万円

☑しかし、上記金額はあくまでも相場であるため、交渉によって増額させることも可能です。


 

・近親者慰謝料
☑被害者の方の近親者(家族など)が被った精神的苦痛・損害に対して支払われるものです。
☑ご家族が亡くなった場合、重度の後遺障害が残り将来に渡った介護が必要な場合などに認められます。


 

慰謝料について知っていただきたいこと

慰謝料について知っていただきたいこと
損害賠償項目の中でも慰謝料は金額が大きくなるものの1つです。
ここでは、慰謝料についてしておいていただきたい知識をまとめてみました。

慰謝料計算で使われる3つの基準

慰謝料などの計算では次の3つの基準が使われます。

①自賠責基準
自賠責保険の基準で、金額がもっとも低くなります。

②任意保険基準
各任意保険会社が、それぞれ独自に設けている基準で、各社非公表になっていますが、自賠責基準よりも少し高い金額になるように設定されています。

③弁護士(裁判)基準
・金額がもっとも高額になる基準で、被害者の方が本来受け取るべき金額になります。
・弁護士が被害者の方の代理人として加害者側の任意保険会社と示談交渉をする場合や、裁判になった場合に主張する計算基準です。
・過去の膨大な裁判例から導き出されている基準のため、裁判で認められる可能性が高くなります。

よくわかる動画解説はこちら

 

弁護士(裁判)基準で計算した慰謝料は高額になる!

ここでは後遺障害慰謝料について、等級別、自賠責基準と弁護士(裁判)基準で算定した金額をまとめてみたので、ご覧ください。

<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>


このように、弁護士(裁判)基準と自賠責基準では金額に大きな差があることを、ぜひ知っていただきたいと思います。

よくわかるYoutube解説

 

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