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交通事故で車椅子生活になった場合の慰謝料の計算

最終更新日 2024年 02月21日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠 監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所
代表社員 弁護士 谷原誠

交通事故で車椅子生活になった場合の慰謝料の計算

目次


交通事故の被害で車椅子生活になってしまった場合の慰謝料などの計算について解説します。

脊髄損傷などの大きな傷害(ケガ)を負い、下半身麻痺の後遺症を負った場合、自立歩行が困難になってしまいます。

そのため、被害者の方の精神的、肉体的な苦痛や損害は大きく、それはご家族も同様です。
そして同時に、金銭的な損害も計り知れません

・精神的な苦痛・損害に対する補償⇒慰謝料
・これまでのようには働くことができなくなったための将来的な収入(利益)の損失⇒逸失利益
・一生涯かかる介護費の負担⇒将来介護費

これらは非常に大きな金額になりますし、加害者側に補償してもらう必要があります。

そこで本記事では、脊髄損傷の後遺障害等級や慰謝料の計算方法、損害賠償項目の内容などについてお話ししていきます。

車椅子生活を余儀なくされる傷害について

交通事故で負った傷害(ケガ)により、被害者の方が車椅子生活を余儀なくされる場合があります。

具体的には、次のような場合があげられます。

脳損傷

脳挫傷、びまん性軸索損傷などで脳を損傷したことにより、両足に麻痺が残ってしまった場合。


 

脊髄損傷

頸部、胸椎、腰椎部等の脊髄の損傷により、両足に麻痺が残ってしまった場合。

両足の切断・変形

両足の切断による欠損、骨折などにより変形してしまった場合。

両足の関節の用を全廃した場合

両足の関節の用を廃した場合。

「関節の用を廃する」というのは、関節が麻痺、強直(きょうちょく)して動かせなくなった場合で、次のものが該当します。

1.関節が強直したもの
2.関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの
3.人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち,その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの

※強直=関節が完全に動かない、あるいは健康な関節と比較して可動域が10%以下に制限されてしまった状態。

両足骨折

両足を骨折して治療中の場合。

本記事では、これらの中から脊髄損傷を中心に取り上げ、解説していきます

脊髄損傷についての基礎知識

脊髄損傷についての基礎知識

脊髄とは?

☑人間の体の中心にあって、身体を支えているのが背骨です。

☑背骨は1本の骨ではなく、1つひとつの脊椎がつながって構成されています。
もっとも底部にある尾椎(3~5椎)から順に上に向かって、仙椎(5椎)、腰椎(5椎)、胸椎(12椎)、頸椎(7椎)とつながり、全部で約30個の脊椎で背骨は構成されています。

☑骨と骨の間には椎間板があり、クッションのような役割をしていて、背骨を曲げることができるようになっています。

☑脊髄は脊椎の中を貫き、脳につながっている神経線維の集合体でて、脳とともに中枢神経系を形成する重要なものです。

☑脊髄は、尾髄、仙髄、腰髄、胸髄、頸髄から構成されています。

☑交通事故の傷害(ケガ)の中でも背骨の圧迫骨折は多いものの1つですが、損傷が脊椎だけでなく脊髄まで達すると脊髄損傷となります。

脊髄損傷の種類

損傷の程度によって、次の2種類に分類されます。

1.完全麻痺

上肢(手)や下肢(足)が完全硬直、または完全に弛緩した状態です。

2.不全麻痺

上肢や下肢を連動させて動かすことはできるが、稼働範囲などに問題がある状態です。

3.麻痺の4つの種類

麻痺の分類 麻痺の現れる場所 備考
四肢麻痺 両方の上肢と下肢および臓器 頚髄を損傷すると生じる
対麻痺 両方の上肢または両方の下肢 胸髄、腰髄、仙髄、馬尾を損傷すると生じる
片麻痺 片方の上肢と下肢
単麻痺 片方の上肢または片方の下肢

4.麻痺の程度

麻痺の程度 詳細
高度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作ができない
中等度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作がかなり制限されている
軽度の麻痺 障害のある上肢または下肢について、運動性・支持性が多少失われ、基本動作を行う時の巧緻性および速度が相当程度損なわれている

【参考情報】
脊髄損傷(公益社団法人日本整形外科学会)

脊髄損傷で起きる症状

脊髄を損傷すると、その部分より下に運動障害や感覚障害が起こり、後遺症となって残ってしまう場合があります。

損傷した脊髄の部位によって、次のような症状が現れます。

☑腰髄:股間節、足の麻痺や感覚喪失、筋力低下
☑胸髄:腕・手指・胸腹部臓器・足の麻痺や感覚喪失、筋力低下
☑頸髄:首から下の部位の麻痺により寝たきりになる可能性も

 

脊髄損傷による後遺障害等級について

脊髄損傷による後遺障害等級について

後遺障害等級とは?

☑入院・通院をして治療を受けていても、ある段階になると医師から「症状固定」の診断を受ける場合があります。

☑症状固定というのは、これ以上の治療を続けても改善の見込みがない、完治しない状態のことで、以降は被害者の方に後遺症が残ってしまいます

 

☑後遺症が残った場合、被害者の方はご自身の後遺障害等級認定を受ける必要があります。
というのは、等級が決まることで慰謝料などの算定ができるからです。

【参考情報】
自賠責後遺障害等級表」(国土交通省)


 

脊髄損傷で認定される後遺障害等級

脊髄損傷では、後遺症の程度などによって1級から12級の範囲で後遺障害等級が認定されます。

「後遺障害等級1級1号(別表第1)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。

自賠責保険金額 4000万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
4000万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・高度の四肢麻痺
・高度の対麻痺
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの。

 

「後遺障害等級2級1号(別表第1)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。

自賠責保険金額 3000万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
3000万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・中等度の四肢麻痺が認められるもの。
・軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの。

 

「後遺障害等級3級3号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 2219万円
労働能力喪失率 100%
自賠責保険金額
2219万円
労働能力喪失率
100%

<麻痺の範囲と程度>

・軽度の四肢麻痺が認められるものであって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの。
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの。

 

「後遺障害等級5級2号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 1574万円
労働能力喪失率 79%
自賠責保険金額
1574万円
労働能力喪失率
79%

<麻痺の範囲と程度>

・軽度の対麻痺
・一下肢の高度の単麻痺

 

「後遺障害等級7級4号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの。

自賠責保険金額 1051万円
労働能力喪失率 56%
自賠責保険金額
1051万円
労働能力喪失率
56%

<麻痺の範囲と程度>

・一下肢の中等度の単麻痺

 

「後遺障害等級9級10号(別表第2)」

・神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。

自賠責保険金額 616万円
労働能力喪失率 35%
自賠責保険金額
616万円
労働能力喪失率
35%

<麻痺の範囲と程度>

・一下肢の軽度の単麻痺

 

「後遺障害等級12級13号(別表第2)」

・局部に頑固な神経症状を残すもの。

自賠責保険金額 224万円
労働能力喪失率 14%
自賠責保険金額
224万円
労働能力喪失率
14%

<麻痺の範囲と程度>

・運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの。
・運動性、支持性、巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺。

 

脊髄損傷の後遺障害における注意ポイント

1.等級に納得いかない場合は「異議申立」できる

後遺障害等級については、こんな問題が起きることがあります。
「等級が低すぎるのではないか?」
「等級が認定されなかった…なぜ?」

じつは、認定される後遺障害等級は必ずしも正しいわけではありません。

後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構(損保料率機構)という機関が行なうのですが、ここでは提出された書類や資料からのみ判断されます。
つまり、そもそも書類の記載内容に間違いがあったり、資料が不足していると正しい等級が認定されない可能性があるのです。

【参考情報】
当機構で行う損害調査」(損害保険料率算出機構)

では、等級に納得がいかない場合はどうすればいいかというと……「異議申立」をすることができます。

詳しくは、こちらの記事や動画を参考にしてください。

 

2.脊髄不全損傷と診断された場合の対応

脊髄損傷は、「完全損傷」と「不全損傷」の2つに分類されます。

完全損傷というのは、脊髄が完全に断裂してしまった状態です。
一方、問題となるのは、脊髄の一部が断裂した不全損傷です。

何が問題かというと、不全損傷の場合、後遺障害と認められない、あるいは等級が低く判断されてしまう、といったことが起きる場合があるからです。
そうすると、慰謝料などの損害賠償金も低い金額で提示されることになります。

この場合、加害者側の任意保険会社との示談交渉で、被害者の方が単独で相手の考えを覆し、慰謝料などの増額を勝ち取るのは……残念ながら難しいでしょう。

ですから、不全損傷が問題とされた場合は一度、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。


 

よくわかる動画解説

 

車椅子生活になった場合に受け取ることができる賠償金と項目

車椅子生活になった場合に受け取ることができる賠償金と項目
脊髄損傷で後遺障害等級認定を受けた場合、次の項目が損害賠償金として支払われます。

後遺障害等級が認定される以前(傷害による入通院にかかる費用等)

1.治療関係費

・手術代、治療費、薬品代、特別室使用料や差額ベッド代などについて、必要かつ相当な実費全額が認められます。
・症状固定後の治療費も、支出が相当であれば認められます(東京地裁判決平成28年9月12日等)。
・注意が必要なのは、整骨院や接骨院、マッサージなどに通った場合です。
医師の指示がなければ、これらの治療費は損害賠償項目として認められないからです。

 

2.入院付添費

看護師・介護福祉士等に依頼した場合 実費全額
近親者が看護をする場合 入院の場合は1日6500円
通院の場合は1日3300円

※幼児・高齢者・身体障害者等で通院の必要がある場合。

3.入院雑費

・1500円(1日あたり)
・おむつ代、カテーテル代、ゴム手袋代、その他口腔洗浄に必要な用具代など

4.交通費

原則として、本人分の実費

5.装具・器具購入費

車いす・義足・義眼・補聴器・義歯・入れ歯・かつらなどの購入費・処置費等の相当額

6.休業損害

ケガのために休業したことによる現実の収入減分


 

7.入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院をして治療をした場合に被った精神的な苦痛や損害に対して支払われる慰謝料。

後遺障害等級の認定後(後遺障害で受け取れる項目)

1.将来介護費

・看護師・介護福祉士等に依頼した場合/実費全額
・近親者が介護をする場合/常時介護が必要な場合は1日8000円
※平均寿命までの期間について、中間利息を控除した金額

2.家屋・自動車などの改造費等

・自動車・家の出入り口・風呂場・トイレなどの改造費
・介護用ベッドなどの購入費の実費相当額

3.逸失利益

・後遺障害がなければ、将来的に得られるはずだった収入(利益)
・事故前の収入額に、労働能力喪失率、就労可能年数、中間利息の控除分をかけた金額になる。

4.後遺障害慰謝料

後遺障害が残ったことによる精神的な苦痛・損害に対して支払われるものです。


 

よくわかる動画解説

 

車椅子生活で大きなポイントになる「慰謝料」の計算方法

車椅子生活で大きなポイントになる「慰謝料」の計算方法

脊椎損傷の場合の慰謝料について

被害者の方とご家族が受け取ることができる慰謝料には、次の4種類があります。

1.入通院慰謝料(傷害慰謝料)
2.後遺障害慰謝料
3.死亡慰謝料
4.近親者慰謝料

前述したように、脊髄損傷で入通院をして治療を受け、その後、後遺障害が残ってしまった場合には、入通院慰謝料後遺障害慰謝料を受け取ることができます

慰謝料の算定では3つの基準が使われる

慰謝料を算定する際には、次の3つの基準が使われます。

1.自賠責基準
2.任意保険基準
3.弁護士(裁判)基準

自賠責基準がもっとも金額が低くなり、任意保険基準はそれより少し高い金額になるように設定されています。

ここで重要なのは、被害者の方は弁護士(裁判)基準で算定した慰謝料を主張し、加害者側の任意保険会社に認めさせなければいけない、ということです。

なぜなら、弁護士(裁判)基準で算定した慰謝料が、もっとも金額が高くなるからです。


 

自賠責基準による入通院慰謝料の算定方法

☑自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたりの金額が「4,300円と定められています。

☑入通院慰謝料の算定式は次のとおりです。

4,300円(1日あたりの金額) × 対象日数 = 入通院慰謝料

☑入通院慰謝料を算定する際は、治療の対象日数に注意してください。

治療の対象日数は、次のどちらか短いほうが採用されます

A)「実際の治療期間」
B)「実際に治療した日数×2」

たとえば、入院期間が2か月、治療期間が4か月で、実際に治療した日数が平均で週に2回の場合、次のようになります。

A)「実際の治療期間」・・・180日間
B)「実際に治療した日数×2」・・・(60日+17週×2日) × 2 = 188日間

A)4,300円 × 180日 = 774,000円
B)4,300円 × 188日 = 808,400円

したがって、この場合は、A)の774,000円が入通院慰謝料になるわけです。

・なお、入通院慰謝料は、1日でも治療を受けていれば受け取ることができます

弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の計算定方法

・弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定では、『損害賠償額算定基準』に記載されている算定表を用います。

・これは、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行しているもので、弁護士や裁判所も使用しています。

・傷害(ケガ)の程度によって、「軽傷用」と「重傷用」の2種類の算定表があります。

<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(むち打ちなどの軽傷用)>

<弁護士(裁判)基準による入通院慰謝料の算定表(重傷用)>

たとえば、重傷で入院期間が2か月、治療期間が4か月の場合、上の「重傷用算定表」のそれぞれが交わった部分を見ます。

「165」となっているので、この場合の入通院慰謝料は、165万円になります。

後遺障害慰謝料の算定方法

後遺障害慰謝料は、被害者の方が認定された後遺障害等級によって、次の表のように相場金額が定められています。

<自賠責基準・弁護士(裁判)基準による後遺障害慰謝料の金額表>


たとえば、介護を必要とする後遺障害1級の場合、自賠責基準と弁護士(裁判)基準では、1,150万円もの差が生じてしまいます。

後遺障害慰謝料も、弁護士(裁判)基準で解決することが非常に大切なのです。

よくわかる動画解説

 

車椅子生活の場合は将来介護費が争点になる場合が多い

脊髄のどの部位を損傷したのかにもよりますが、脊髄損傷の後遺障害では将来的な介護が必要になる場合が多くあります。

そのため、被害者の方は将来介護費を請求することができます。

将来介護費は、次の算定式により求めます。

(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)

 


 

生涯にわたるものなので、被害者の方とご家族にとって将来介護費は非常に大切なものです。
しかし金額が大きくなる分、加害者側の任意保険会社はさまざまな理由をつけて将来介護費を低く抑えようとしてきます。

なぜなら、保険会社は営利法人ですから、利益の追求のために、支出となる将来介護費はできるだけ低くしたいからです。

脊髄損傷を負い、後遺障害等級が1級、2級といった重度の場合は、示談交渉でもめてしまい、なかなか解決できないということがよくあります。

ですから、脊髄損傷で車椅子の生活を余儀なくされてしまった場合は、まずは弁護士に相談・依頼することを検討していただきたいと思います。

よくわかる動画解説はこちら

 

みらい総合法律事務所では、交通事故の後遺障害と死亡に関して年間1000件以上、被害者の方からのご相談を受け付けています。

また、当事務所の弁護士は脊髄損傷における交通事故の損害賠償実務に関する専門書も執筆しています。

交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務

交通事故で脊髄損傷の被害にあわれたなら、お早めにご相談下さい。

 


 

 

 

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