必ず役に立つ!交通死亡事故の慰謝料の相場と増額方法

最終更新日 2021年 08月01日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通死亡事故の慰謝料計算

この記事を読むとわかること

あなたは、交通事故の示談交渉で、保険会社が法律に則った適正な示談金を提示してくれる、と信じていませんか?

じつは、それは間違いです。

あなたの慰謝料などの損害賠償金額は、保険会社が提示してくる示談金額から大幅に増額する場合があります。

その理由を知りたくありませんか?

ここでは、交通死亡事故の慰謝料計算と、慰謝料を増額する方法について、包括的かつ網羅的に解説していきます。

この記事を読むと、次のことがわかります。

  • 交通死亡事故で慰謝料が大幅に増額した実例
  • 交通事故の示談交渉における3つの基準の内容
  • 死亡慰謝料の相場と、慰謝料が増額する場合
  • 交通死亡事故で弁護士に相談したほうがよい本当の理由

ぜひ、最後まで読んでください。

みらい総合法律事務所の実際の解決事例

これから死亡事故の慰謝料について解説しますが、
動画で観たい方は、こちらにご登録ください。


大切な家族や愛する人を交通事故で亡くした遺族の方の悲しみは筆舌に尽くしがたいものです。

大きな悲しみの中、これから何をどうすればいいのか途方に暮れてしまうでしょう。

しかし、家族や親族が交通事故で亡くなった場合、その瞬間から法的な問題が発生し、ご遺族にはやらなければいけないことができてしまいます。

それは、警察が進めている加害者の刑事手続への協力や、ご遺族(相続人)が加害者に対して行なう損害賠償請求です。

交通事故の被害者の方は慰謝料を受け取る権利があるので、死亡事故の場合はご遺族が加害者に対して損害賠償請求をすることができるのです。

そして、死亡事故の示談交渉は、ご遺族が自分で行なうのと、弁護士に依頼するのでは、結果が違ってくることが多くあります。

ここで、私たちが依頼を受け、実際に解決した事例を紹介します。

増額事例①:弁護士に依頼して、慰謝料が約2870万円も増額

71歳女性が交差点を横断中、右折自動車に轢かれて死亡しました。

保険会社は、ご遺族に対し、慰謝料など示談金として、2475万3114円を提示しました。

この金額に疑問を感じたご遺族が、私たち、みらい総合法律事務所に依頼。

裁判を起こした結果、最終的に、5350万円で解決しました。

保険会社の提示額が2475万3114円なので、金額にして約2870万円の増額。

約2.1倍に増額したことになります。

増額事例②:61歳男性の死亡事故で慰謝料等が約2倍に増額

横断歩道を歩行中、直進してきた自動車に衝突され、61歳の男性が死亡した交通事故。

加害者側の保険会社は、①事故と死亡との因果関係が不明であること、②無職であること、などを理由に、慰謝料など損害賠償金として、約1550万円を提示してきました。

ご遺族は、この金額が妥当なものかどうか判断ができなかったため、みらい総合法律事務所の無料相談を利用。

弁護士の見解は、「まだ増額が可能」というものだったことから、示談交渉のすべてを依頼されました。

弁護士と保険会社が交渉しましたが、交渉はまとまらず、訴訟を提起。

裁判でも争いとなりましたが、最終的には自賠責保険金を含め、3000万円で解決しました。

当初提示額から約2倍に増額した事例です。

【参考記事】
みらい総合法律事務所の解決実績はこちら

保険会社は決して適正な金額を提示してくれるものではない、という事実を認識してください。

通常は、葬儀を終え、四十九日が過ぎてから加害者が加入している任意保険会社の担当者と賠償金などの金額の示談交渉をしていくことになります。

ところで、みなさんは慰謝料、示談金、損害賠償金について、どのくらいご存知でしょうか?

ひょっとして、損害賠償金と慰謝料は同じものと思っていませんか?

では、交通死亡事故における損害賠償金と慰謝料は一体何が、どう違うのでしょうか?

交通死亡事故で請求できる損害項目


交通死亡事故の被害者のご遺族が受け取ることができる損害賠償金には、さまざまな項目があります。

主なものは次の通りです。

①葬儀関係費用
②死亡逸失利益(生きていれば得られたはずの収入)
③慰謝料
④弁護士費用(裁判をした場合)

これらの他にも、治療の後に死亡したような場合は、「治療費」、「付添看護費」、「通院交通費」等の実費を請求することができます。

また、損害賠償金を請求する際に必要となる「診断書」、「診療報酬明細書」、「交通事故証明書」等の文書を取得するためにかかった文書費用も、「損害賠償関係費」として請求できます。

つまり、損害賠償金には上記のようにさまざまな項目が含まれており、慰謝料はその一部だということです。

交通事故で発生する3つの慰謝料の相場とは?


そもそも、慰謝料とは何かといえば、「精神的な苦痛を被ったことに対する損害賠償金」ということになります。

交通事故に関する慰謝料には、次の3つがありあます。

・傷害慰謝料
・後遺症慰謝料
・死亡慰謝料

傷害慰謝料

傷害慰謝料は、交通事故で外傷を受けたことに対する肉体的苦痛や入通院加療を余儀なくされることなどに対する煩わしさや苦痛を緩和するために支払われる金銭のことで、通院期間によって算出されます。

後遺症慰謝料

後遺症慰謝料は、治療が完了しても後遺症が残ってしまい、これ以上よくならない場合(これを症状固定といいます)、その後遺症を負ったまま今後の人生を生きていくことに対する精神的損害を償うための賠償金のことです。

原則として、第1~第14級の後遺障害等級認定にしたがって算定されます。

後遺症慰謝料の相場は、以下のようになっています。

裁判基準による後遺障害慰謝料の相場金額

等級 慰謝料額
1級 2800万円
2級 2370万円
3級 1990万円
4級 1670万円
5級 1400万円
6級 1180万円
7級 1000万円
8級 830万円
9級 690万円
10級 550万円
11級 420万円
12級 290万円
13級 180万円
14級 110万円

死亡慰謝料

死亡慰謝料の相場は、被害者が死亡したことにより被った精神的損害で、被害者が置かれている状況によって、慰謝料の金額が異なってきます。

・一家の支柱の場合  2800万円
・母親、配偶者の場合 2500万円
・その他の方の場合  2000万~2500万円

一家の支柱の方が亡くなったときの慰謝料が高額なのは、ご遺族の扶養を支える人がいなくなることに対する補償のためです。

死亡慰謝料は相場より増額することがある

死亡慰謝料には相場があるのですが、必ずその金額が認定されるわけではありません。

じつは、死亡慰謝料が増額するケースもあります。

それは、以下のような事情がある場合です。

①被害者の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合
②被害者側に特別な事情がある場合
③その他の損害賠償の項目を補完するような場合

被害者の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合

被害者の精神的苦痛がより大きいと思えるような場合としては、たとえば、次のようなものがあげられます。

・加害者の無免許、飲酒運転、赤信号無視などの悪質な行為を原因としたもの

・事故後に救急車を呼ばず、ひき逃げをしたもの

・事故後に遺族に暴言を吐いたり、反省の態度がまったく見えないもの

このような場合には、慰謝料増額事由を指摘して、慰謝料の増額を目指していくことになります。

慰謝料を相場より増額した過去の裁判例としては、次のようなものがあります。

「死亡慰謝料の増額判例①」

被害者男性が一家の支柱である事案で、加害者が、無免許、飲酒、居眠り運転により、対向車線に進出して被害車両と衝突し、事故後救助活動をせず、しかも自分は運転していない等虚偽の供述をし、被害者及びその長男も死亡させ、被害者の妻や娘にも重傷を負わせるなど、一家全体に重大な結果を生じさせた等の事情から、慰謝料の相場2800万円のところ、本人2500万円、妻300万円、子供3人に各200万円、父母各100万円の、合計3600万円の慰謝料を認めた事例。(さいたま地裁平成19年11月30日判決)

「死亡慰謝料の増額判例②」

被害者が主婦兼アルバイトの女性である事案で、加害者が飲酒、居眠りにより交通事故を起こした場合で、事故の悪質さや運転動機の身勝手さ、3人の子供の成長を見届けることなく死亡した被害者の無念さ等を考慮し、当時の慰謝料の相場2400万円のところ、本人2700万円、子供3人に各100万円の、合計3200万円の慰謝料を認めた事例。(東京地裁平成18年10月26日判決)

「死亡慰謝料の増額判例③」

被害者が3歳と1歳の姉妹である事案で、加害者が飲酒運転で縁石にぶつかりながら蛇行運転をするなどして、料金所の職員に注意されたにもかかわらず運転を続け、サービスエリアでもさらにウイスキーを飲酒したような状態で被害車両に追突して炎上させ、被害車両に閉じ込められた姉妹を焼死させた等の事情から、当時の慰謝料の相場2000万円~2200万円のところ、被害者一人につき2600万円、父母各400万円の、合計3400万円の慰謝料を認めた事例。(東京地裁平成15年7月24日判決)

被害者側に特別な事情がある場合

被害者側に特別な事情がある場合としては、たとえば、被害者の親族が精神疾患に罹患したするような事例が考えられます。

慰謝料を相場より増額した過去の裁判例としては、次のようなものがあります。

「死亡慰謝料の増額判例」

被害者は、スナックに勤務する24歳の女性です。

被害者が交通事故により死亡したことにより、母親は精神的ショックを受け、PTSDに罹患しました。

そのような事情を考慮し、慰謝料の相場として、2000万円~2200万円であったところ、本人分2000万円、父100万円、母300万円の合計2400万円を認めました(大阪高裁平成14年4月17日判決、出典:交民35巻2号323頁)

交通死亡事故の損害賠償金はいくらになるのか?

損害賠償金の計算方法
では、交通事故死の場合の損害賠償金は、一体どのくらいの金額になるのでしょうか? 相場というものはあるのでしょうか?

実際に経験したことがない方がほとんどでしょうから、なかなか見当がつかないかもしれません。

そこで、ここでは70歳の主婦(夫と2人暮らし)の方が交通事故で死亡した場合をひとつの例として、賠償金とその相場について具体的に見ていきます。

葬儀関係費用

原則として150万円です。

実際にかかった金額が150万円より低い場合は、実際に支出した額となります。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者の方が交通事故で死亡したことにより、将来に労働により得られたはずの収入を得られなくなったために失われる利益のことです。

少し難しいのですが、死亡逸失利益は下記の計算式で算定できます。

基礎収入 × (1-生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

主婦の場合は実際の収入はありませんが、家事労働を行なっているので、逸失利益は認められることを覚えておいてください。

「基礎収入」

基礎収入とは、交通事故で死亡しなければ、将来に労働により得られたであろう収入のことで、基準となるのは前年の年収です。

高齢の家事従事者の基礎収入については、裁判例をみると、次のように分かれています。

ⅰ)女性労働者の全年齢平均賃金としたもの
ⅱ)女性労働者の全年齢平均賃金から何割か減額した額としたもの
ⅲ)年齢別の女性労働者の平均賃金としたもの
ⅳ)年齢別の女性労働者の平均賃金から何割か減額した額としたもの

実際には、個別の事案ごとに被害者の方がどの程度、家事を行なっていたかなど、具体的な事情を評価して決めることになりますが、今回のケースは上記ⅰの女性労働者の全年齢平均賃金を基礎収入とします。

なお、基礎収入は場合によっては減額されることもあるので注意が必要です。

「生活費控除」

生活費控除とは、生きていればかかったはずの生活費分を、基礎収入から差し引くことをいいます。

生活費控除率の目安は次のようになります。

被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合は40%
一家の支柱で被扶養者が2人以上の場合は30%
女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%
男性(独身、幼児等含む)の場合は50%

「就労可能年数」

就労可能年数は、原則として18歳から67歳までとされています。

ただし、職種、地位、能力等によって67歳を過ぎても就労することが可能であったと思われる事情がある場合には、67歳を過ぎた分についても認められる場合もあります。

今回のケースでは、平成23年の簡易生命表によると、70歳の場合の平均余命は14.93年となっているので、その2分の1である7年間について今後も家事労働を行なうことができたと仮定します。

「ライプニッツ係数(中間利息控除)」

ライプニッツ係数とは、損害賠償の場合、本来は将来に仕事をして受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るので、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことです。

この利率は、2020年4月1日以降に発生した交通事故については、年3%となり、その後3年毎に見直されることになっています。

以上のことから、夫と2人暮らしの70歳の主婦の死亡逸失利益の計算式と金額は次のようになります。

3,641,200円(平成26年賃金センサス女性学歴計全年齢平均賃金) × (1-0.3) × 5.7864(ライプニッツ係数) = 14,748,607円

なお、年金収入がある場合には、将来受給できたはずの年金額について、逸失利益として請求することができます。

ただし、遺族年金については、裁判例で逸失利益性が否定されています。

また、年金収入が逸失利益として認められる場合でも、年金は生活費として使われる場合が多いことを想定し、生活費控除率を高くする傾向にあるようです。

死亡慰謝料

慰謝料の額は、これまでの交通事故の民事裁判で認定された慰謝料額の総計などから相場が定められています。

弁護士が被害者のご遺族から依頼を受けて、加害者側と交渉や裁判を行なう場合、損害賠償額を算定する際には通常、日弁連交通事故相談センターが出している書籍『民事交通事故訴訟損害賠償算定基準』(通称「赤い本」)を使用することになります。

この「赤い本」に書かれている基準を「裁判基準」といいます。

被害者が、一家の支柱の場合は2800万円、母親・配偶者の場合は2500万円、その他(子供、成人独身者、高齢者等)の場合は2000万~2500万円が相場となっています。

今回のケースでは、被害者の方は70歳の高齢者なので、仮に慰謝料を2200万円とします。

なお、被害者本人の慰謝料とは別に、配偶者などの近親者の固有の慰謝料が認められる場合があります。

弁護士費用

損害賠償請求をするために弁護士に依頼して裁判を起こした場合は、請求認容額の10%程度が弁護士費用として認められます。

ここで認められる弁護士費用は、実際に支払う弁護士費用とは無関係です。

今回のケースでは、請求額は次のようになります。

1,500,000円(葬儀費) + 14,748,607円(死亡逸失利益、年金除く)
+ 22,000,000円(慰謝料) = 38,248,607円

ここから弁護士費用は、3,824,860円と算出できます。

以上のことから、70歳で夫と2人暮らしの主婦の方が交通事故で死亡した場合の損害賠償額の合計は次のようになります。

1,500,000円(葬儀費) + 14,415,658円(死亡逸失利益)円
+ 22,000,000円(慰謝料) + 3,824,860円(弁護士費用)
= 42,073,467円

なお、みらい総合法律事務所では、被害者の方やご遺族が簡単に損害賠償額を計算できるように、WEB上の自動計算機を設置しています。

個別の事情があるため完璧ではありませんが、一般論的な数字は算出できるので、ぜひ活用してください。

交通死亡事故の慰謝料は弁護士に相談・依頼したほうがいい理由

交通死亡事故を弁護士に相談すべき理由
ここまで、交通死亡事故の被害者のご遺族が手にすることのできる慰謝料などの賠償金の相場についてお話してきました。

ところで、最後にどうしてもお伝えしたいことがあります。

それは、被害者のご遺族が正しい金額の慰謝料などを受け取るためには、弁護士に相談・依頼したほうがいいということ。

そして、その理由について知っていただきたい、ということです。

前述したように、損害賠償について遺族の方は、加害者側の保険会社の担当者と示談交渉をしていくことになります。

しかし、保険会社が示談の段階で提示してくる損害賠償額は、そもそも被害者のご遺族が受け取ることができる金額よりも低い場合が多いのです。

なぜかというと……

じつは、交通事故の損害賠償には、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士(裁判)基準の3つの基準があるのですが、保険会社はもっとも金額が低い自賠責基準や任意保険基準で計算した金額を提示してくるからです。

自賠責基準は、被害者に対する最低限の補償の金額です。

任意保険基準は、各保険会社が独自に定めていますが、適正な基準である弁護士基準よりは低い金額です。

任意保険会社は利益を出すことが目的ですから、支出をできるだけ少なくしようとします。

自賠責基準で計算した金額で被害者のご遺族が示談をしてくれれば、保険会社は自己資金を支出することなく、示談解決をすることができてしまいます。

任意保険基準で計算した金額で被害者のご遺族が示談をしてくれれば、保険会社は自分たちの都合で考える適正な支出額で示談を成立させることができるわけです。

しかし、本来の賠償金の適正金額は弁護士(裁判)基準で計算した金額です。

つまり、被害者のご遺族は、自賠責基準や任意保険基準で計算した慰謝料で示談してはいけない、ということです。

ところが、現実を見ると、ご遺族は示談交渉ではなかなか思うような金額を引き出すことができません。

なぜなら、相手は保険のプロである保険会社の担当者なのですから、当然でしょう。

また、示談交渉は、当事者双方が合意しなければ成立しないので、保険会社側としては、「この金額が限界です」と言い続ければ、いつまでも示談が成立しないことになります。

しかし、弁護士が出てきたときは状況が変わります。

低い金額では弁護士は示談しませんし、いつまでも増額しないと、すぐに裁判を起こされて、弁護士(裁判)基準で払わざるをえなくなります。

また、裁判を起こされてしまうと、保険会社も弁護士に依頼しなければならなくなり、弁護士費用までかかってしまいます。

そうした理由で、弁護士が示談交渉をすると、慰謝料が増額され、示談金額のアップにつながる、というわけです。

「大手の保険会社が提示する金額なのだから、間違いはないのだろう」と思ってはいけません。

「弁護士に依頼するのは何だか気が引ける」などと躊躇してはいけません。

実際は、弁護士に依頼したほうが交渉はスムーズに進みます。

裁判になれば、ほとんどの場合で適正な相場の金額を勝ち取ることができます。

ご遺族は、悲しみを抱えたまま難しい賠償金の示談交渉をする必要はないのです。