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交通死亡事故の示談金の相場と慰謝料の計算

最終更新日 2021年 09月01日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通死亡事故の示談金の相場と慰謝料の計算


【動画解説】交通事故の示談交渉でやってはいけない7つのこと

交通事故で被害者の方が亡くなった場合、ご遺族は慰謝料などの損害賠償金を受け取る権利があります。

☑では、慰謝料と損害賠償金、あるいは示談金、保険金は何が違うのでしょうか?
☑これらを受け取るためには示談交渉を行なう必要があるのですが、そもそも示談とはどういうものなのでしょうか?
☑示談交渉で注意するべきポイントはあるのでしょうか?
☑示談金を増額させる方法はあるのでしょうか?

被害者のご遺族としては、さまざまな疑問があると思います。

そこで今回は、これらについてわかりやすく解説していきたいと思います。

これから、交通死亡事故の示談金の相場と増額法などについて解説していきますが、その前に交通事故解決までの全プロセスを説明した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

交通死亡事故の示談では何を決めるのか?

交通事故の示談というのは、被害者と加害者の間で争って勝敗を決めるものではありません。

「民法」
第695条(和解)
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

示談とは、両者が話し合いによって次のことについて和解、解決することです。

☑交通事故により、どのような損害が生じたのか?
☑その損害項目と損害金額はいくらになるのか?
☑損害賠償金の支払い方法はどうするか?

ご遺族にとって示談交渉が大切な理由

加害者が任意保険に加入している場合、交通死亡事故では四十九日が過ぎると保険会社から示談金の提示があるのが通常です。

ここで、ご遺族が金額に納得すれば示談成立で、交渉には進みません。

しかし、ほとんどの場合、保険会社は本来であればご遺族が受けとることができる金額(相場金額)よりも低い金額を提示してきます。

なぜなら、保険会社は営利法人ですから、利益を追求するために支出となる被害者側への示談金額を2分の1や3分の1,さらにはもっと少ない金額で提示してくるからです。

ご遺族としては大切な家族を失い、さらには不当に低い金額で示談させられることは避けなければいけません。

そのためには、示談交渉で正しい金額を主張し、加害者側の保険会社にしっかり認めさせなければいけないのです。

こちらの記事でも詳しく解説しています

交通死亡事故の慰謝料とは?示談金、損害賠償金と何が違う?


交通死亡事故の示談交渉では、慰謝料や示談金、損害賠償金、保険金といった言葉を耳にすると思います。

では、これらは何が違うのでしょうか?

「示談金」
被害者側と加害者側(保険会社)の間で示談によって賠償金額が合意されるもの。

「損害賠償金」
被害者側から見た場合、加害者から被った損害をお金で賠償してもらうもの。

「保険金」
加害者側の保険会社の立場からは、保険契約に基づいて被害者に支払うもの。

つまり、状況によって呼び方が違うだけで、この3つは同じものになります。

「慰謝料」
慰謝料というのは、被害者の方が被った精神的、肉体的な苦痛に対して支払われるもので、治療費や逸失利益などさまざまある示談金の項目のひとつ、ということになります。

なお、交通事故における慰謝料というのは1つではなく、次の4つの種類があることを覚えておいてください。

①入通院慰謝料(傷害慰謝料)
②後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)
③死亡慰謝料
④近親者慰謝料

このうち、死亡事故の示談でかかわってくるのは、死亡慰謝料と近親者慰謝料になります。

自賠責保険と任意保険の関係について

「自賠責保険」

☑自賠法によって、自動車やバイクなどの車両を運転する人は必ず加入しなければいけない保険で、強制保険とも呼ばれます。

☑自損事故による自身のケガや物損事故には適用されず、人身事故で被害者の方がケガや死亡した場合にのみ保険金が支払われます。

死亡の場合の上限金額は3000万円です。

これは、自賠責保険が人身事故の被害者救済を目的に作られたため、支払額の限度が定められているからです。

「任意保険」

☑交通事故の被害者に対して慰謝料などの損害賠償金を支払う際、重症で後遺障害が残った場合などでは自賠責保険からの保険金だけではすべてをまかなえない場合があります。

そうした場合に備えて、任意で加入するのが任意保険です。

☑人身事故(自損事故も含む)だけでなく物損事故にも対応しています。

☑通常、示談代行サービスがついているので、被害者の方と示談交渉を行なうのは加害者の代理人である任意保険会社になります。

たとえば、死亡事故で被害者の方への示談金が5000万円の場合、まず自賠責保険から3000万円が支払われ、残りの2000万円は加害者側の任意保険会社が支払う、という仕組みになっています。

交通死亡事故で遺族が請求できる損害項目と相場金額


ご遺族が加害者側に請求できる損害賠償項目には次のものがあります。

(1)葬儀関係費

自賠責保険から支払われる金額は60万円が上限で、裁判で認められる上限額は原則として150万円になります。

任意保険会社は、120万円以内の金額を提示してくる場合がほとんどです。

☑その他の墓石建立費、仏壇購入費、永代供養料などについては、各事案によって個別に判断されます。

(2)死亡逸失利益

☑交通事故にあわずに生きていれば得られたはずだった、将来の収入(利益)分を死亡逸失利益といいます。

<死亡逸失利益の計算式>
(基礎年収)×(就労可能年数に対するライプニッツ係数)×(1-生活費控除率)
=(死亡逸失利益)

☑基礎年収:事故前年の年収を基本にします。

☑就労可能年数:原則として18歳から67歳とされます。

☑ライプニッツ係数:現在と将来ではお金の価値に変動があるため、その差額を現時点で調整するために用います(専門的には、中間利息を控除するといいます)。

ライプニッツ係数の算出は複雑なため、あらかじめ定められています。

【参考情報】厚生労働省「就労可能年数とライプニッツ係数表」

☑民法改正により、2020年4月1日以降に起きた交通事故の場合は、ライプニッツ係数の率は3%となり、以降は3年ごとに見直されるようになっています。

☑生活費控除率:被害者の方の家庭での立場や状況によって、おおよその相場の割合が決まっています。

<生活費控除率の目安>

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合 40%
被害者が一家の支柱で被扶養者2人以上の場合 30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合 30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合 50%
被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合
40%
被害者が一家の支柱で被扶養者が2人の場合
30%
被害者が女性(主婦、独身、幼児等含む)の
場合
30%
被害者が男性(独身、幼児等含む)の場合
50%

(3)慰謝料

被害者の方が死亡した場合の慰謝料には、「死亡慰謝料」と「近親者慰謝料」の2つがあります。

①死亡慰謝料

☑交通死亡事故の被害者の方の精神的苦痛や損害に対して支払われるものです。

☑被害者の方はすでに亡くなっているため、その相続人が受取人になります。

☑亡くなった被害者の方の家庭内での立場や状況によって、概ねの相場金額が決まっています。

☑事故の状況や悪質性などによっては慰謝料が増額する可能性があります。

<死亡慰謝料の相場金額(自賠責基準)>

自賠責保険における死亡慰謝料は、①被害者本人の死亡慰謝料と、②ご家族などの近親者慰謝料の合算として扱われます。

☑被害者本人の死亡慰謝料:400万円(一律)

☑近親者慰謝料:配偶者・父母(養父母も含む)・子(養子・認知した子・胎児も含む)の人数によって金額が変わります。
・1人場合/550万円
・2人場合/650万円
・3人場合/750万円

☑被扶養者の場合は上記の金額に200万円が上乗せされます。

<死亡慰謝料の相場金額(弁護士(裁判)基準)>

後ほどお話ししますが、慰謝料などの示談金の算出には3つの基準が使われ、その中では弁護士(裁判)基準で算出されたものが、もっとも高額になります。

被害者が一家の支柱の場合 2800万円
被害者が母親・配偶者の場合 2500万円
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合 2000万~2500万円
被害者が一家の支柱の場合
2800万円
被害者が母親・配偶者の場合
2500万円
被害者がその他(独身者・幼児・高齢者など)の場合
2000万~2500万円

ご遺族としては、弁護士(裁判)基準での解決を目指していくことが重要になってきます。

②近親者慰謝料

☑被害者の方の近親者(ご家族等)が被った精神的苦痛・損害に対して支払われる慰謝料です。

☑受取人が両親(父母)、配偶者(夫・妻)、子供の場合の金額は、概ね被害者本人の慰謝料の1~3割ほどになります。

☑内縁の夫や妻、兄弟姉妹、祖父母にも認められる場合があります。

(4)弁護士費用

☑加害者側の任意保険会社との示談交渉が決裂した場合、提訴して裁判で決着をつけることになります。

☑その際、弁護士が必要と認められる場合は、弁護士費用相当額が損害賠償額に加算されます。

☑相当因果関係のある損害として、認容額(最終的な損害賠償金額)の10%程度の金額になります。

☑弁護士費用相当額は、裁判で判決までいった場合に認められます(示談交渉では認められません)。

裁判になることを嫌がる方もいますが、弁護士費用を加害者側に負担させることができる可能性があるので、一度、弁護士に相談することも検討されるといいでしょう。

誰が示談金を受け取ることができるのか?

死亡事故の場合の示談金は、親族であれば誰でも受け取ることができるわけではありません。

示談金の受取人は相続人となり、法律によってその順位と分配の割合が決められています。

こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【交通死亡事故の相続】被害者の親族で誰が慰謝料受け取ることができるのかを解説

死亡事故で慰謝料などを増額する方法とは?

(1)特別な事情がある場合はしっかり主張する

次のようなケースでは、慰謝料が増額される場合があります。

①被害者の精神的苦痛がより大きいと思える場合
②被害者側に特別な事情がある場合
③その他の損害賠償の項目を補完するような場合

たとえば①のケースでは、交通死亡事故の原因が、加害者の無免許、飲酒運転、著しいスピード違反、赤信号無視、ひき逃げなどの悪質な行為の場合などがあげられます。

特に死亡事故の場合、被害者の方は亡くなっているため、事故状況を主張することができず不利になる場合が多くあります。

上記のような事情がある場合は、慰謝料増額事由として加害者側の保険会社にしっかり主張していくことが大切です。

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(2)弁護士(裁判)基準での解決を目指す

慰謝料などの損害賠償金の算出には、次の3つの基準が使われます。

①自賠責基準

法律により自賠責保険で定められている基準で、もっとも低い金額になります。

②任意保険基準

各任意保険会社が独自に定めている基準で、自賠責基準より少し高い金額になるように設定されています。

③弁護士(裁判)基準

過去の裁判例から導き出されている基準で、3つの基準の中ではもっとも高額になります。

法的根拠がしっかりしているため、裁判では認められる可能性が高くなります。

弁護士(裁判)基準で計算した金額が本来、被害者の方やご遺族が受け取るべき金額であるため、弁護士はこの金額を保険会社に主張していきます。

被害者のご遺族としては、弁護士(裁判)基準で計算した適切で正しい金額主張していくことで増額を勝ち取ることが大切です。

(3)交通事故に強い弁護士に依頼する

ご遺族としては、弁護士(裁判)基準で慰謝料等を計算するのは難しいと思います。

また、前述したように裁判になった場合、弁護士費用相当額や遅延損害金が加算されるので、慰謝料などの増額を望むのであれば、やはり弁護士に依頼するのが適切な対応になるでしょう。

なお、弁護士に相談・依頼すると、次のようなメリットがあります。

☑示談交渉を代理してくれるため、ご遺族は煩わしく難しい示談交渉から解放される。
☑慰謝料や逸失利益などの示談金額が適切かどうかの確認ができる。
☑加害者側の保険会社との交渉で増額を勝ち取ってくれる。
☑相続の法的問題をクリアしてくれるので、争いを回避することができる。

みらい総合法律事務所で実際に解決した増額事例


ここでは、みらい総合法律事務所で示談金を増額解決した実際の事例をご紹介します。

ぜひ、参考にしていただければと思います。

増額事例①:67歳女性の示談金が2000万円増額

67歳の女性が信号のない交差点の横断歩道を歩行中、直進自動車に衝突され、低酸素脳症のため死亡した事例です。

四十九日が過ぎると加害者側の保険会社から、約2554万円の示談金の提示がありました。

ご遺族は金額が妥当かどうか知るために、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

弁護士の見解は、「まだ増額は可能」というものだったため、そのまま示談交渉を依頼されました。

弁護士が保険会社と交渉したところ、慰謝料や逸失利益が争点となりましたが、最終的には弁護士の主張が認められ、約2000万円増額の4500万円で解決した事例です。

増額事例②:80歳男性の示談金が約4.75倍に増額

80歳の男性(無職)が道路を横断中、加害車両に轢かれた交通事故です。

ご遺族に対して、加害者側の保険会社が提示した金額は約462万円。

これはあまりにも低すぎるのではないかと考えたご遺族が、みらい総合法律事務所に示談交渉を依頼。

弁護士が交渉に入ると、保険会社は被害者男性が無職であることを理由に逸失利益を否定。

さらに、道路横断による大きな過失相殺を主張してきたことから交渉が決裂したため、弁護士が提訴。

裁判では、弁護士が事故状況を丁寧に立証した結果、最終的に約4.75倍に増額した2200万円で解決した事例です。

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