交通事故の示談を有利にする方法と注意点

この記事を読むと、次のことがわかります。

交通事故の示談交渉をどのようにするか、ご存じでしょうか?

まず、保険会社が提示してくる示談金は、適正金額より低い金額である、ということを知ることから始まります。

その後、示談金を増額していくわけですから、どのように増額するのでしょうか?

この記事を読むと、次のことがわかります。

☑交通事故の示談交渉の意味

☑示談成立までの流れ

☑交通事故の示談交渉で注意すべき点

☑保険会社が適正金額を提示しない理由

☑交通事故を弁護士に相談すべき理由

ぜひ、最後まで読んでください。

交通事故における示談交渉とは?

示談の基本は話し合いによる和解である

まずは、交通事故における示談交渉の法的な意味合いについて説明をしておきます。

交通事故における示談というのは、その事故によって生じた損害額がいくらで、どのように支払いをするのか等について、加害者と被害者という当事者の話し合いによって決めることをいいます。

法律的にいうと、示談は民法上の「和解」にあたり、民法695条では次のように規定されています。

「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。」

「互いに譲歩をして」というのは、たとえば、被害者側の請求金額が1000万円で、加害者側が認めた金額が500万円だという場合、お互いに譲歩して、800万円で解決しましょう、というようにすることです。

もちろん、被害者側が適正な金額を請求して、加害者側がその全額を支払うことを認めれば、譲歩の必要はなく、その金額で示談解決する、ということになります。

しかし、実際には、交通事故の示談はそんなにすんなりとうまくいくものではありません。

被害者側と加害者側が主張する金額に大きな差があり、どちらも譲らない場合には、示談交渉が決裂したり、裁判になったりすることもあります。

そして、一番避けたいのは、被害者側が損をしていることに気が付かずに示談を成立させてしまったという事態です。

たとえば、被害者側が損害賠償額として1000万円を請求できるはずであるのに、500万円で示談を成立させてしまったという場合です。

交通事故でケガをして精神的にも肉体的にも傷ついているのに、もらえるはずの示談金で何百万円も損をしてしまうなんていうことは誰でも避けたいと思います。

けれど、実際の交通事故の示談の場面では、このようなことはよく起きているのです。

それは一体なぜでしょうか?

保険会社が適正金額を提示しない本当の理由

交通事故の示談の場合、じつは加害者本人と示談交渉するということは少なく、通常は加害者が加入している保険会社の担当者と交渉を行なうことが多いと思います。

この場合、被害者が注意しなければならない点が2つあります。

それは、どのような点でしょうか?

まず、保険会社は、当然ですがビジネスとして利益を得ることを目的としている会社であることを理解しておくべきです。

保険会社は、必ず利益を出さなければなりません。

そのためには、支出を収入よりも少なくする必要があり、組織の論理として、できる限り支出を減らそうとするのです。

そのため、保険会社にとって大きな支出である「示談金の支払い」を減らそうと努力する、ということになります。

ですから、保険会社としては被害者に支払う金額が少ない方が会社の利益となるため、できるだけ損害賠償額を低くしたいと考えています。

次に、保険会社の担当者は示談交渉を日常的に仕事として行なっているので、交通事故に関する知識もあり、示談交渉にも慣れているという点です。

それに対し被害者側は、交通事故に関する知識もなく、そもそも自分が請求できる損害賠償額がいくらになるのか、保険会社側が支払うと言っている示談金額が妥当な金額であるのかどうかなどの判断ができないのは普通です。

そのため、保険会社が「今回の交通事故の損害賠償金額は○○円です」と提示してきた場合に、「保険会社が妥当な示談金額だというのだからそうなのだろう」と考え、自分たちが損をしていることに気づかないまま、示談書にサインしてしまうということが起きているのです。

また、保険会社の担当者が、「この金額が限界です。これ以上は出せません」とか「弁護士を頼んでも金額は変わりませんよ」などと言うことがあります。

これは、本当でしょうか? じつはここにはカラクリがあるのです。

保険会社が「この金額が限界です」というのは、「私の権限で出せるのはこの金額が限界です」という意味です。

現実的に、弁護士に依頼したり裁判したりすれば、かなり増額することが多いのです。

また、「弁護士を頼んでも金額は変わりませんよ」というのは、「弁護士を頼まないでください。増額しないといけなくなります」という意味合いで使っていることもあるかもしれません。

保険会社の担当者は、被害者のために働いているのではなく、保険会社の利益のために働いている、と認識することが大切です。

そして、保険会社のいいなりに示談しないことが大切なのです。

では、そのために大切なことは、どのようなことでしょうか?

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示談成立までの流れ

交通事故が発生した後に必要な手続きをしてから、示談交渉を開始して、示談が成立するまでには、通常は次のような手順で進んでいきます。

①事故発生
②相手(加害者)の身元の確認
③警察への通報、実況見分調書の作成
④加害者、被害者双方の保険会社への通知
⑤ケガの治療
⑥治療完了または後遺障害等級の認定により賠償損害額確定
⑦示談交渉
⑧示談成立(決裂した時は紛争処理機関、法的機関へ)

慰謝料と示談金、保険金、損害賠償金の違いとは?

示談が成立した後、被害者には加害者側の保険会社からお金が支払われます。

ところで、このお金、「保険金」や「示談金」、「慰謝料」、「損害賠償金」などとさまざまな呼ばれ方をすることがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

それぞれ被害者の損失を填補しようとするものですが、法的意味合いが異なります。

保険会社から保険契約に基づいて支払われるから保険金、示談が成立して支払われるから示談金、被害者の損害を賠償するから損害賠償金、ということになります。

そして、慰謝料というのは、これらの中の一部という位置づけです。

たとえば、交通事故の被害者が受け取ることができるお金には、治療費、通院交通費、休業損害、逸失利益などさまざまな項目があり、これらの中に慰謝料があるのです。

つまり、損害賠償金とは、ひとつのまとまったものではなく、いくつもの損害項目が合算されたもの、ということになります。

ちなみに、交通事故の慰謝料には、「傷害慰謝料」、「後遺症慰謝料」、「死亡による慰謝料」の3種類あります。

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傷害慰謝料は、ケガをしたことに対する肉体的苦痛や、入通院加療を余儀なくされることなどに対する煩わしさや精神的苦痛を緩和するために支払われるものです。

後遺症慰謝料は、治療が完了しても後遺症が残ってしまった場合、今後生きていくうえでの精神的損害を償うものです。

死亡慰謝料は、被害者が死亡したことにより被った精神的損害に対して支払われるもので、被害者が置かれている状況によって、慰謝料の金額が異なってきます。

これらのポイントを理解しておくと、その後の示談交渉をスムーズに進めることができると思います。

しかし、交通事故の被害者は、いきなり示談交渉に入ってはいけません。

示談交渉の前にも注意するべきポイントがいくつかあります。

しっかり示談に関する知識をつけてください。

示談交渉の開始時期に関して注意するべきポイント

交通事故が起きて被害者がケガをした場合、示談の話がでるのは、治療が終了した時点です。

治療をしたけれども後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級が認定されてから示談交渉になります。

被害者が死亡してしまった場合には、被害者の四十九日が過ぎたあたりから、保険会社の担当者から遺族に連絡がくるのが一般的です。

なお、死亡事故の場合には、加害者の刑事裁判が行なわれることが考えられます。

この場合、刑事裁判の終了前に遺族との間で示談が成立していると、量刑の判断で示談が成立していることが加味され、量刑が軽くなるとこともあります。

その点を考慮し、遺族としては刑事裁判が終了してから示談交渉を開始するという場合もあります。

また、遺族が刑事裁判に参加できる、「被害者参加制度」もありますので、弁護士に相談することをおすすめします。

示談を行なう前に注意するべきポイント

治療中

ケガをした場合に一番大切なことは、まずはきちんと治療をするということです。

きちんと治療を行なっていたのかという点も、損害賠償金額を計算する上で基準となります。

たとえば、痛みがあるけれども仕事があるからと我慢して通院しなかった場合、通院しなかったのだから症状が軽いのだろうと推定されてしまう可能性があります。

また、通院や入院に対する慰謝料は、通院期間や入院期間をもとに計算されますので、入通院期間が長いほど慰謝料額が大きくなります。

治療中は、保険会社と連絡をとり、ケガの程度や診断内容、治療の見込みなどを伝えて、治療費や交通費などをスムーズに支払ってもらうことも大切です。

仕事を休んで治療する場合には、休業損害も支払ってもらえるように伝えましょう。

中には、治療中から保険会社の担当者と衝突してしまう被害者の方もいらっしゃいますが、この時点で保険会社ともめたとしても、治療費の支払を打ち切られたりと被害者にとって正直あまりいいことはありません。

本格的な示談交渉は、治療が終了してからで大丈夫ですので、この時点では治療に集中して、治療費を支払ってもらうことを第一としたほうがいいでしょう。

治療費の支払いの打ち切りに応じてはいけない

治療を開始して、ある程度の期間が経つと、保険会社から「そろそろ症状固定として後遺障害等級の申請をしてください」などと言われ、治療費の支払いを打ち切られてしまう場合があります。

症状固定とは、これ以上治療を継続しても治療効果が上がらなくなった状態のことをいいます。

通常、保険会社が治療費の支払をする場合には、被害者から医療照会の同意書を得て、病院から診断書や診療報酬明細書を取り付けているのですが、その内容等から、治癒あるいは症状固定と考えて、治療費の支払いを打ち切るという判断をしているのです。

保険会社から治療費の打ち切りの話をされると、「もう治療をしてはいけないのだ」と思ってしまう被害者の方もいらっしゃいますが、そうではありません。

あくまで保険会社が勝手に決めていることですので、本当に症状固定とするかどうかの判断は、医師とよく話し合って慎重に行なわなければなりません。

なぜなら、症状固定とした場合、そこで治療は終了とみなされ、症状固定の時点で損害賠償額が確定すると考えるからです。

注意しなければいけないのは、仮に症状固定と判断されても、それ以降もやはり治療をしたいということで治療を行なったとしても、症状固定以降の治療費や通院交通費、入通院慰謝料は加害者に請求できなくなってしまうのです。

医師と話をして、まだ治療の必要性があり治療効果もでているということであれば、治療を続けるべきです。

その場合には、医師に治療の必要性がある旨の診断書等を作成してもらって保険会社に提出し、治療費の支払を継続してもらえるよう交渉します。

それでも打ち切られてしまった場合には、健康保険に切り替えたりして自分で治療費を負担し、後日最終的な示談交渉の際に、自分で負担した治療費分も請求するということになります。

後遺症が残った場合

医師とよく話し合った結果、症状固定とした場合には、医師に後遺障害診断書を書いてもらい、損害保険料率算出機構という機関に後遺障害等級の申請をします。

後遺障害等級は、症状の部位や程度に応じて、重いものから順に1級から14級に分類されています。

この後遺障害等級が何級になるのかというのはとても重要なポイントになります。

認定された後遺障害等級に応じて、後遺症慰謝料や後遺症逸失利益が計算されることになり、示談金額にも大きな差が出るからです。

ここで注意する点は、自分が認定された後遺障害等級が適正なものなのかをきちんと検討することです。

後遺障害等級の判断は、損害保険料率算出機構が、診断書や画像、検査結果などの医学的な資料をもとに判断しているのですが、原則として提出された医学的な書類のみから判断します。

そのため、提出資料に不足があったり、認定に必要な検査を行なっていなかったような場合には、実際の症状より軽い後遺障害等級が認定されてしまうということもあるのです。

そうすると、後遺障害等級がひとつ違っただけで、最終的な示談金が何十万から何百万円、重度なものになると示談金額が何千万円も変わってくることもあります。

ですので、後遺障害等級が認定されたら、認定結果や認定の理由等をよく読んで、認定された後遺障害等級が適正なものかどうかを検討してください。

適正な後遺障害等級であることを確認するまでは、示談してはいけないのです。

ただ、「適正な後遺障害等級が認定されているか?」は、素人では判断はほぼ難しいでしょう。

医学的知識や後遺障害等級認定のメカニズムの知識も必要なので、交通事故に精通していない弁護士でも判断は難しいと思います。

ここは、どうしても、交通事故に精通した弁護士に判断してもらうようにしましょう。

みらい総合法律事務所もそうですが、交通事故の無料相談に応じてくれる法律事務所が多数あります。

そして、より上位の後遺障害等級が認定される可能性がある場合には、新たな資料等を提出して「異議申立」などを行なうことになります。

では、いよいよ示談交渉です。

示談交渉の際に注意するべきポイントは、どのようなことでしょうか?

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示談交渉の際に注意するべきポイント

損害賠償金額の項目に漏れがないか確認する

交通事故のケガが治癒した時点、または後遺障害等級が認定された時点、死亡事故の場合には被害者の四十九日が過ぎたあたりから、いよいよ示談交渉がスタートします。

具体的には、加害者の保険会社の担当者から、保険会社で作成した損害賠償金額の計算書が提示されますので、その提示された金額を被害者側で検討することになります。

まず、損害賠償額の項目に漏れがないのかをチェックします。

ひとくちに損害賠償額といっても、それはさまざま項目から成り立っています。

「損害賠償金の項目」
治療費、付添費、将来介護費、入院雑費、通院交通費、装具・器具等購入費、家屋・自動車等改造費、葬儀関係費、休業損害、傷害慰謝料、後遺症慰謝料、逸失利益、修理費、買替差額、代車使用料 など。

それぞれの事故内容によって、さまざまな項目を請求することができるので、自分が請求できる項目がすべて記載されているのかをきちんとチェックしましょう。

正しい金額かどうか確認する

項目に漏れがないかを確認したら、それぞれの金額が妥当な金額かどうか検討します。

冒頭でも述べたように、保険会社はなるべく支払う金額を低くしようする傾向にありますので、保険会社から提示された金額をそのまま妥当な金額と信じて安易に示談書にサインしてはいけません。

示談が成立すると、その後でじつはもっと請求できるものがあったとわかったとしても、原則として請求することはできなくなってしまいます。

保険会社からの提示金額が妥当な金額がどうかを判断するときのポイントとしては、3つの支払基準があることを知っておくことです。

3つの基準とは、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判基準」です。

自賠責保険基準とは、自賠責保険に基づいて支払われる保険金です。

自賠責保険は、自動車を運転する者は必ず加入しなければならない強制保険で、支払われる金額が法律で決められていることからも、必要最低限の保険といえます。

たとえば、休業損害は1日につき原則5700円、慰謝料は1日につき原則4200円、死亡慰謝料は350万円、後遺障害等級1級は3000万円又は4000万円、14級は75万円です。

任意保険基準とは、任意保険会社ごとにある会社の内部の基準で、公表されているものではありません。

加害者の加入している任意保険会社が提示してくる金額は、この任意保険基準に基づいています。

自賠責保険基準よりもやや高い金額である場合もありますが、自賠責保険基準とまったく同額の後遺症慰謝料を提示してくる場合も多いです。

なぜなら、自賠責保険金額内でおさまれば、任意保険会社の実質的な負担が0円になるためです。

裁判基準とは、裁判をした場合に認められる可能性のある金額で、もっとも高額になります。

裁判基準がいくらかを調べる場合には、日弁連交通事故相談センター東京支部が毎年出している「民事交通事故訴訟 損害賠償額計算基準」(表紙が赤色のため、通称を「赤い本」といいます)という書籍を参考にします。

私たち弁護士も、この赤い本を参考にしています。

被害者としては、この裁判基準に近い金額で示談をすることがもっとも望ましいのですが、実際には示談交渉の段階で裁判基準に基づいて被害者が請求しても、保険会社が応じないことが多いようです。

被害者が裁判を起こさないのであれば、弁護士費用等のコストがかかりませんので、保険会社側としても、裁判基準で示談に応じるメリットがないからです。

賠償金額に納得がいかなければ何度でも不服を伝えるべきですし、裁判基準での解決を目指すのであれば、やはり弁護士に交渉や裁判を依頼したほうがいいといえます。

ここで、みらい総合法律事務所が解決した事例についてご紹介します。

46歳男性が頸髄損傷の傷害を負った交通事故で、四肢麻痺で自賠責後遺障害等級1級1号が認定されました。

保険会社は、被害者に対して示談金として、7,800万円を提示しました。

被害者が何の知識もなければ、この示談金で示談していたでしょう。

しかし、被害者は、みらい総合法律事務所に依頼し、適正な賠償額を獲得することにしました。

この案件では、最終的に、2億7,664円で裁判解決しました。

約2億円の増額です。

このようなこともあるので、示談する際には、その示談金額が正しいものかどうか、必ず確認することが必要です。

損害賠償請求にも時効がある

加害者に対する損害賠償請求権には「時効」があります。

時効が成立してしまうと、一切請求することができなくなってしまいますので、時効の管理はしっかりしなければなりません。

加害者等に対する損害賠償請求の時効は、「損害及び加害者を知りたる時」から3年です。

または、事故から20年経過した場合も時効により損害賠償請求権は消滅します。

死亡事故の場合は、原則として事故日から3年です。

後遺障害がある場合には、症状固定によって損害が確定しますので、症状固定日から3年です。

異議申立を何度も行なっていたり、交渉がうまくいかず放置したままで3年が経過してしまった場合には、時効によって請求権が消滅してしまいますので、注意してください。

示談書の書き方を知っておく

被害者と加害者による話し合いの結果、和解に至った場合は示談成立とになります。

この場合、「示談書」を取り交わす必要がありますが、内容は次のようことを記載します。

①当事者の特定
誰と誰が交通事故の当事者なのかを特定します。

②交通事故の特定
交通事故の年月日時刻、場所などにより特定します。

③人損と物損の別(自賠責後遺障害等級)

④示談金額

⑤支払条件
いつ、どのような方法で支払うのかを記載します。

⑥精算条項
示談が成立したことで、示談内容以外の請求はすべて放棄し、被害者と加害者双方に債権債務がないことを確認します。
ただし、通勤労災の場合にはすべてを免責してしまうと、将来の労災給付も打ち切られますので、将来の労災給付は除外しておく必要があります。

⑦将来の後遺障害
将来、後遺障害が発生する可能性がある場合は、その分を留保します。
その場合は、「本件示談後、後遺障害が発生した場合には、当該後遺障害に基づく損害賠償については別途協議する。」というような記載をしておきます。

示談が成立すると、よほどの事情がない限り、示談書に記載された条件以上の請求をしようとしても難しくなりますので、慎重に進めなければいけません。

示談書の内容を確認する

ここでは、示談書のサンプルを掲載します。

状況によっては、各項目や細部は異なってきます。
また、保険会社が相手の場合は「免責証書」という書面が示談書の代わりになることもありますが、どのような内容が記載されるのか参考にしてください。

——————————
示談書
東宮英彦(以下「甲」とする。)と、正田真樹(以下「乙」とする。)は、下記の事故(以下「本件事故」とする。)による甲の乙に対する損害賠償請求について次のとおり示談する。

(事故の表示)
日時  平成〇〇年〇〇月〇〇日 午後1時00分
場所  東京都千代田区〇〇町〇〇番地先路上

(示談の内容)
1 乙は、甲に対し、甲の傷害に関して発生した治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害(自賠責後遺障害等級●級)その他一切の損害賠償として、既払金のほかに金〇〇〇〇万円の支払い義務があることを認め、これを平成〇〇年〇〇月〇〇日限り甲の指定する下記口座宛振込支払う(振込手数料は乙の負担とする)。
 <口座>
  〇〇銀行 〇〇支店
  普通預金 〇〇〇〇〇〇〇
  東宮英彦

2 本件事故による甲の傷害に関する損害賠償は後遺障害分を含め(但し、後遺障害等級12級)、一切解決済みとして、甲は、乙に対し、本示談書に規定する他、何らの請求もしないこととする。ただし、本件示談の際に予想しえない後遺障害が発生した場合には、当該後遺障害に基づく損害賠償については別途協議する。
以上
平成〇〇年〇〇月〇〇

甲 住所
  氏名              印
乙 住所
  氏名              印

示談交渉が決裂したら裁判を検討するべき

示談交渉の中で、加害者側の保険会社の担当者は、こんなことを言ってくるかもしれません。

「当社としては、提示しているのが精一杯の金額です」
「これ以上を望むなら、裁判をやってください」

こうなると、交渉を続けても現状の金額以上の増額は難しい、ということになります。

仮に、示談金のさらなる増額を希望するのであれば、弁護士に依頼して示談交渉してもらうか、訴訟を提起して裁判に持ち込むか、ということを検討するべきでしょう。

裁判というと、「大変なことだ」と思っている人もいるかもしれませんが、裁判所には弁護士が行ってくれますし、裁判所に提出する書面も弁護士が作成します。

それほど大変な作業はないのが通常です。

また、裁判を起こすと、判決までいくときには、事故日から年5%の遅延損害金が追加で払われることになりますし、示談交渉では認められない弁護士費用相当額が加害者負担となります。

裁判にはメリットも多くあるのです。

ここまで読んで、「弁護士に相談してみよう」と思った方は、こちらから。


交通事故の示談交渉は弁護士に相談するべきか?

以上、示談の基本的な知識から示談を有利にする方法、注意ポイントまで解説しました。

実際の交通事故では、事故態様や被害者のケガの程度、後遺症の程度、後遺障害等級、年齢、職業、収入等、それぞれの事案によって、示談金の相場や計算方法が変わってきますので、適正な損害賠償額を計算して、それを保険会社と示談交渉して認めさせるというのは、かなりハードルが高いことである、ということがおわかりいただけたかと思います。

保険会社の立場に立って考えてみましょう。

保険会社が株式会社であるならば、会社の利益を上げることが最大の存在目的となります。

利益は、売上から支払などの経費を差し引いて計算します。

そのため、交通事故の被害者に対して支払う示談金を低くおさえようとします。

裁判を起こされれば、弁護士基準(裁判基準)によって、適正な示談金額を払わないといけなくなりますが、示談交渉であれば、「これが限界です」と言い続けていれば、それ以上払うことにはならないわけです。

そのため、交通事故の被害者が直接示談交渉してもなかなか増額できないのです。

しかし、被害者の代理人として弁護士が出てきた場合には、示談金を適正な額にしないと、裁判を起こされ、自分の代理人となる弁護士費用が余分にかかるほか、裁判で適正額を払わないといけなくなるので、弁護士との示談交渉では、やむなく増額して示談する、ということになるのです。

したがって、弁護士費用がもったいない、と思って弁護士に相談すらしない、というのは、合理的な選択ではありません。

弁護士に依頼しない方がもったいない、という事例が多数あるのです。

示談の前に少なくとも一度は弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

ただし、弁護士ならば誰でもいいというわけではありません。

弁護士には、得意不得意な分野があります。

全ての法律に精通するのは不可能です。

交通事故の示談交渉を相談するなら、やはり、交通事故に詳しい弁護士に相談することが大切です。

弁護士でも、交通事故に慣れていないと、請求する損害賠償の項目に漏れがあったり、計算方法が間違っていたり、後遺障害等級が正しいかどうか等の判断ができないということがあるからです。

それでは、適正な示談金額で示談することはできません。

法律事務所のホームページ等を見て、交通事故の実績があるか、交通事故の専門書籍等を出版しているかなどをチェックしてみてください。

たとえば、みらい総合法律事務所では、次のように法律専門家が読む専門書籍を執筆しています。

「交通事故訴訟における脊髄損傷と損害賠償実務」(ぎょうせい)

「交通事故訴訟における高次脳機能障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)

「交通事故訴訟における典型後遺障害と損害賠償実務」(ぎょうせい)

このような専門書を執筆するためには、交通事故に関して深い法律知識が必要とされます。

弁護士のホームページを見るときは、このような観点でも見てみるとよいでしょう。

もちろん、当事務所でも死亡事故と後遺症事案に関して、無料相談を受け付けていますので、交通事故の示談でお困りの際は、ぜひご相談ください。